介護用食事エプロンとは?
在宅介護の中でも家族に負担のかかる食事介助。毎日のことだからしんどい…と感じている方も多いのではないでしょうか?
特に認知症の方は、食べこぼしが多くなりがちです。食事の度に服が汚れてしまい、着替えや洗濯の手間が増えて困っている方も多いようです。
こんなときは介護用の食事エプロンを使うと便利です。服が汚れるのを防ぐほか、床の食べこぼしを防止できる介護用食事エプロンもあります。
ただし、選び方を間違えると介護する方・される方ともにストレスを感じて、かえって食事介助が大変になってしまうことも。そこで在宅介護をする家族の方向けに、介護用食事エプロンの種類と選び方をご紹介します。
介護用食事エプロンの種類
介護用食事エプロンの種類は、まず大きく「使い捨てタイプ」と「繰り返し使うタイプ」とう2種類に分かれます。もちろん両方のタイプを使い分けることもOK。それぞれのメリット・デメリットをまとめました。
洗濯の手間がかからない、使い捨てタイプ
メリット
- 洗濯する必要がないため、家事の手間が減る
- 毎回新しい介護エプロンを使うので、衛生的
- 外出先などでは、使用後持ち帰る必要がない
デメリット
- ゴミが増える
- デザインや機能はシンプルなものが主流
デザインや機能など種類が豊富な「繰り返し使うタイプ」
メリット
- 何度でも丸洗いして使えるのでコストがかからない
- 使い慣れた介護エプロンを使い続けられる
- 機能やデザインなど、種類が多い
デメリット
- 洗濯する手間がかかる
- 繰り返し洗濯していると、においや色が残る場合もある
2つのタイプ以外にも、タオルやハンカチを胸元に取り付けて、エプロンにするクリップタイプもあります(歯科医院で使われるクリップに似ています)。ちょっと食べこぼすだけというときは、こんなタイプも利用できます。
介護用食事エプロンの基本的な選び方
まずは「使い捨てタイプ」と「繰り返し使うタイプ」のメリット・デメリットをチェックして、メインで使うものを検討してみましょう。毎回食事の度に使う場合は、使い捨てタイプの方が介護する側の負担は少なく済みます。
さらに介護用食事エプロンの選び方として、おさえておきたい基本的なポイントを2つご紹介します。
状況に合わせて、介護用食事エプロンのサイズを選ぶ
足元までカバーするロングタイプから胸元だけのミニタイプまで、大きさもさまざま。中には袖のついたエプロンもあります。介護を受ける方の体格や、食べこぼしの状況を見ながら選びましょう。
車椅子で食事をする方の場合、裾をテーブルに敷くタイプの介護エプロンなら、膝や座面まわりへの食べこぼしが防げます。
最近では、エプロンの裾に食べこぼしをキャッチするポケットが付いているタイプも増えています。食べこぼしが多い場合は、ポケット付きタイプも検討してみてはいかがでしょうか。
意外と見落としがちなのが、首回りのサイズ。首回りを調節できるほうが、介護を受ける方の体格に合わせやすく首回りが汚れるのを防げます。
介護用食事エプロンを選ぶときは、首回りの調節機能についてもチェックしておきましょう。
介護用食事エプロンのデザインを選ぶには
食事用介護エプロンというと、無地なものというイメージがありませんか?最近では無地なものだけではなく、柄やデザインの種類も増えてきています。
また、透明タイプのエプロンも登場しています。例えば外食のときなどエプロンをつけるのが気になるときは、こうした目立たない透明タイプを選ぶ方法もあります。
ほかにも一見すると洋服のような、襟がついたデザインの食事用介護エプロンもあります。食事の時間を楽しくするためにも、介護を受ける方が好きなデザインを選びたいところですね。
介護用食事エプロンの購入費用に介護保険は使える?
介護用食事エプロンを買ったことがない方は、購入費用がどのくらいかかるのか心配になりますよね。現在購入できる介護用食事エプロンの一般的な価格は、以下の通りです。
- 使い捨てタイプ:50枚入りで約1,000円~2,000円
- 繰り返し使えるタイプ:シンプルな機能のもので、約2,000円~5,000円
(※価格は目安です)
残念ながら現在のところ、介護用食事エプロンの購入に介護保険は利用できません。そのため全額自費負担となります。
介護用品を扱っているところであれば、たいてい介護用食事エプロンを扱っています。インターネット通販なら、様々な種類のエプロンから選べて便利です。
介護用食事エプロンを選ぶときの注意点
初めて介護用食事エプロンを選ぶときに、気を付けたいこともあります!ここでは注意しておきたい2つのポイントをご紹介します。
あくまで介護用途の食事エプロンを選ぶ
100円ショップなどには、不織布でできた食事用エプロンを販売しているケースもあります。
低価格なのですが、こういったタイプは食べこぼしを防止する用途ではないため介護用には不向きです。あくまで「介護用」と明記された食事エプロンを選びましょう。
介護を受ける方に受け入れてもらえる食事エプロンを選ぶ
介護用食事エプロンの選び方というと、介護する側の負担を減らすことをメインに選んでしまいがちです。ただし、利用する本人が受け入れてくれることも重要なポイント。
食事用エプロンというと子ども向けという認識があるため、介護を受ける方本人がエプロンを嫌がるケースもあるようです。
本記事で紹介したような襟がついた洋服に近いデザインなど、介護用食事エプロンの選択肢は広がっています。まずは本人が気に入るデザインを探してみましょう。
あわせて介護用食事エプロンをつけるとき、本人に「つけていい?」と声がけすることも大切。勝手にエプロンを付けられたと感じて抵抗する方もいますので、気をつけましょう。
>>介護用スプーンの種類と選び方
>>食事介護の食べこぼし対策
>>介護用品と福祉用具の違い
【この記事の監修者】
中村 静江(なかむら しずえ) /訪問看護ステーションとんぼ
1998年理学療法士資格取得後、永生病院リハビリテーション科に勤務。病棟勤務を経て、訪問リハビリテーションおよびデイケア業務に携わる。2014年国際医療福祉大学大学院にて福祉援助工学分野修士課程を修了し、現在は福祉用具プランナー管理指導者として、福祉用具プランナー研修などの場で講師活動も行う。