小規模多機能型居宅介護とは?

小規模多機能型居宅介護は、アットホームな雰囲気と柔軟なサービスで介護される人とする人を支えるサービスです。本記事では、そのサービス内容や費用、利用方法を解説します。介護と仕事を両立させたい方には大変便利なサービスですので、ぜひ確認しておきましょう。

目次

  1. 小規模多機能型居宅介護とは?知っておきたい基本ポイント
  2. 小規模多機能型居宅介護の対象者
  3. 小規模多機能型居宅介護のサービス内容
  4. 小規模多機能型居宅介護でかかる料金
  5. 小規模多機能型居宅介護の利用方法
  6. 住み慣れた地域でアットホームな介護を望む方に

 

小規模多機能型居宅介護とは?知っておきたい基本ポイント

介護サービスを利用する家族のイラスト

小規模多機能型居宅介護の基本ポイントを確認していきましょう。

同一の事業者が訪問・通所・宿泊サービスを提供

小規模多機能型居宅介護は、「通い(デイサービス)」を中心に、必要な時に「宿泊」できるショートステイと自宅で受ける「訪問介護」を組み合わせて、自宅での生活をサポートする介護保険サービスです。「しょうたき」とも呼ばれています。

介護保険には要介護度によって支給限度額があり、その範囲内でサービスを組み合わせます。小規模多機能型居宅介護は、サービス内容や頻度に関わらず一定料金なので、金額を気にせずに利用者の状況に合わせたサービスを組み合わせることができるのがメリットです。

例えば、家族が仕事をしている平日には、朝ご飯を自宅で食べてデイサービスに行き、夕飯を食べてから帰宅。出勤が早い日は、普段よりも30分早くに迎えに来てもらう…など、家族の都合や利用者の介護レベルによって自由にサービスを組み合わせられるので、介護する家族は無理のない生活を送ることができます。小規模多機能型居宅介護を提供している事業所のケアマネジャーがプランを作成しますが、臨機応変な対応が可能です。

すべて同じ事業所がサービスを提供するので、サービスごとに複数の事業所と契約する必要がありません。また、デイサービスで顔見知りになった介護職員や利用者のいる場所でショートステイを利用できるので、アットホームな雰囲気の中、知らない人が苦手な方でも安心して利用できます。

1日当たりの利用定員

小規模多機能型居宅介護事業所では、1日当たりの利用定員が決められています。「通い」の利用者は概ね15人以下、「泊まり」は概ね9人以下と少人数なのが特徴です。

利用者の登録数についても29人以下と定められていますが、登録数が26名以上29名以下でデイサービスの施設が一定の基準を満たしている場合には、1日当たりの利用定員を18人以下とすることができます。

小規模多機能型居宅介護の対象者

介護サービスの対象者について

小規模多機能型居宅介護を受けられる対象者を確認しましょう。

小規模多機能型居宅介護が受けられる方

要介護1以上の認定を受けた方。要支援1、2の方は介護予防小規模多機能型居宅介護となります。

また、介護が必要になっても、住み慣れた地域で生活できるように支援する事を目的とした「地域密着型サービス」のため、小規模多機能型居宅介護の事業所と同じ市区町村に住んでいる必要があります。違う市区町村の事業所のサービスは受けられません。

小規模多機能型居宅介護のサービス内容

小規模多機能型居宅介護のサービス内容について

小規模多機能型居宅介護のサービス内容を見ていきましょう。

通い(デイサービス)

少人数のアットホームな雰囲気の中、食事などの生活上の支援や排泄や入浴などの介護、レクリエーションが受けられます。

小規模多機能型居宅介護のデイサービスでは、朝早い時間や遅い時間の利用など、一般的なデイサービスよりも時間に融通が利くのが特徴です。

訪問サービス

デイサービスと同じ施設の職員が訪問し、以下のようなサービスを提供します。24時間対応可能で、「1回30分以下」というような時間の制限や回数制限はありません。

  • 起床や就寝時のお手伝い(着替え、水分補給、移乗など)
  • オムツ交換やトイレ誘導などの排泄介助
  • 安否確認
  • 服薬介助
  • 配膳や下膳
  • 体位変換
  • 掃除や調理といった生活支援
  • 買い物同行 など

泊り(ショートステイ)

利用者や家族のニーズに合わせて利用できるサービスです。なじみの介護職員や利用者のいる施設を利用するので、安心して宿泊できます。突然の泊りにも対応しており、必要な時になじみの施設が利用できるサービスです。

介護保険サービスには、同様のサービスに短期入所生活介護(ショートステイ)があります。こちらは原則として事前に予約が必要となり、状況によっては日程の調整が必要となります。

併用できるサービス

別の事業所を利用して、福祉用具貸与、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導などの介護保険サービスと併用することが可能です。

他の事業所の訪問介護や通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)を利用することはできません。

小規模多機能型居宅介護でかかる料金

介護とお金

小規模多機能型居宅介護を利用すると、どのくらいの費用が掛かるのでしょうか。その金額を見ていきましょう。

小規模多機能型居宅介護の1月ごとの基本料金

要介護1~5までの小規模多機能型居宅介護費は、以下の金額となります。

小規模多機能型居宅介護費 要介護1 10,423円
要介護2 15,318円
要介護3 22,283円
要介護4 24,593円
要介護5 27,117円

 

要支援1、2の方の、介護予防小規模多機能型居宅介護費は、以下の金額となります。

 

介護予防小規模多機能型居宅介護費 要支援1 3,438円
要支援2 6,948円

※自己負担割合が1割の方の金額です。一定の所得がある場合は、所得に応じて2割または3割負担となります。

※サービス提供事業所と同一建物に居住している場合は、金額が異なります。

※上記は基本的な利用料(「介護報酬の算定構造」令和3年4月改定版)です。サービス内容、サービス提供事業所の所在地などによって金額は異なります。詳しくは担当のケアマネジャー、もしくは市区町村の高齢者窓口や地域包括支援センターにお問い合わせ下さい。

その他にかかる料金

施設で利用した食費やおやつ代、宿泊時の部屋代がかかります。金額はサービス提供事業者によって異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。

また、おむつ代やレクリエーションで利用した材料費などの日常生活費(実費相当額)がかかります。

小規模多機能型居宅介護の利用方法

小規模多機能型居宅介護の利用方法について

最後に、小規模多機能型居宅介護を利用する基本手順を確認しておきましょう。

小規模多機能型居宅介護の利用方法

小規模多機能型居宅介護の利用手順は、以下のようになります。

  1. 担当のケアマネジャーか地域包括支援センターに相談する
  2. ケアマネジャーの助けも借りて、複数のサービス提供事業者をピックアップして見学や体験利用をする
  3. 利用したい事業者が決まったら面談をして、困りごとなどの共有をする
  4. サービス提供事業者(施設)への登録・契約を交わす
  5. 指定日時よりサービス開始

※上記は基本的な流れです。サービス提供事業者やケアマネジャー、利用者の状況によって異なります。

住み慣れた地域でアットホームな介護を望む方に

小規模多機能型居宅介護は、同一の事業所から通い(デイサービス)のサービスを中心に、利用者や家族の希望や状況に合わせて、訪問や宿泊のサービスを利用できる介護保険サービスです。サービス時間や回数などが柔軟に組み合わせられるので、仕事や育児をしながら介護をしている方が無理なく生活することができますし、利用者にとっても顔なじみのスタッフと利用者に囲まれたアットホームな環境で暮らすことができます。介護と自分の生活の両立が難しい、もっと温かい環境で介護を受けさせたいという方は、一度ケアマネジャーに相談してみてはいかがでしょうか。

監修者:鵜沢静香
監修者:鵜沢静香

訪問介護事業所職員、福祉用具専門相談員。2015年から安心介護に関わっており、お話を伺った介護家族や介護職員の影響で介護職員初任者研修を取得し、訪問介護の仕事をスタートしました。2022年には介護福祉士、認知症ケア専門士の資格を取得し、自宅で介護をされる人・介護をする人、どちらも大切にしながら訪問介護の仕事を続けています。