日本初の試み「認知症リンクワーカー」制度を開始-京都府

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京都府は2016年度から、「認知症リンクワーカー」制度を始めるそうです。

聞きなれない制度ですが、一体どんな内容で、どんなメリットがあるのでしょうか?

認知症リンクワーカーの役割

認知症リンクワーカーは、スコットランドで始まった認知症の早期サポートの制度です。

「どこに相談すればいいのかわからない」、「どんな支援があるのかわからない」 といった認知症本人や家族の疑問を、リンクワーカーが解決します。

リンクワーカーは、保健師や看護師など認知症に対する専門知識のある人々が担います。

認知症と診断された高齢者を訪問し、 ・認知症に関する情報提供 ・日常生活で必要なサービスや施策へつなぐ ・認知症カフェを勧めるなど孤立しないための関係づくり ・ケアマネジャー、かかりつけ医などへの引継ぎ など、認知症患者本人や家族を精神的、生活的に支えます。

また、若年性認知症患者など働く意欲のある方に対しては、 配置転換などを勤務先への働きかけることも検討しているそうです。

切れ目のない支援を

認知症と診断される時点から前後6カ月程度は、 認知症初期集中支援チームがサポートを行います。

その後、症状が進行して介護保険サービスを使用するまでに、 「サポートの空白期間」ができていました。

その間に初期の認知症の方や家族が不安を抱えて家に閉じこもってしまわないように、 切れ目のない支援を提供する存在が、認知症リンクワーカーです。

スコットランドの制度

2010年に認知症リンクワーカー制度を始めたスコットランドですが、 きっかけは認知症の人同士が集まる「認知症ワーキンググループ」でした。

つまり、認知症患者の声が大きく反映された制度だということです。

スコットランドの認知症リンクワーカーは、 初期認知症の方を1年間無料でサポートしています。

交流会や勉強会を紹介するほか、税金の控除など 認知症の人が受けられる優遇策を紹介し、手続きを行います。

各市町村への配置を目指す

京都府では、2月からリンクワーカーの研修を始めており、 2015年度中に90人近くを養成、2016年度中に50人程度の リンクワーカーを養成する予定です。

研修後は日ごろ活動する地域で、市区町村と連携して認知症患者の支援に当たります。

府の高齢者支援課も「患者や家族が住み慣れた地域で適切な支援を受けられるよう、 ワーカーを各市町村に配置していきたい」とコメントしています。

安心介護会員の声

スコットランドのリンクワーカー制度について、NHKが取り上げたことがあります。

その際、安心介護の共感広場にも番組の内容が投稿され、反響を生んでいました。

その一部を紹介します。

日本では、なかなか難しい事ですが 黙っていてはどうもならない。みんなで行動しましょう。 皆さんの地域でも それぞれ頑張ってるNPOがあるかと思います。 ぜひ参加して 家族さんや先輩介護者の意見を聞いたり 専門職とも仲良くなっていろんな情報貰ってくださいね。 自分の為にもなります。 いつか、人にも教えてあげてくださいね。 何も知らずに 誰も知らずにもがいてた私は、結果認知症の母に当たり散らしてました。 その後悔だけは、穏やかに介護出来る様になった今もしこりで残っています。 だから、私と同じ思いをする人が少なくなれば良いな~って思い いろいろ発信します。 家族会も頑張ってます。 (引用元)共感広場「今夜のテレビですが…」

 

初期の対応は、自分自身もかなりとまどいましたし(現在も) もっと情報や制度が整うことを願います。 (引用元)共感広場「今夜のテレビですが…」

 

日本国内では初めてとなる京都府の「認知症リンクワーカー」制度。

どんな結果を生むのでしょうか?

(参考)>>(外部サイト)京都新聞「認知症リンクワーカー導入 京都府、切れ目ない支援へ」(3/28)※掲載終了

>>(外部サイト)クローズアップ現代「初期認知症と診断されたら・・・ ~どうつくる支援体制~」(2014/6/9※掲載終了