電動車椅子とは 種類と選び方

歩行が困難になった要介護者が少し距離の長い移動を行うときには、 電動車椅子 を使うと便利です。また、普段の移動でも坂道が多い場合などには、介護者にとっても電動車椅子を使った方が楽に移動できるでしょう。

電動車椅子の種類や選び方、介助のポイントや使用上の注意点を解説します。

 

 電動車椅子とは 種類と選び方

電動車椅子とは

電動車椅子は車椅子の一種で、搭載したバッテリーの電気によってモーターが駆動して走行する車椅子です。

介護保険制度が導入され、原則として要介護2以上であれば介護保険内でレンタルができることから、電動車椅子は近年、利用者が急速に増えています。身体障害者や要介護者の移動手段として長距離移動も行えることから、介護者の負担を軽減することが可能です。

尚、道路交通法では「身体障害者用車椅子」に定められていて、「電動車椅子」もこの範疇に入り「歩行者」として扱われます。そのため、電動車椅子を利用する人は「歩行者」のルールが適用されます。もちろん免許も必要ありません。自転車や軽車両、原付などと同じと考える人がいますが、注意しましょう。

介護保険内でのレンタルも可能

また、原則として要介護2以上であれば、レンタル時に介護保険が適用されます。また、「日常的に歩行が困難な人または、日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる人」とされれば、要介護1以下でもレンタルが可能です。

詳しくはケアマネジャーに相談をしてみてください。
>>福祉用具貸与(レンタル)とは 特徴と活用方法
>>車椅子をレンタルするための準備

電動車椅子の種類

電動車椅子にはいくつか種類があり、さらにメーカーによってデザインや形状、操作方法などが違います。ここでは、自分で操作する自操用(ハンドル形/シニアカー、ジョイスティック形)と介助用の2つについてご紹介します。

自操用(ハンドル形/シニアカー、ジョイスティック形)

自操用の電動車椅子は、ハンドルやジョイスティックがついており、自分で操作する電動車椅子です。

ハンドルが付いているスクーター型の電動車椅子は、シニアカーとも呼ばれており、スクーターに似た見た目が特徴です。中には、タウンカートなどの名前が付いているものもあります。

スクーターと同じようにハンドルがあり、ブレーキレバーやウインカースイッチ、アクセルレバー、各種表示灯、前後進切り替えスイッチなども搭載しています。音声案内や警報音スイッチがあり、音声で坂道などをお知らせしてくれます。誤操作や異常を警告してくれますので、操作はしやすいでしょう。

電動車いす ハンドル型(シニアカー)

電動カート スズキセニアカー

引用元:ダスキンヘルスレント

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ハンドル式のほかに見た目は一般的な車椅子と同じで、手元のジョイスティックで操作するタイプもあり、「ジョイスティック形」と呼ばれています。

介助型

介助型の電動車椅子とは、基本的に介助者が補助を行う車椅子です。

介助型電動車椅子は、介助者の負担を軽減することを考えて設計されています。坂道などでは上り坂でパワーアシスト、下り坂でモーター発動ブレーキが働くなどの機能が付いています。センサーやモーターが内蔵されているタイプもあり、速度切り替えの操作が不要なものも。介助型電動車椅子の中には、介助型と自走型兼用のものやパワーユニットを装着したタイプなどもあります。

電動車いす 介助用

電動車いす介助式 タウニィジョイエックス(標準)

引用元:ダスキンヘルスレント

ジョイスティック形電動車椅子の構造と名称

電動車椅子の構造と名称

手押しハンドル

介助者が車椅子を操作するときに使用します。

介助用ブレーキ

介助者が操作するブレーキです。自転車のブレーキと同じように使います。坂道などではブレーキを使ってスピードを調整しながら降ります。

背折れジョイント

手押しハンドルを簡単に折りたたむことができます。

駆動輪

電動車椅子の駆動用車輪のことです。用途に合わせたタイヤを選んで使用します。

ティッピングレバー

段差などで介助者が前輪を上げるときに足を掛けて踏み込むためのレバーです。

転倒防止バー

車椅子が後方に転倒するのを防ぐ装置です。

アームサポート

肘掛けのことです。姿勢を保ったり、立ち座りを支持したりするために使います。

フレーム

強度の高い材料、アルミ合金などが使われています。

サイドガード

衣類が駆動輪に巻き込まれないように、汚れることのないように防ぐためのカバーです。

駐車用ブレーキ

車椅子を停止、制動するためのブレーキです。

キャスタ

前輪のことです。前輪は後輪に比べて直径が小さく、360度回転します。

レッグサポート

足を後ろに落とさないためのものです。両側の支柱に張ったものや左右を分割した独立調整が可能なものなどがあります。

フットサポート

足の支持部で、跳ね上げることができます。

バックサポート

背もたれのことです。体に合わせやすいように調整できるものもあります。

クッション

床ずれ防止や振動の緩衝作用、姿勢保持に使います。

シート

座面のことです。

クロスパイプ

折りたたみフレームのことで、折りたたみしやすさと軽量化が考えられています。

電動車椅子の選び方

電動車椅子は、上肢に力のない人でもコントロールさえできれば使用可能です。電動車椅子の選び方について解説しましょう。

まずは要介護度や座位保持能力など、それぞれの身体の状態を確認しましょう。次に使用する場所を考えます。屋内で使用する場合は、小回りが利くものがおすすめです。屋外で使用する場合は、座り心地や乗り心地がよく押しやすいものが良いでしょう。また、使用者の移乗方法も考えなければなりません。

・立って移乗できる
・座った状態で移乗する
・用具を使って移乗する
・介助してもらいながら移乗
・体形に合っている など

使用者が車椅子へ移動するときや、車椅子から他の所へ移乗するのがスムーズにできるものを選んでください。

また、事業者の福祉用具専門相談員に相談をしながら選定してもらうといいでしょう。

タイプ別、電動車椅子介助のポイント

介助型電動車椅子を利用する場合、それぞれのタイプによって介助方法が異なります。介助をする人は、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

ジョイスティックタイプ

走行中に、一定の力でスイッチを操作しなければなりません。車椅子のスピードや動きに追従して、介助者が動く必要があります。操作を理解し、判断する能力が介助者に必要です。あらかじめ試しておきましょう。

直進補助タイプ

直進のみ電動駆除を行い、左右への操作は手動で行うものは、操作スイッチが1つなので理解しやすいタイプです。ハンドルで、左右のコントロールをしながらスイッチを操作します。

負荷補助タイプ

坂道などに入って負荷が増えると、グリップに内蔵されたスイッチが入って駆動補助が始まります。そして、負荷がなくなると自動的にスイッチが切れて、通常の手動状態に戻る仕組みです。補助駆動が入るのは一定の負荷がかかっているときのみ。力の入れ具合で動作補助が途切れることもあります。そのため、動作に慣れが必要です。

電動車椅子による事故に注意

電動車椅子は事故の多い福祉用具であり、独立行政法人製品評価技術基盤機構や消費者庁などが注意を呼び掛けています。

主な事故内容としては、
・川や海、穴への転落
・踏切内への侵入や立ち往生などにより、電車と接触
・誤操作による衝突など
があげられます。

特にハンドル形のものは、「手を乗せる程度で簡単に発進してしまう仕組み」「前輪近くの路面が見えにくい構造」などが、事故につながっていると考えられています。
>>ハンドル形電動車いすでの重大事故 消費者庁が原因調査報告書を公表

対策方法

・十分に練習をし、定期的に安全運転講習会に参加をする
・飲酒時や眠くなる薬の服用時、体調の悪い時には運転しない
・路肩によりすぎないように気を付ける
・特に人気のない踏切の横断はできるだけ避ける
・急な坂道は避ける
・取扱説明書に従って、タイヤやブレーキの状態を日常的に点検する
・乗車前にバッテリーを確認する
>>介護ベッドや電動車いすなど、福祉用具による事故に要注意!

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