介護保険の自己負担分と利用できる限度額や負担軽減策について

介護サービスを受けながら在宅での生活を続けていく場合、介護保険で利用できる1ヵ月の上限額(支給限度額)が要介護度によって決まっています。この金額を区分支給限度基準額といいます。この限度額内であれば、介護保険サービスを原則として1割(一定の所得がある方は、所得に応じて2割または3割)の自己負担で利用できますが、超えた金額については全額自己負担となります。

介護保険のサ−ビス利用限度額とは

【目次】

1.区分ごとの介護サービス利用限度額(1ヵ月あたり)
2.自己負担割合について
3.負担軽減策

区分ごとの介護サービス利用限度額(1ヵ月あたり)

居宅サービスでは、区分ごとに介護サービスの利用限度額が下記のように定められています。

要支援 50,320 円
要支援 105,310 円
要介護 167,650 円
要介護 197,050 円
要介護 270,480 円
要介護 309,380 円
要介護 362,170 円

※2021(令和3)年3月現在

介護保険制度で利用できる居宅サービス

自宅で暮らしながら受けられる介護サービスには以下のようなものがあります。

  • 訪問介護や訪問看護、訪問入浴など、自宅で受けるサービス
  • デイサービスなど、通所により受けるサービス
  • ショートステイなど、短期入所により受けるサービス
  • 地域密着型サービス
  • 介護用具の購入補助や貸与
  • ケアマネジメント

>>介護保険制度で受けることが出来る介護サービス

ほとんどの方が利用限度額に納めている

安心介護会員を対象にした利用限度額(支給限度額)に関するアンケートでは、4人に3人の方が、利用限度額のために諦めている介護保険サービスは「ない」と回答しています。
>>【アンケート結果】介護保険サービスの「利用限度額」に介護家族はどう向き合っている?

自己負担割合について

介護保険サービスの自己負担割合は、所得金額によって異なります。介護保険制度が始まってから、自己負担割合は原則1割とされていましたが、2015年の介護保険改正にて、一定以上の所得がある方の自己負担割合が2割に引き上げられました。さらに2018年8月からは、2割負担の人の一部の方は3割負担に引き上げられました。

▼3割負担の人
・合計所得金額が220万円以上であり、
年金収入+その他合計所得金額=340万円以上(単身世帯)
年金収入+その他合計所得金額=463万円以上(夫婦世帯)
・単身で年金収入のみの場合は344万円以上に相当

▼2割負担の人
・合計所得金額が160万円以上であり、
年金収入+その他合計所得金額=280万円以上(単身世帯)
年金収入+その他合計所得金額=346万円以上(夫婦世帯)
・単身で年金収入のみの場合は280万円以上に相当

▼1割負担の人
上記に当てはまらない人

※合計所得金額=給与収入や事業収入などから給与所得控除や必要経費を控除した金額

介護保険施設に入居している場合には、負担割合に応じた費用の負担のほかに、居住費、食費、日常生活費も必要になります。

負担軽減策

収入の低い方など、介護保険の利用料金が所得に対して高額になってしまう方でも、無理なく介護保険サービスを利用できるように、負担軽減策が設けられています。

この負担軽減策が適用される金額は、所得によって変わってきます。

まず、自分がどの区分に当てはまるのかを確認しておきましょう。

所得ごとの区分

【第1段階】
・生活保護者など
・世帯全員が市町村民税非課税+老齢福祉年金を受給している

【第2段階】
・世帯全員が市町村民税非課税+本人の公的年金収入額と合計所得金額が80万円以下

【第3段階】
・世帯全員が市町村民税非課税で第1段階にも第2段階にも当てはまらない方

【第4段階】
・市区町村民税課税世帯で年収770万円未満*

【第5段階】
・市区町村民税課税世帯で年収約770万円~約1,160万円未満*

【第6段階】
・市区町村民税課税世帯で年収約1,160万円以上*

*2021(令和3)年8月から

高額介護サービス費

「高額介護サービス費制度」は、自己負担額の合計が同月に一定の金額を超えると申請によって、超過分が支給される制度です。

自己負担の上限金額は、区分ごとに下記のように定められてします。

・第1段階:15,000円(個人)
・第2段階:24,600円(世帯)、15,000円(個人)
・第3段階:24,600円(世帯)
・第4段階:44,400円(世帯)
・第5段階:93,000円(世帯)*
・第6段階:140,100円(世帯)*

*2021(令和3)年8月から

>>高額介護サービス費制度とは

▼自己負担があるのに高額介護サービス費を「知らない」という人も

安心介護会員を対象にした利用限度額(支給限度額)に関するアンケートでは、自己負担を超えて介護サービスを利用している人は14%おり、そのうちの40%が「高額介護サービス費制度を知らない」と回答しています。
>>【アンケート結果】介護保険サービスの「利用限度額」に介護家族はどう向き合っている?

利用限度額を超えている人は、一度ケアマネジャーに申請の対象ではないかを確認してみるといいでしょう。

高額医療・高額介護合算療養費制度

医療保険や後期高齢者医療制度などを使っている世帯に介護保険の受給者がいる場合に適用される制度です。世帯単位で医療保険と介護保険の自己負担額の合計金額が「自己負担限度額」を超えた場合に、超えた分の金額が支給されます。

自己負担限度額は年齢や所得などによって、細かく区分されています。適用される条件や申請方法などの詳細は、下記の記事を参考にしてください。
>>意外と多くの人が当てはまる!? 高額医療・高額介護合算療養費制度

特定入所者介護サービス費

介護保険施設を利用する場合には、介護保険サービス費用の他に、居住費、食費、日常生活費などが発生します。

●施設サービス自己負担の1ヵ月(30日)あたりの目安

要介護5の人が特別養護老人ホームの多床室を利用した場合
施設サービス費: 約25,500円/月
居住費:約25,650円/月(855円/日)
食費:約42,000円/月(1,392円/日)
日常生活費:約10,000円/月
合計:約102,200円/月

※個室や多床室〔相部屋〕などの部屋タイプや要介護によって自己負担額が変わります
※施設サービス費用は1割負担の場合。一定の所得以上の人は、2割または3割となります

このうち、レクリエーションや理容費などの「日常生活費」については、施設によって設定されている金額です。全額実費負担となります。

居住費や食費については、所得などが一定の基準に満たない方に対して負担限度額が設けられています。事前に市区町村への申請が必要ですので、ケアマネジャーに確認をしてください。

介護保険施設とは>

介護保険施設とは下記3つの施設です。また、該当施設であれば、ショートステイ時にも特定入所者介護サービス費は適用されます。

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・介護老人保健施設(老健)
・介護療養型医療施設(療養病床)/介護医療院

特定入所者介護サービス費の適用対象

特定入所者介護サービス費の適用を受けるには、事前に市区町村に申請をします。所得が【第1段階】【第2段階】【第3段階】と認定されれば、特定入所者介護サービス費が適用されます。

負担限度額(日額)

▼食費(日額)

基準費用額:1,392円
第1段階の負担限度額:300円
第2段階の負担限度額:390円
第3段階の負担限度額:650円

▼居住費の負担限度額

居住費の負担限度額は、所得段階のほかに、入所している施設の種類や部屋のタイプによって異なります。ショートステイの場合も同じです。

【介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)】

基準費用額:855円(多床室)~2006円(ユニット型個室)
第1段階の負担限度額:0円(多床室)~820円(ユニット型個室)
第2段階の負担限度額:370円(多床室)~820円(ユニット型個室)
第3段階の負担限度額:370円(多床室)~1310円(ユニット型個室)

【介護老人保健施設(老健)/介護療養型医療施設(療養病床)】

基準費用額:377円(多床室)~2006円(ユニット型個室)
第1段階の負担限度額:0円(多床室)~820円(ユニット型個室)
第2段階の負担限度額:370円(多床室)~820円(ユニット型個室)
第3段階の負担限度額:370円(多床室)~1310円(ユニット型個室)
>>食費と居住費が減免される!? 特定入所者介護サービス費とは?

※この記事は2021年3月情報で作成しています。

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