認知症初期集中支援チームとは

認知症初期集中支援チームとは

 

認知症初期集中支援チーム」とは?

認知症初期集中支援チーム」は、介護や医療の専門家によるチームです。
2015年1月に決定された「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」に掲げられている7つの柱のうち、「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」を実現するために誕生しました。

認知症初期集中支援チーム」による支援の内容

専門家が家族や周囲の人からの訴えを受けて、認知症が疑われる人を訪問し、下記のような支援を提供します。

認知症かどうかの評価
・適切な医療機関の受診を促し、継続的な医療支援に繋げる
・適切な介護サービスを案内
・生活環境の改善やケアについてのアドバイス
・介護者との情報共有
・介護者の負担軽減や健康保持についてのサポート

かかりつけ医や、認知症疾患医療センターなどの専門医療機関との連携してくれることが大きなのポイントです。また、定期的に自宅を訪問して状態を見守ってくれるので、「誰も気づかないうちに認知症が進行してしまった」という状況を避けることができます。

認知症初期集中支援チームの構成

認知症初期集中支援チームは、保健師、看護師、准看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士などの国家資格保有の専門職が2名以上、認知症などの専門医療の経験がある医師1名によるチームです。

そのほか、業務年数や「認知症初期集中支援チーム員研修」の受講などの要件があります。

訪問支援が受けられる人

認知症初期集中支援チーム」による訪問支援が受けられる対象者は、原則として以下の通りです。

・40歳以上
・在宅で生活している人
認知症が疑われる人、また認知症の人で医療サービス、介護サービスを受けていないか中断している人のうち、「① 認知症疾患の臨床診断を受けていない② 継続的な医療サービスを受けていない③ 適切な介護サービスに結び付いていない④ 介護サービスが中断している」のいずれかに当てはまる人。または医療サービス、介護サービスを受けているものの、認知症の行動・心理症状が顕著なため、対応が難しい人

認知症初期集中支援チームができること

「離れて暮らしている親が認知症かもしれない……」
そんなとき、そのままひとりで暮らしていて安全なのかどうか、身近にサポートしてくれる人がいないと病気が進行してしまうのではないか、どこに相談をしたらいいのかと心配になると思います。

近くで見守りたいと思っても、住み慣れた自宅を引き払わせて自分の元に呼び寄せるのも、自分が仕事を辞めて親の介護をするのも、親にとってもご家族にとっても負担が大きなものです。

認知症になった後でもすでに絆のあるコミュニティの中で、安心して暮らし続けたいですよね。

認知症初期集中支援チーム」は、そんな望みをかなえるために全国の市町村への設置が計画されています。

本人が病院に行きたがらない場合にも

家族が体調の変化や認知症の初期症状に気付いても、本人がなかなか認めず、病院に行きたがらない場合があります。

そんなときにも自宅に「認知症初期集中支援チーム」が足を運び、評価や相談に乗ることで、医療や介護サービスと繋げてくれます。

支援は最長6ヵ月

認知症初期集中支援チーム」の役割は、認知症当事者やそのご家族を訪問し、援助を行う前の評価(アセスメント)に基づいて、医療サービスや介護サービスと繋げることです。

その後は「認知症初期集中支援チーム」の担当者に変わり、地域包括支援センターやケアマネジャー、主治医が認知症当事者やその家族をサポートします。

2018年度までに全国の市町村へ設置

複数の市町村に「認知症初期集中支援チーム検討委員会」が設置され、支援体制の構築や活動状況、設置について検討されています。

2018年度までには全国の市町村への設置を目指しているそうです。

認知症初期集中支援チーム」の課題

認知症当事者とその家族を中心とした「認知症の人と家族の会」は、2016年8月31日に厚生労働省に提出した要望書の中で、「認知症初期集中支援チーム」が十分に機能を果たしていないことを指摘しました。「本来の早期支援の役割を果たせるよう改善を図ること」と要望しています。
>>介護保険、サービス縮小や負担増に“反対”-認知症の人と家族の会が要望書を提出

また、早期の認知症の人が専門職や専門機関につながるシステムとしては、スコットランドで誕生した「認知症リンクワーカー」というシステムを京都府が取り入れています。
>>日本初の試み「認知症リンクワーカー」制度を開始-京都府

もし今すぐに相談したいなら

もし今、「家族が認知症かもしれない」、「病院に行きたがらない」などで悩んでいる方がいたら、地域包括支援センターに相談をしてください。

認知症初期集中支援チームが設置されていない地域でも、ケアマネジャーや社会福祉士、保健師の方などが力になってくれますよ。
>>認知症介護の相談先

 

※この記事は2015年10月時点の情報で作成しています。