8020運動とは 認知症予防にも効果的

8020運動とは 認知症予防にも効果的

 

8020運動とは

「8020運動(ハチマルニイマルウンドウ)」とは、1989年に厚生労働省が80歳になっても、自分の歯を20本以上残すことを目標に掲げた計画です。
なぜ20本なのかという理由は、親不知を除く28本の歯のうち20本以上が残っていれば、食事の内容を問わず、噛み砕くことができるからだといわれています。

65歳からの5年間で、歯は10本以上抜ける

実は65〜70歳の間に、平均すると10本以上もの歯が抜けてしまうことがわかっています。
そしてその原因は、ほとんどが歯周病だといわれているのです。
歯周病は放っておくと歯を支えている骨や組織が弱ってしまい、歯を支えられなくなって、最後は歯が抜け落ちる口腔内の病気です。
>>歯周病とは 原因・症状・対策

そして、1本の歯が抜けるとその周りの歯も弱ってくるため、最終的には10本以上の歯がなくなってしまいます。

適切なケアを施せば、歯の本数は保てる

「歯が抜けるのは歳をとったから」と考えている方が多いようですが、これは大きな間違いです。

きちんと適切なケアや治療をすることで、8020は可能と言えるでしょう。
実際、30年前の調査では80歳で残っている歯の平均本数はわずか4~5本でしたが、8020運動を提唱した15年後の2005年には、80歳で自分の歯が20本残っている人が2割を超えました。

とは言え、8割もの人が部分入れ歯や総入れ歯を余儀なくされているというのが現状です。

自分の歯が残っていることのメリット

歯で噛む事で、脳が刺激される

普段から何気なく食べ物を噛んでいる歯。実は、非常に感度の優れたセンサーとも言える存在です。

歯は脳と直結しており、物を噛むことで脳が刺激されます。
この刺激が脳の運動や記憶、思考を活性化させるという、重要な働きを持っているのです。

認知症と歯の残存数に関係がある

実際に歯の残存数と認知症には、深い関係があることも東北大学の研究でわかっています。
歯がなくなることで脳への刺激が減り、それが脳の活性化を低下させることで、認知症の発症率が高まるというわけです。

また、神奈川歯科大学が行った研究では、歯が20本以下しか残っていない人は、20本以上残っている人の1.9倍も認知症のリスクが高いことが明らかになりました。
そのため、高齢になっても自分の歯が残っていれば、食べ物をおいしく食べられることはもちろん、認知症の発症リスクを抑えられるという大きなメリットがあるのです。

80歳までに20本の歯を残すケア方法

歯のケアというと、多くの人は歯磨きを思い浮かべることでしょう。
しかし口腔ケアは、それだけではありません。
80歳まで自分の歯を20本残すためには、正しいケアを行うことが大切です。
口腔ケアには自分で行う「セルフケア」と、歯科医院で行う「プロフェッショナルケア」があります。
若いうちからこの両方を上手に取り入れた口腔ケアを続けることが、8020に繋がっていくのです。

歯を残すための方法1. セルフケア

できるだけ毎食後に、正しいブラッシングを行うことが大切です。
歯ブラシだけではなく、歯間ブラシやフロスなどを使い、歯垢や歯石を取り除くこともポイントとなります。
>>高齢者の口腔ケアの目的と方法

また、軟らかいものばかり食べていると歯や歯茎が弱り、歯周病になりやすくなってしまいます。
そのため、バランスのよい食事を心掛け、しっかりと噛んでから飲みこむようにしましょう。

よく咀嚼することは、唾液腺を刺激して唾液の分泌を活性化したり、脳を刺激したりしてくれます。
唾液は天然の抗菌リンスといわれ、口腔内の汚れを洗い流し、歯周病菌の増殖を抑える作用があるのです。
ですから食事の際には、噛み応えのある食材も取り入れるようにしましょう。

歯を残すための方法2.  プロフェッショナルケア

定期検診によって、セルフケアではできない歯石の除去や口腔内トラブルの発見、フッ素の塗布などのほか、さまざまな指導やケアを受けることができます。
自分では気づいていない磨き方のクセがあると、どうしてもその部分から虫歯になりやすくなってしまうでしょう。
特に歯の痛みや異常がなくても、定期的に通うことで虫歯や歯槽膿漏などの歯周病を早期に発見・治療することができます。
>>高齢者も受けておくべき歯科検診とは

歯科医院は「痛い、怖い」というイメージから、どうしても敬遠されがちです。
しかし症状が酷くなる前に適切な処置を行えば、痛みも軽く済んで安心といえるでしょう。