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高齢者の口腔ケアの目的と方法

口腔ケア

体力や抵抗力が弱っている高齢者にとって、口の中の細菌は大敵です。

口腔ケアは、全身の健康や精神面にまで影響を及ぼします。

高齢者にできるだけ長く健やかな状態を維持してもらうため、そして快適に毎日を送るためにも、口腔ケアを習慣にしたいものです。

また、毎日の口腔ケアに加えて、定期的に歯科検診を受ける習慣をつけるといいでしょう。
>>高齢者も受けておくべき歯科検診とは

高齢者の口腔ケアの目的

この口腔ケアとは、介護が必要な高齢者が増加して高齢化社会が進んだために生まれた言葉です。保健や医療、福祉の分野に浸透してきました。

口腔ケアには年代を問わず認識されている「清掃を中心とするケア」と、年齢とともに衰える口腔機能について「機能訓練を中心とするケア」の2種類があります。

口腔ケアの目的にはこんなものがあります。

誤嚥性肺炎の予防

誤嚥性肺炎は、食べ物が誤って気道に入ってしまったり、唾液を飲み込む際に口内の細菌が誤って肺に入ってしまったりして起こるものです。

また、高齢者は睡眠中などの知らない間に、唾液を誤嚥していることがあります。その際に口の中の細菌が、軌道の中に入り込んでしまったことで、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。
>>誤嚥性肺炎とは 原因・症状・対策

唾液の分泌を促す

年齢とともに減ってしまった唾液の分泌を促すと、口の中を清潔に保って口腔感染症を予防し、また消化を助けます。
>>ドライマウス(口腔乾燥症)とは 原因・症状・対策

口腔機能低下の予防・改善

高齢者は老化や障害によって、口腔機能が低下しやすい傾向があります。

口腔機能が低下すると、しっかり噛んだり飲みこんだりすることができなくなると、栄養を十分に摂取できません。その結果、免疫力や体力の低下、認知症の悪化による要介護度の進行といった悪影響が出てきます。

また、「食事をよく噛む」「食事を楽しむ」といった脳への刺激が、認知機能の低下を予防・改善するとも言われています。
>>8020運動とは 認知症予防にも効果的

その他の効用

その他にも、口腔ケアで期待できる効果にはこんなものがあります。

・全身感染症、発熱の予防
・心臓病リスクの低下、糖尿病予防
・全身疾患の予防
・口の機能維持、回復
・味覚の改善
・意識レベルの改善
・食べる楽しみの回復

口腔ケアは全身の健康にかかわる大切なケアです。

口腔ケアのポイント

介護する人は以下のポイントに気を付けて、口腔ケアを行うといいでしょう。

短時間で終わらせる

子供の頃から自分で歯を磨いてきたこともあり、人に歯を磨いてもらうことに抵抗がある高齢者は少なくありません。だからと言って無理やりは禁物です。

短時間で無理やりではなく口腔ケアを行うには、
・なぜ必要なのかをよく話して、理解してもらう
・口腔ケアが気持ちの良いものだと感じてもらえるように、ゆっくりとサポートする

もしどうしても嫌がる場合には、かかりつけ歯科医に相談をして、2週間に1度などの短い周期で定期クリーニングを受けてもいいでしょう。
>>歯磨きを嫌がる場合の対処法

できるだけ自力で

全てに言えることですが、介助は最小限に抑えましょう。しかし、可能であれば最後の仕上げはしてあげた方がいいでしょう。

口の中の健康状態も合わせてチェック

毎日口腔ケアの際に口の中をチェックして、口内炎やケガがないかを確認する習慣をつけましょう。 

清掃の方法

口腔清掃は、次のような手順で行いましょう。

1)うがい
左右の頬を膨らませて、しっかりと動かしながらぶくぶくしてもらってください。頬と唇、舌を使いますので、口腔体操になりとても有効です。

2)入れ歯や歯の清掃

介護者が歯磨きを行うときは、反対の手であごを固定したり、唇や頬をよけたりしながら磨くようにします。

歯ブラシが汚れたら、その都度水ですすぎながら余分な水分をペーパータオルなどでぬぐって磨いてください。歯磨き介助を行うときは、使い捨て手袋を使ってその都度取替えましょう。

また、口内炎がひどい場合など、口の中の状態が悪い場合には、一般の歯磨き粉では刺激が強すぎる場合があります。その際には口腔ケア用のジェルがあるので、試してみてください。
>>液体歯磨きとは 種類と使い方

2)粘膜の清掃

粘膜は歯以上にデリケートです。歯ブラシでゴシゴシこすると、口の中を傷つけてしまうことがあります。

そのため、ほほの内側、唇の内側、歯ぐき、上あご、舌などの汚れをやさしく取り除くグッズとして、「口腔ケア綿棒」や「口腔ケアスポンジ」、「口腔ケア用のウエッットティッシュ」を使うのがお勧めです。

口腔ケア綿棒は50本で1000円以下、スポンジは50本で1300円~2000円程度で販売されています。「口腔ケア用のウエッットティッシュ」は100枚で1000円以下です。 

3)舌の清掃
舌苔が付いているときに、スポンジブラシや柔らかい歯ブラシで奥から前にやさしくこすりとります。
>>舌苔とは 原因・症状・対策

4)歯ブラシストレッチ
歯ブラシの背の部分で頬の内側を外へ押し広げながら、上下に3回程度動かします。

5)うがい
仕上げに洗口液を使用するのもおすすめです。
>>洗口液とは 種類と使い方

寝たきりや麻痺のある方の介助方法

寝たきりの方や麻痺のある方に介助をする場合には、気管に水分が入らないように注意する必要があります。

寝た状態(麻痺のある方は麻痺している側が上)で顔を横に向けて下アゴを引いた体勢で、できるだけ少ない水分でケアすると、水分が気管に入るのを防ぐことができます。

入れ歯の清掃

続いて、高齢者から多く利用されている入れ歯の清掃についてもご説明しておきましょう。

1)入れ歯を外します。
部分入れ歯は、左右のバネを同時に外してください。
また、総入れ歯は下の入れ歯から外します。

2)入れ歯を磨きます。
洗面器などに水を張って、流水の下で磨きましょう。熱湯を使うと入れ歯が変形しますので注意が必要です。

週1〜2回は、歯ブラシで磨いた後に入れ歯洗浄剤を使って汚れを除去します。
>>入れ歯のお手入れ方法

口臭予防について

こまめに入浴や洗髪、部屋の清掃、衣服や肌着の洗濯を行っているにも関わらず臭いがきついという場合は、口臭が原因かもしれません。

介護する側も介護される高齢者の口臭に対して苦手意識を持ってしまい、無意識に敬遠してしまうと いうケースも珍しくありません。

そうなると、高齢者は孤独感から認知症が悪化するなど、悪循環が起きてしまいます。そうならないためにも、日頃から口臭予防には気をつけたいものです。

まずは口の中を清潔にすること

口の中を清潔にするためには、口の中の清掃だけではなく、唾液の分泌を促すことも大切です。

唾液には殺菌作用があり、普段はこの殺菌作用が食べ物の食べかすによって発生する菌の繁殖を防いでいます。菌が繁殖すると歯垢が悪臭を放ちます。

着脱式の入れ歯を使用している高齢者は少なくありません。

また、入れ歯などの手入れ不足によって歯ブラシの届かない部分で菌が繁殖し、口臭の原因になっている場合もあります。

入れ歯は、取り外してから専用のブラシで清掃しましょう。つけておくだけの洗浄剤なども市販されていますが、物理的にブラッシングすることが大切です。

また、口腔ケアの仕上げとして、口臭予防効果のある洗口液を利用してもいいでしょう。

市販の口臭予防グッズは要注意

市販の口臭予防グッズのほとんどは、発生した臭いを分解するタイプのものや、香料で臭いをごまかすタイプのものがほとんどです。

つまり、根本的な口臭予防効果はありません。

一時しのぎの対策ではなく、とにかく常に口の中を清潔にして おくように心がけることが大切です。

病気のシグナルの場合も

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高齢者の口臭には、その原因が歯磨き不足以外にもいろいろ とあります。

以下のような場合、何らかのトラブルである可能性があります。中には単に口臭だけでは済まされない場合が多いので、要注意です。

卵が腐ったような臭い

げっぷが頻繁に出たり胃腸の痛みを訴えたりする場合、胃腸に何らかのトラブルがある可能性があります。便に異常がないかどうかも注意しましょう。

甘い臭いがする

甘い臭いがする場合、糖尿病にかかっている可能性があります。もともと糖尿病だった人や肥満体質などの人であれば、すぐに医師の診察を受けましょう。

たとえば私たちが焼肉を食べた後、口からにんにくのにおいがするように胃などの身体のトラブルが原因で口臭が引き起こされることもあります。

どうしても口臭が治まらない場合は、一度、歯科医に口腔内を診てもらい、必要があれば医師への相談も検討してみましょう。