【アンケート結果】介護保険サービスの「利用限度額」に介護家族はどう向き合っている?

【アンケート結果】介護保険サービスの「利用限度額」に介護家族はどう向き合っている?

原則1割(一部2割*1)負担で利用できる介護保険サービス。ケアマネジャーと話し合い、どの介護保険サービスを利用するかを決めるのですが、要介護度によって介護保険が適用される1ヵ月の利用限度額(支給限度額)が決まっており、思うようにサービスを受けられないことがあります。
>>介護保険の負担割合と負担限度額

*1:2018年8月より、一定の所得がある方は、所得に応じて自己負担割合が2割または3割になります

この介護保険サービスの利用状況や、利用限度額(支給限度額)に対する介護家族の思いについて、安心介護では会員を対象にアンケート調査を実施し、148名から回答を得ました。

その結果をお知らせします。

介護保険サービスを利用しているのは約9割

まず、介護保険サービスを利用しているかどうかについて聞いたところ、130名(88%)が「利用している」と回答しています。

130名の方を対象に、利用している介護保険サービスを伺うと、最も多く利用されているのが「デイサービスなどの通所介護」(58%)、続いて「福祉用具貸与」(42%)でした。

▼利用している介護保険サービス(複数回答)

デイサービスなどの通所介護:76名、58%
福祉用具貸与:54名、42%
短期入所サービス、ショートステイ:29名、22%
その他、施設・居宅系サービス:23名、18%
訪問介護:20名、15%
訪問リハビリ:19名、15%
訪問看護:17名、13%
特別養護老人ホームへの入所:15名、12%
訪問入浴介護:10名、8%
介護老人保健施設への入所:8名、6%
その他、在宅系サービス:5名、4%
介護療養型医療施設への入所:2名、2%
その他:0名、0%

利用限度額により諦めている介護保険サービスが「ない」(74%)

続いて「利用限度額(支給限度額)のために利用を諦めている介護保険サービスはありますか?」と聞くと、109名が「ない」と回答しています。

残りの21名の方は、利用限度額(支給限度額)のためにどんな介護保険サービスをあきらめているのでしょうか。

▼利用限度額(支給限度額)により諦めている介護保険サービス(複数選択)

福祉用具貸与:10名、7%
訪問リハビリ:8名、5%
訪問看護:6名、4%
その他、在宅系サービス:6名、4%
短期入所サービス、ショートステイ:6名、4%
デイサービスなどの通所介護:5名、3%
特別養護老人ホームへの入所:5名、3%
訪問介護:4名、3%
その他、施設・居宅系サービス:4名、3%
訪問入浴介護:3名、2%
介護老人保健施設への入所:2名、1%
その他:2名、1%
介護療養型医療施設への入所:0名、0%

「その他、在宅系サービス」で最も多かった声は、「介護タクシー」。6名のうち3名があげています。
>>介護保険タクシー・介護タクシーとは 費用と利用の流れ

利用限度額を超えて介護保険を利用している方は14%

介護保険の利用限度額(支給限度額)を超えてしまっているため、自己負担となっている介護サービスはありますか?」と聞いたところ、「はい」と答えたのは20名(14%)にとどまり、ほとんどの方は利用限度内におさめていることがわかりました。

高額介護サービス費の支給制度を利用しているのは45%

 

自己負担となっている介護サービスがある20名の方に、「高額介護サービス費制度」を利用しているかを伺うと、利用していたのは9名(45%)でした。
>>高額介護サービス費制度とは

 

利用していない理由としては、「上限額に達していないため」(10%)、「町から補助が出ている」(5%)のほか、「高額介護サービス費制度を知らない」(40%)と言う声もありました。

「高額介護サービス費制度」は、自己負担額の合計が一定金額を超えると申請によって、超過分が支給される制度です。自己負担額がある方は、必ずケアマネジャーに確認をしてみたほうがいいでしょう。

利用限度額(支給限度額)に対するコメント

最後に利用限度額(支給限度額)に対するコメントを自由にあげていただきました。その中でもっと多かったのは、「要介護度ではなく、個々に応じた限度額の設定が必要」との声でした。

要介護度ではなく、個々に応じた限度額の設定が必要との声

・ウチは、使い切れないです。個々の事情で必要額が違うのに一律では、困っている人がいるかもと思います

・遠距離介護のため、病院の付き添いや薬の管理など、近居であれば利用しなくてもよいサービスを利用しています。この先更に介護サービスを利用したいときに限度額を超えるので利用できないサービスがあったり、全額自己負担になることもあるかもしれません。
遠距離介護の場合に利用限度額を増やすことができたら助かります

要介護5の介護度の幅が広すぎます。医療度の高い要介護者の訪問看護師 は医療保険を優先して使用し、他の介護サービスを入れられるようにしないと、介護者の負担が大きすぎるとおもいます

・重度の認知症に特化したサービス並びに施設の充実とそれに対する利用限度額の補助制度の整備が迫られていると思います

・介護者の負担は、身体的な事もありますし、認知症の有無でまた変わると思います。個人的には、介護される側、介護する側の立場にたった改善が必要でないかと考えます

一方で「公的負担の限界もあるので仕方ない」という声も少なくはありませんでした。

回答者の属性について

▼あなたは主介護者ですか?
はい: 74%
いいえ: 26%

▼あなたと要介護者との関係は?
親(義理含む): 91%
兄弟姉妹(義理含む) :1%
配偶者:5%
その他:3%(祖父、義祖父母、叔母3 名)