電動車いすの種類と選び方

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電動車いすとは?

電動車いすとは電動モーターで動くタイプの車いすのことで、一般的な車椅子の使用が困難なときに利用されます。

手元のジョイスティックレバーやハンドルを使って操作するため、手先が動けば使うことができます。長時間の移動や坂道も手動式と比べて楽になり、使用者の負担を軽減してくれます。
 
道路交通法では歩行者と同様に扱われるため、手動式の車椅子と同様に歩道を走行できます。屋外で走行する場合も、運転免許は必要ありません。

電動車いすの種類

電動車いすの種類は、使用者自身が操作を行う「自操型」と、車いすを押す介助人をサポートする「介助型」に大別できます。

自操型

自操型の電動車いす、標準型、シニアカー、簡易型の3種類に分けられます。以下で、それぞれの特徴について解説します。

標準型

標準型



引用元:serio888.net

手元のジョイスティックレバーを操作して動かすタイプです。車いすを動かしたい方向にレバーを倒すと、レバーを傾けている間だけその方向に動きます。さらに、レバーを倒す角度によってスピードを変えることができます。

電動モーターが搭載されている分、一般的な車いすより重いですが、大きさはそれほど違いません。室外だけでなく室内の利用にもよく選ばれます。

シニアカー

シニアカーとは、高齢者向けのカートタイプの電動車いすです。スクーターと似た形をしており、ほかの車いすと区別して「電動三・四輪車」とも呼ばれます。ジョイスティックレバーではなく、ハンドルで操作を行います。

ハンドルで方向を変えられるほか、アクセルレバーやブレーキレバーを使ってスピードの変更や停止などを行えます。安定感があり長距離での利用に便利な一方で、大型で小回りが利かないため室内での使用には不向きです。

簡易型

電動でない一般的な車いすに電動ユニットを装着したタイプです。標準型やシニアカーよりも軽量で、折りたためるなど持ち運びに便利なものが多いのが特徴です。標準型と同じく、手元のジョイスティックレバーで操作します。

バッテリーを取り外すことが可能なため、ほかの2つの車いすのように車体ごとコンセント近くに持っていかなくても充電ができます。ただし、バッテリーが小さいため、ほかの電動車いすより走行距離が短くなります。

介助型

介助型とは、使用者が自分で操作する自走型とは異なり、介助者の負担を軽減することを目的とした電動車いすです。坂道を走行する際のアシスト機能やブレーキ機能などが付いており、介助者がグリップで操作します。

自走型の簡易タイプと同じく、バッテリーを取り外すことができるほか、本体は軽量で、折りたたみが可能です。

電動車いすの選び方

電動車いすを選ぶ際は、使用者の状態に合ったものを選びましょう。まず、

  • 自分でジョイスティックレバーを操作できるか
  • 周囲の状況を判断して危険を回避できるか
  • バッテリーの着脱ができるか

を確認しましょう。

もし一つでも不安を感じる場合は、自操型をひとりで使用するのは難しく、介助型を選んだ方が良いでしょう。

また、使用者の身体のサイズに合ったものを選ぶことも大切です。背もたれ、肘掛の位置、座幅などが適切であるかを確認してください。

最後に、使用スタイルも考慮しましょう。屋内での使用なら、小型で小回りが利くタイプがおすすめです。廊下や部屋を問題なく移動できるものを選んでください。屋外で使う場合は、乗り心地の良さを重視するといいでしょう。

介護保険(介護度の制限)

電動車いすは要介護2以上であれば介護保険でのレンタルの対象です。さらに、要介護1以下であっても「日常的に歩行が困難」あるいは「日常生活範囲における移動の支援が特に必要」と認められる場合はレンタルができます。

電動車いすの注意点

道路交通法で「歩行者」として扱われる電動車いすは、歩道を走行できるほか、運転免許を持っていなくても乗ることができます。このように気軽に利用できる一方で、事故には十分に注意することが必要です。

電動車いすを初めて使用するときは、事前に操作の仕方をよく練習しておくことが大切です。また電動車いすで外出する前にはいつでも、バッテリー残量が十分に残っているかのチェックとタイヤの点検を忘れずに。

屋外に出たら、歩行がある場合は歩行を通るようにしてください。走行する際は速度を出しすぎないようにして、周囲の状況によく気を配ばりましょう。

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【この記事の監修者】

中村 静江(なかむら しずえ) /訪問看護ステーションとんぼ

中村 静江

1998年理学療法士資格取得後、永生病院リハビリテーション科に勤務。病棟勤務を経て、訪問リハビリテーションおよびデイケア業務に携わる。2014年国際医療福祉大学大学院にて福祉援助工学分野修士課程を修了し、現在は福祉用具プランナー管理指導者として、福祉用具プランナー研修などの場で講師活動も行う。