認知症が疑われるときの対処法

認知症が疑われるときの対処

認知症は自分でなかなか気付けないだけではなく、何か症状があっても、なかなかそれが認知症だと受け入れにくいのが特徴です。そのため、家族などいつも一緒にいる人が先に異変に気付き、病院に連れて行くというケースも少なくありません。

NGな行動

過去の脳卒中などが原因で起こる脳血管性認知症では、自分の状態を把握している場合もありますが、多くの認知症の方は、自分が病的な状態だとは把握していません。アルツハイマー型認知症の方では、困っていることを否定したり、答えられない質問をかわすなど、取り繕う場合があります。
>>初期アルツハイマー病に見られる認知症の症状を”取り繕う”ことについて

そんな本人に対してあからさまに「変だ」「おかしい」などという言葉をぶつけてはいけません。なぜなら自尊心が傷つきますし、意固地になって医療機関の受診を拒否するかもしれないからです。

そこで、認知症が疑われる場合と対処の仕方について、詳しくご説明しましょう。

状態を把握しておく

介護の専門家や病院に、「何がどうおかしいと思うのか」を具体的に説明ができるように、下記の項目の状態を把握しておきましょう。

物忘れの種類をチェック

物忘れは、高齢になれば誰にでも見られる症状です。まずは、それが年齢によるものなのか、それとも認知症の初期症状なのかを見極める必要があります。

年齢相応の物忘れなら、体験したことの一部を忘れることはあっても、その経験自体は覚えていますでしょう。しかし認知症による物忘れは、経験自体を忘れてしまうので、いくらヒントを与えても思い出すことはできません。

たとえ同じことを聞かれても、その都度きちんと答えつつ、物忘れの種類を判断してください。

料理や計算力をチェック

これまで当たり前にできていた料理の手順がわからなくなったり、計算ができなくなったりします。

ものごとの段取りや手順がわからなくなっている場合は認知症が疑われます。また、テレビを見ていても、内容が理解できなくなることもあるでしょう。

一緒に料理を作ったりテレビを見たりしながら、今までとの違いを確認してみてください。

情緒不安やうつ症状をチェック

突然イライラしたり、落ち込んだり、あるいは1人になることを極端に怖がっている場合は、認知症の初期症状かもしれません。

また、認知症と似た症状を示すものに老人性うつ病があります。
>>“老人性うつ病”とは 認知症に似た症状も

本人自身が「自分は変だ」と訴えることもあります。もの忘れなどに問題が出ていなくても、幻覚や幻聴といった異変が出ている場合もあります。

興味・関心・社会適合性をチェック

好きだった趣味やテレビ番組に興味を示さなくなったり、出掛けるのを嫌がったりするようになるのも、認知症の症状の1つです。

身だしなみに気を使わなくなったり、何に対しても意欲が出なくなったりしているようなら、認知症かもしれません。また、最近では軽度認知障害(MCI)または認知症の前に気分や衝動、社会適合性の変化が現れることがわかり、早期発見のポイントとなるのではないかと期待されています。
>>気分や衝動、社会適合性などの変化=認知症の兆候?チェックリストを公開

積極的に散歩や買い物に連れ出してみましょう。

チェックシートを利用する

病院の認知症診断にも広く利用されている「長谷川式簡易知能評価スケール」を使って、自己診断するのも1つの方法です。

年齢や日付など簡単な9つの質問に答えていき、満点30点のうち20点以下の場合は認知症が疑われます。
>>「もしかしたら?」と思ったらやってみよう!動画を見ながらできる長谷川式認知症スケール

その他にも認知症かどうかをチェックするポイントや方法にはいくつかあります。
>>家庭で認知症かどうかをチェックするポイント

ただし、あくまでも結果は参考程度なので、最終的には医療機関で医師の診断を仰ぎましょう。

包括センターなどに相談する

家族がおかしいと気づいても、本人がまだ受け入れられなければ、受診をしたがらない場合があります。

認知症が疑われる本人の行動や発言などを細かくメモし、まずは地域の包括センターなどに相談してみてください。

どうすればうまく受診を促せるかのアドバイスがもらえるかもしれませんし、介護保険サービスを受けるまでの流れなどを把握することができます。

医療機関を受診する

認知症は、早期発見・早期治療で進行を遅らせることができます。本人が自覚したり、家族が異変に気付いた時には、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

受診を嫌がるときには、「健康診断に行こう」や「インフルエンザの予防接種に行こう」などと声をかけてみてください。
>>認知症の受診や診断を嫌がるときの対応方法

受診はお早めに!

安心介護会員向けに行ったアンケート調査でも、認知症を疑ってから受診するまでの期間が短いほど公開が少ないという結果が出ています。
>>【アンケート結果】認知症を疑ったきっかけと受診までの期間について

認知症の症状の中には、他の病気と間違いやすいものも少なくありません。そのため、きちんと専門家に判断してもらうことが大切です。病院では簡単な認知機検査に加え、CTやMRIなどの画像による診断で総合的に判断します。