介護保険サービスの種類と内容

これから介護サービスの利用をしようと検討している人は、まずどんな介護サービスがあるかを知っておきたいと思っているのではないでしょうか。介護サービスの種類と内容を知り、いざ利用する時に適切な介護サービスを選択していきましょう。ここでは、介護サービスの種類とその内容について詳しくご紹介します。

介護サービスとは?

介護サービスとは?

介護サービスとは介護保険を利用して受けることのできるサービスのことを言います。まず、介護保険サービスは2つのグループに分類できます。

1つは介護給付と言い、要介護1~5の方が利用することのできるサービスです。

もう1つは予防給付と言い要支援1~2の方が受けられるサービスで、介護予防(生活機能を維持・向上させ、要介護状態にあることを予防すること)に適した、軽度者向けの内容・期間・方法で提供される、サービスのことを指します。

また、受けられるサービスについては在宅サービス、施設サービス(要支援者は利用不可能)、地域密着型サービスの3種類があります。これらのサービスについてそれぞれ詳しく説明します。

居宅サービス

在宅サービスとも呼ばれる介護サービスで、重度の要介護者、単身や夫婦のみの高齢者世帯、認知症の高齢者の在宅生活を支えていくためのサービスです。在宅サービスは自宅で受けられるサービス、施設に通って受けられるサービスがあり、本人及び家族の状況や必要性によって組み合わせて選択されます。

まずはじめに、自宅で受けることのできるサービスをご紹介します。

訪問介護

ホームヘルプサービスともいわれます。介護の資格を持った訪問介護員(ホームヘルパー)が、利用者(要介護者等)の自宅を訪問し、入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事等のサービスを提供することをいいます。要介護1~要介護5の方が利用することができます。

訪問介護はその内容によって3つに分類されます。 1つ目は身体介護といい入浴介助、排せつ介助、食事介助など利用者の身体に直接触れて行うサービスです。2つ目は生活援助といい、調理、洗濯、掃除など本人に代わって日常生活の援助を行います。3つ目は通院等乗降介助といい、通院等のための乗車又は降車の際の移動等の介助を行います。

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訪問入浴介護

 自宅における入浴の援助を行うもので、浴槽を積んだ入浴車で自宅を訪問し、自宅で入浴の介助を受けることができます。要介護1~要介護5の方が受けることのできるサービスで、介護職員2名と看護職員1名が自宅に訪問して介助をしてくれます。要支援1、2の方は介護予防訪問入浴介護となります。入浴前後のバイタルチェックや観察、家族からの聞取りで看護師が判断を行います。薬の塗布や創処置といった医療的な介入については支援内容には無いので、必要があれば事前にご相談してみるのも良いと思います。又、事前に医師より意見を受けておく事をお勧めします。

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訪問看護

 介護予防訪問看護とは疾病又は負傷により自宅において継続して療養を受ける状態にある方に対し、その方の自宅において看護師等が行う療養上の世話又は必要な診療の補助を言います。看護師は医師の指示の下で医療的な介入をしサービスを行います。要介護1~要介護5までの方がサービスを受けることができます。要支援1、2の方は介護予防訪問訪問看護となります。

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訪問リハビリテーション

自宅において、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士により行われる心身の機能の維持・回復、日常生活の自立支援をします。家族へのアドバイス・相談も行います。要支要介護1~要介護5までの方がサービスを受けることができます。要支援1、2の方は介護予防訪問リハビリテーションとなります。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は医師の指示の下で自宅にてリハビリを実施し、リハビリのスタッフがリハビリを行うことを訪問リハビリテーションと言います。

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居宅療養管理指導

 医師、歯科医師、薬剤師、看護職員(保健師)、歯科衛生士または管理栄養士が、通院が困難な利用者に対して、自宅を訪問して、その心身の状況や置かれている環境等を把握し、それらを踏まえた療養上の管理及び指導を行うことをいいます。要支要介護1~要介護5までの方がサービスを受けることができます。要支援1、2の方は介護予防居宅療養管理指導となります。

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続いて、施設などを利用して受けることのできるサービスは下記の通りです。

通所介護

利用者がデイサービスなどに通い、当該施設において、入浴・排せつ・食事等の介護、生活等に関する相談及び助言・健康状態の確認その他日常生活上の世話、機能訓練を行うことをいいます。要介護1~要介護5の方がサービスを受けることができます。平成20年の調査では概ね3人に1人が利用しているサービスです。

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通所リハビリテーション

 介護老人保健施設、病院、診療所等に利用者が通い、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士から機能の維持回復訓練や日常生活動作訓練や入浴などを受けることができるサービスです。要介護1~要介護5までの方がの方が、主治医の指示により受ける事が出来ます。要支援1、2の方は介護予防通所リハビリテーションとなります。入浴設備がない施設も有りますから、ご希望の方は事前に問い合わせが必要です。

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短期入所生活介護

 特別養護老人ホーム等に短期間入所し、当該施設において入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うことをいいます。又家族の身体的及び精神的負担の軽減を図る事が出来ます。要介護1~要介護5までの方がの方が利用できます。要支援1、2の方は介護予防短期入所生活介護となります。

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短期入所療養介護(医療型ショートステイ)

短期入所療養介護(医療型ショートステイ)とは、介護老人保健施設・病院・診療所に短期間入所して看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を受けることのできるサービスです。要介護1~要介護5までの方がの方が利用できます。要支援1、2の方は介護予防短期入所療養介護となります。家族の身体的及び精神的負担の軽減を図る事が出来ます。上記の短期入所生活介護とともにショートステイともいわれます。平成28年のデータによると利用者の97%の方が介護老人保健施設でのショートステイを利用しています。

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特定施設入居者生活介護

介護保険の指定を受けた介護付き有料老人ホームや軽費老人ホーム(ケアハウス)、サービス付き高齢者向け住宅などに入居している方が、施設が行う介護や日常生活上の世話、機能訓練などを受けることができるものです。要介護1~要介護5までの方がの方が利用できます。要支援1、2の方は介護予防特定施設入居者生活介護となります。

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最後に自宅の生活環境を整えるために利用するサービスです。

福祉用具貸与

 福祉用具を指定福祉用具貸与事業者から貸与できるサービスです。要介護1~要介護5までの方がの方が利用できます。要支援1、2の方は介護予防福祉用具貸与となります。貸与される福祉用具は車椅子や体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器などです。入浴や排せつなどでは、入浴用リフト(つり具を除く)、特殊尿器(自動排泄処理装置)は福祉用具の貸与が出来ます。担当ケアマネジャーに事前のご相談が必要です。

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特定福祉用具販売

腰掛便座、特殊尿器の交換可能部分、シャワーチェアー、移動用リフトのつり具の部分、簡易浴槽などの入浴・排泄のための福祉用具の購入費用が年度ごとに10万円を限度に支給されます。このうち1割(所得に応じて2割または3割)は自己負担となります。要介護1~要介護5までの方がの方が利用できます。要支援1、2の方は特定介護予防福祉用具販売となります。限度額は要支援要介護などの区分にかかわらず同じです。

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住宅改修

 自宅の手すりの取付けや段差解消などの小規模な工事費用が20万円を限度に支給されます。このうち1割は自己負担です。ただし一定以上の所得者は費用の8割、7割の支給となります。要介護1~要介護5までの方がの方が利用できます。要支援1、2の方は介護予防住宅改修となります。受給をする際には事前の申請などが必要で、条件もあります。

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施設サービス

次に施設サービスです。介護保険法にて施設サービスに指定されているのは特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設の3つになります。それぞれの特徴やサービスを受けられる方についてご説明します。

特別養護老人ホーム

身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、在宅での介護が困難な方が入所することができます。原則要介護3~要介護5の方が入所することが可能です。特別な状況により以外の方でも特例入所もあります。

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介護老人保健施設

看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話が受けられる施設です。要介護1~要介護5の方が入所できますが、前提として在宅復帰することが条件となります。入居できる期間が短いことも特徴です。

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介護療養型医療施設

療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他の世話及び機能訓練その他必要な医療を受けることができる施設で、主に慢性疾患の病状が安定しているが医療の介入が必要というような方が入所します。要介護1~要介護5の方が入所できます。

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介護医療院

介護医療院とは、病状が安定しているものの胃ろうなどの経管栄養やインスリン注射、たん吸引、カテーテルなどの医学的管理が必要な方を対象とした施設です。食事や排せつなど日常生活上の支援と医療的ケアを一体的に提供しており、長期にわたる療養が可能です。ターミナルケアや看取りにも対応しています。要介護1~5の方が入所できます。

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地域密着型サービス

事業者や施設の指定・監督などを市町村が行い、その地域に住んでいる方がサービスを受けることでき、自宅で受けるサービスと施設で受けるサービスに分類されます。 まずは、自宅で受けられるサービスについてご紹介します。

夜間対応型訪問介護

夜間帯のみに訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問して、排泄などの日常生活上の世話や安否確認等のサービスを受けることをいいます。要介護1~要介護5の方が利用することができ、夜間対応型訪問介護には随時対応と定期巡回があります。定期巡回とは定期的に利用者の自宅を巡回するもので、随時対応とは利用者からの通報によって随時訪問することを言います。  

夜間対応型訪問介護とは?夜間の介護ニーズに応える介護保険サービス | 介護の無料相談&ハウツー「安心介護」

定期巡回、随時対応型訪問介護看護

日中・夜間を通じて、1日複数回の定期訪問と随時の、介護・看護サービスを受けることができるもので、要介護1~要介護5の方が受けることができます。  

定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは?24時間の安心を支える介護サービス | 介護の無料相談&ハウツー「安心介護」

次に施設を利用して受けるサービスです。

認知症対応型通所介護

 デイサービスで認知症に配慮した介護や機能訓練を受けることができるもので、要介護1~要介護5までの方がの方が利用できます。要支援1、2の方は介護予防知症対応型通所介護となります。

認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)とは? | 介護の無料相談&ハウツー「安心介護」

認知症対応型共同生活介護

 認知症の診断を受けた認知症の高齢者が、小規模で家庭的な環境の下で共同生活を送りながら、日常生活の介護や機能訓練など受けることができるもので、グループホームとも言います。要介護1~要介護5までの方がの方が利用できます。要支援2の方は介護予防知症対応型共同生活介護となります。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは? - 介護の専門家に無料で相談「安心介護」介護の基礎知識

小規模多機能型居宅介護

 当該拠点において、家庭的な環境と地域住民との交流の下で、日常生活上の支援や機能訓練を行います。自宅から施設へ通ってサービスを受けることが中心になりますが、短期間の宿泊や利用者の自宅への訪問を組み合わせて利用することができます。要介護1~要介護5までの方がの方が利用できます。要支援1、2の方は介護予防小規模多機能型居宅介護となります。

小規模多機能型居宅介護とは? | 介護の無料相談&ハウツー「安心介護」

複合型サービス

小規模多機能型居宅介護と訪問看護の機能をもち、状態に応じて通い・泊まり・訪問(介護・看護)サービスを利用することができます。要介護1~要介護5までの方が利用することができます。  

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)とは? | 介護の無料相談&ハウツー「安心介護」

地域密着型特定施設入居者生活介護

地域密着型特定施設(定員29人以下の小規模な有料老人ホームやケアハウス等)において自立した日常生活を営むことができるようにケアや機能訓練を受けることができるサービスです。要介護1~要介護5までの方が受けることができます。 >>ケアハウスとは?

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地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護

入所定員が29人以下の小規模な特別養護老人ホームで日常生活上での世話、機能訓練や療養上の世話を受けるものです。要介護3~要介護5までの方が受けることができます。

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介護サービスを受けるためには?

介護サービスを受けるためにはまず要支援あるいは要介護の認定を受けることが必要です。まずはお住まいの市区町村の窓口で申請を行いましょう。申請後、市の職員などによる認定調査や、かかりつけ医の意見書に基づきコンピューターによる一次判定、介護認定審査会による二次判定を経て要介護度が決定します。介護サービスの利用はケアプランに基づいて決定されるため、介護認定を受けたからといってどんなサービスでも受けられるわけではありません。担当のケアマネジャーがケアプランを作成しますので、ケアマネジャーとよく話し合い、自分の生活に合ったケアプランを作成してもらいましょう。

介護保険を利用して介護保険サービスを利用した場合の自己負担額は、サービス利用にかかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)です。もしも1万円近くのサービスを受けたとしても自己負担額は1000円ほどとなります。所得の低い方や、1か月の利用料が高額になった方については、別に負担の軽減措置が設けられています。また、居宅サービスの利用を検討されている方の場合、利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に定められています。

限度額を超えてサービスを利用した場合には全額自己負担となってしまうので注意しましょう。

要介護

支給限度額

要支援1

50,320円

要支援2

105,310円

要介護1

167,650円

要介護2

197,050円

要介護3

270,480円

要介護4

309,380円

要介護5

362,170円

※2019年10月時点

また、施設サービスを利用する場合においておむつや食費といった日用品に関するお金は介護サービス費として給付されず全額自己負担となりますのでこちらも注意が必要です。

まとめ

介護保険サービスにはさまざまな種類があり、受けられる対象者も異なります。自分がどのサービスを受けられるか、またどんなサービスを受けたいかは担当のケアマネジャーとよく話し合って決めるようにしましょう。自分に合った適切なサービスを見つけて効率的に介護サービスを利用してみてください。

介護保険サービスについてまとめました。この記事によって介護保険サービスを理解することができた、あるいは将来的にどのサービスを使いたいか目星がついたという方。また、介護保険サービスの利用の仕組みが理解できたという方はぜひシェアをしていただき拡散していただけると嬉しいです。


 

監修者:福田 菊乃
監修者:福田 菊乃

ケアマネジャー(介護支援専門員)社会福祉協議会の職員として13年勤務。現在は要介護認定調査員を行っている