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介護保険制度とは

介護保険制度は2000年4月1日に施行され、すでに長い年月が経っていますが、ご自身、あるいは親が介護保険制度を利用したいと思ったとき、その内容をある程度理解しておかないと正しく利用することができません。そこでここでは、改めて「介護保険制度とは何か」を解説していきます

介護支援制度について

目次

  1. 「個人や家族で支える」から「社会全体で支える」ためにできた制度
  2. 介護保険制度の理念は「自立」と「自己選択」
  3. 介護保険を利用できる人
  4. 介護サービスを受けるには
  5. 利用できる介護サービス
  6. まとめ

「個人や家族で支える」から「社会全体で支える」ためにできた制度

一言でいうと、介護保険制度は、日本の介護の現状を打開するために生まれたものです。

その昔、3世代同居などで家族の人数が多いときは、介護することが今ほど大きな負担ではありませんでした。ところが核家族化が進み、さらに平均寿命が延びるようになって高齢化が進むと、家族の負担が大きくなり、介護のために仕事を辞めざるを得なくなる、いわゆる介護離職をする人も出てくるようになり社会問題となってきました。

この現状を解決するために創設されたのが介護保険制度です。その大まかな内容は、国民がお金を出し合い、そのお金を使って介護を必要とする人に必要な介護サービスを提供し、介護をする人の負担を減らそうというものです。つまり、介護が必要な人を「個人や家族で支える」のではなく、「社会全体で支える」ことを目的にしてつくられたのが介護保険制度なのです。

介護保険制度の財源は、「公費(税金)」と「40歳以上の人が払う介護保険料等」2つで、その割合は約50%です。

介護保険料は生涯にわたって払い続けなければならず、65歳未満の人は健康保険料などと一緒に徴収され、会社員の場合は給料から天引きされます。65歳以上の人は年金から天引きとなります。介護保険を支払わなかったり長く滞納すると、自己負担額が増えてしまい、介護サービスも受けられない可能性があります。

介護保険料は住んでいる市町村によって違いますが、第7期計画期間(2018~2020年度)の介護保険の第1号保険料(下記参照) の全国平均は月5,869円でした。

介護保険制度の理念は「自立」と「自己選択」

社会全体で介護が必要な人を支えるために創設された介護保険制度ですが、いくつかの基本理念の上に成り立っています。

その1つが「自立支援」です。利用者の能力に応じて自立した日常生活が営むことを目的にしており、利用者の「できないこと」ではなく「できること」に着目し、それをサポートすることで自立した生活を目ざしていきます。

2つ目は「自己選択」です。自治体や医療の専門職からさまざまなサービスが提供されますが、どのサービスを受けるのかを決めるのはあくまでも利用者本人であるという考え方です。

介護保険を利用できる人

介護保険制度を利用できるのはどのような人でしょうか。利用できるのは大きく次の2つです。

第1号被保険者

65歳以上で、「要支援状態」か「要介護状態」と認定された方です。要支援と要支援は、ともに日常生活で必要とするサポートの度合いを示したものです。

要支援はまだ介護は必要ないものの、現状のままだと介護が必要となるため、今のうちから支援しようという

状態のことで、「要支援1」と「要支援2」の2段階があります。 要介護は文字通り「介護を必要とする状態」のことで、「要介護1~5」までの5段階があり、数字が大きくなるほど要介護度が大きくなります。

第2号被保険者

40歳以上64歳までで、次の特定疾病(※)と診断されている方です。

※特定疾病

がん(末期)、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、後縦靭帯骨化症、骨折を伴う骨粗鬆症、初老期における認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病、脊髄小脳変性症、脊柱管狭窄症、早老症、多系統萎縮症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患、両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護サービスを受けるには

介護サービスを利用するには、まず「要支援」か「要介護」の認定を受ける必要があり、利用するまでには大きく次の6つの段階があります。

①申請する

介護保険制度を利用して介護サービスを受けたいと思った方は、まず申請をしなければなりません。窓口は市区町村のほか、自治体によっては「地域包括支援センター」などで申請の手続きを代行してくれることがあります。窓口やWeb上で申請書を入手し、そこに必要事項を記入して提出します。

65歳以上になると自治体から「介護保険の被保険者証」が郵送されますが、これが申請のときに必要となります。40~64歳の第2号被保険者は「医療保険の被保険者証」が必要です。

②調査する

「要支援(要介護)認定」の申請が出されると、市区町村などは、認定調査員を介護サービスを受けたい人の自宅に訪問させて、本人やその家族から直接ヒアリングします。このときの調査内容は全国どこでも同じものです。市区町村などはかかりつけ医に依頼して、心身の状態について主治医意見書の作成してもらいます。

③審査&判定

ヒアリング調査と主治医意見書ができたら、それを元に審査が行われます。医療、福祉関係者などが集まった「介護認定審査会」で審査され、要支援1~2、要介護1~5のどれにあ たるか判定されます。

④認定結果の通知

認定結果が通知されます。原則として、申請から30日以内に市区町村が行います。

⑤ケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプラン(介護計画)を作成する

ケアプランの作成は大きく2つに分かれます。まず、「要介護1~5」と認定された人は、居宅介護支援事業者と契約を交わします。居宅介護支援事業者は、介護保険で受けられる各種のサービスの費用の計算や請求などを代行してくれる事業所で、そこに所属するケアマネジャーにケアプランを作成してもらいます。居宅介護支援事業者は、市区町村や地域包括支援センターなどで紹介してもらえます。

要支援1~2と認定された人は、地域包括支援センターの職員が本人の生活環境や心身の状況、要望などからケアプラン(介護予防サービス計画)を作成していきます。

⑥介護サービスを利用する

作成されたケアプランに基づいて介護サービスを利用することができます。負担金額はかかった費用の1割で、収入が一定以上ある場合は2割、とくに所得が高い場合は3割になります。

利用できる介護サービス

利用できる介護サービスは、自宅で利用できるもの、デイサービスなど日帰りで施設を利用するもの、ショートステイなどの宿泊サービス、特別養護老人ホームなどの長期に施設で生活するものなど、数多くあります。主なサービスは下記の通りですが、詳細は市区町村や地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。

自宅で利用するサービス

訪問介護  食事、入浴、排泄などの介護のほか、掃除、洗濯、調理などの家事を行います 
訪問看護  退院後も医療的な処置が必要な場合などに行われます 
福祉用具貸与  車イスやベッドなどのレンタルサービスです 

日帰り施設などを利用するサービス 

通所介護(デイサービス)  通所介護施設に通い、食事や入浴などのサービスを行います 
通所リハビリテーション(デイケア)  日帰りでリハビリのサービスを行います 

短期・長期に入所するサービス

短期入所生活(ショートステイ)  短期間入所して、食事や入浴などのサービスを行います。 
介護する家族の負担軽減になります 
特別養護老人ホーム  自宅での介護が困難な方が入所することができます 
経費老人ホーム(ケアハウス)  60歳以上の高齢者が食事や洗濯などの介護サービスを受けられる、費用負担が少ない施設です 

その他

小規模多機能型居宅介護  施設への通いと宿泊、自宅への訪問などを組み合わせることができます 
定期巡回・随時対応型訪問介護看護  24時間365日、介護・看護の両方から必要なサービスを提供します 

まとめ

介護サービスは介護保険を払っている人で、「要支援」か「要介護」と認定されれば誰でも受けることができます。 ご自身や親の体調がすぐれなかったり生活面で不自由がある場合は、ぜひ市区町村や地域包括センターに相談してみましょう。今の生活を楽にすることができるかもしれません。

(編集:株式会社物語社)


下正宗先生

監修:下 正宗(しも まさむね)

東葛病院臨床検査科科長。1984年広島大学医学部卒。

認定病理医、臨床検査専門医、プライマリケア指導医。『最新 目で見る介護のしかた全ガイド』『家庭でできるリハビリとマッサージ』『介護用語ハンドブック』(成美堂出版)、『絵を見てわかる認知症の予防と介護』(法研)、『体位変換・移動・リハビリの介助』(桐書房)、『身近な人の上手な在宅介護のしかたがわかる本』(自由国民社)など、著作・監修多数。