歯周病とは 原因・症状・対策

歯周病とは 原因・症状・対策

歯周病とは

歯周病は、歯を支えている歯茎や骨が壊れたり、溶けたりしていく病気です。
歯茎が腫れたり歯が揺れたりすると、最終的に周囲の骨が歯を支えられなくなってしまい、歯が抜けてしまいます。

歯の周りの組織が壊れて結果的に歯が抜ける

歯茎の内側は目で見ることができません。
しかし、歯の根の表面にあるセメント質と歯槽骨との間には歯根膜という線維があり、
通常はこれが歯が骨から抜け落ちないように支えています。
虫歯は歯そのものが壊れていきますが、歯周病は歯の周りの組織が壊れていくのです。
そして周りの組織が壊れることで、歯が抜け落ちてしまいます。

高齢者が歯周病に気を付けたい理由

歯磨きが思うようにできなくなったり、咬み合わせに変化が起こるから

歯周病は加齢によってなりやすくなる病気ではありませんが、高齢になって歯磨きが思うようにできなくなってきたり、歯が抜けて咬み合わせがズレることで、歯周病になりやすくなります。

体の免疫力が落ちるから

歯周病は、体の免疫力が落ちることでなりやすくなります。
高齢者もなりやすい病気ですが、40歳以上の日本人の約8割が歯周病に罹っており、歯を失う最も多い原因となっています。

高血圧の薬による影響があるから

中高年に多い高血圧の方の場合、服用している薬によって歯肉が肥大することがあります。すると歯周ポケットが深くなり、奥まで磨ききれずに歯周病が進行してしまいます。

骨粗しょう症の方は要注意だから

全身の骨がもろくなる骨粗しょう症は、高齢の女性に多い病気です。当然歯を支える骨ももろくなってしまいます。また、炎症を引き起こす物質が体内で作られ、歯周病による炎症が進んでしまいます。

歯周病の症状

歯周病には「歯肉炎」と「歯周炎」があり、さらに、かみ合わせが関係する「咬合性外傷」もあります。
それぞれの詳細について見ておきましょう。

歯肉炎

歯周病の初期の段階が「歯肉炎」です。炎症が歯と歯茎に限定され、
歯と歯茎の境目が赤く腫れたり、出血したりするでしょう。
健康時と比べて歯茎が腫れて盛り上がった状態になるため、歯肉溝が深くなります。

歯肉炎の段階では、炎症は歯の頸の部分だけに起きています。
そのため、早く発見して除去すれば、改善させることが可能です。
手入れの方法として、歯と歯茎の周りのプラークを歯ブラシでしっかりと除去することが挙げられます。

歯周炎

歯肉炎が進行すると「歯周炎」になります。
歯茎の腫れや出血だけでなく、歯と歯茎の境目の部分が壊れて隙間が深く大きくなり、はっきりと歯周ポケットができるでしょう。
歯肉炎の段階でも歯周ポケットはできていますが、歯周炎になるとはっきりと形成されます。
プラークがこの隙間に沿って侵入すると、破壊が根の先へと進行していくのです。

症状が進行すると、歯を支えている歯根膜線維や歯槽骨が壊れてしまいます。
すると歯がぐらぐらと揺れてきて、新たな症状が見られるようになるでしょう。
歯茎の腫れや出血のほかにも、歯周ポケットからの排膿や口臭などが起こります。
この症状は慢性歯周炎という病名で、軽度・中等度・重度と進み具合で分けられているものです。
歯茎の炎症が急激に起こった場合、急性症状として高度な腫れや強い痛みを伴うこともあります。

咬合性外傷

これは歯のかみ合わせが原因で生じる歯周組織の病名で、一次性咬合性外傷と二次性咬合性外傷があります。
このうち、一次性咬合性外傷は歯周病に罹っていない歯に発症し、次性咬合性外傷は歯周炎が進行して起こる症状です。
それぞれ原因を突き止めて対応する必要があります。

歯周病の原因

口内のプラークが歯周病を作り出す

歯周病の原因は「細菌性プラーク」です。
「細菌性プラーク」とは、バイオフィルム菌と歯周病原細菌のことを指しており、
プラークとは細菌の塊で、1/1000gの中に1億を超える細菌が棲みついているものです。
この細菌の中には、善玉と悪玉の細菌があります。

唾液の成分である糖タンパクが歯の表面に薄い皮膜を作り、これをペリクルといいます。
この皮膜の上についたミュータンス菌が、ショ糖を使ってグリコカリックスという物質を生み出し、自分たちの棲家を作ります。
こうなると口の中の細菌たちは多量に侵入してきて、さらに増えてしまうのです。
この状態は細菌性プラーク、またはバイオフィルムと呼ばれています。
悪玉細菌にとって非常に良い環境であり、産生する毒素で歯茎をさらに腫らせ、
出血や排膿によって歯の周りの骨を溶かす原因となります。

喫煙やストレス、食生活も原因になりうる

歯周病になりやすい状態には、さらに環境因子が関係しています。
環境因子としては、喫煙や口内の清掃不良、プラークの付着量、ストレス、食生活などが挙げられるでしょう。
また、年齢や人種、歯の数、白血球機能なども関係していると言われています。

歯周病になってしまった場合の対応方法

歯周病は、主に歯の手入れ不足が原因で起こります。
老化とともに歯周病になりやすくなるともいわれていますが、それは唾液の分泌量が減るために、細菌が繁殖しやすくなるからです。
しかし年齢層の幅の広い歯周病は、基本的に手入れ不足が原因と考えられるでしょう。

歯周病になってしまった場合も、日々のブラッシングや歯石の除去などが歯周病の対処法になります。

毎日のプラークコントロール

毎日のブラッシングにより、初期段階の歯周病であれば改善できる可能性があります。
プラークとは歯垢を指し、歯垢を減らすことで歯周病は改善が期待できるのです。

歯垢、歯石を除去する

ブラッシングで取り除けなかった歯垢は、次第に硬化して歯石になります。
歯石になると、ブラッシングでは取り除けません。
そのため、歯科医で機械を使い、歯石を取り除いてもらいます。これが「スケーリング」です。

歯周病の予防方法

毎日のブラッシングで予防する

歯周病対策で中心となるのは、このブラッシングと歯石の除去です。
これは、虫歯の予防とほとんど変わりません。

歯ブラシの毛先が歯と歯茎の間の歯周ポケットに入るように、45度の角度に傾けましょう。
歯と歯の間、歯と歯茎の間に歯ブラシが当たっているかを確認しながら、歯ブラシを細かく動かして磨いてください。

詳しいブラッシング方法は日本訪問歯科協会の動画で紹介されていますので、参考にしてみてください。

歯科検診は、ブラッシングにおける自分の欠点を確認するためにも活用できます。そのため、定期的に受けるようにすると良いでしょう。
>>高齢者も受けておくべき歯科検診とは 

介助者向けの口腔ケアのポイントは下記を参考にしてください。
>>高齢者の口腔ケアの目的と方法

生活習慣を見直す

喫煙や睡眠不足、食事といった生活習慣を見直し、免疫機能を高めて歯周病を予防しましょう。ストレスをうまく発散することも歯周病の予防につながります。

▼歯周病を予防する生活習慣

・睡眠をしっかりとる
・規則正しい生活をする
・栄養バランスを考えた食事を取る
・禁煙する
・ストレスを発散する