認知症の周辺症状である“徘徊”。
徘徊が原因で行方不明になってしまう方は少なくはありません。
数時間ほどで見つかるケースがほとんどですが、 家族にとっては数時間でも不安で心細いものです。
認知症の家族が行方不明になってしまったとき、 こんな取り組みをしている地域に暮らしていたら、 それだけで不安が減りそうですね。
住民や介護事業者らが一体となって徘徊の声かけ訓練
「もし認知症の方が徘徊していたら」と想定して、 捜索や声掛けの訓練を行う自治体が増えています。
訓練の中心となるのは、地域包括支援センターなどの社会福祉協議会、 住民らでつくる実行委員会、各自治体、介護サービス事業者、 医療機関など様々ですが、いずれの場合も目的は主にこの3つです。
・認知症の理解を深め、地域の意識を高めていく
・認知症による徘徊高齢者を早くに発見し、保護につなげる
・徘徊している本人の気持ちを配慮した、声掛けや見守り方法を知る
福岡県大牟田市では2004年から毎年行われており、 「安心して徘徊できるまちづくり」に取り組んでいるそうです。
徘徊高齢者への声掛けのポイント
それではどんな高齢者を見かけたら、声をかけたらいいのでしょうか。
判断の目安としては、
・身なりが整っていない
・とぼとぼ歩いていたり、辺りを見回している
・同じ場所を何回も歩いている
・信号を守るなどができていない
などがあります。
声をかけるときには、 徘徊している本人の不安な気持ちに寄り添うのが大切です。
やってはいけないのは、「急に近づく」、「大声を出す」、 「矢継ぎ早に質問する」の3つです。
大牟田市のホームページでは声掛けの仕方について、下記のように紹介しています。
声かけの仕方
o ゆっくり近づいて、相手の視野に入ってから、話しかける
o 近づきすぎず、しかし目線を合わせ、ゆっくりと穏やかな口調で。急に後ろから声かけたり、大声で怒鳴るように声かけない
o 声かけは「こんにちは」「お暑いですね」など、ごく普通にあいさつから
o 「私はすぐそこの○○ですが、どこからいらっしゃいましたか?」とか「どこへ行かれますか?」と、やさしく声かける
o 「何かお困りですか?」「大丈夫ですか?」「何かお手伝いしましょうか?」もいい質問
o わかりやすい簡潔な言葉で、一つずつ話しかける。返事がないからといって、矢継ぎ早に質問せずに、答えをゆっくり待つ
o 厳しい顔、困った顔、奇異な表情をせずに、笑顔で相手のペースに合わせながら接する
o 腕組や上から見下すような目線、数人で取り囲む、急に腕を掴んだり、身体に触れると、警戒心を持たれ逃げていかれることがある
o 少しゆっくり歩きながら、声かけしたり、「少し休んでいかれませんか?」「冷たいお茶でもいかがですか?」などと声かけ、少し座られるように促してみる
o 声かけても、上手く行かない場合は、いったん離れて、間をおき、または近所のほかの人に連絡し、助けを求める
o 本人情報を持っていたら、その情報(例:旧姓や出身、なじみの場所等)を上手く使って、話しかける
o この土地の人なら、なじみの場所や土地の言葉を使う
>>(引用元)第12回 認知症SOSネットワーク模擬訓練-大牟田市ホームページ
こういった取り組みがどんどん広がるといいですね。
(参考) >>(外部サイト)NHK「論点 「認知症を考える(2)安心して徘徊できる町」(2014/5/27)※掲載終了
>>(外部資料)社会福祉法人箕輪町社会福祉協議会「認知症行方不明者捜索訓練を行いました」※掲載終了
徘徊に関する安心介護の基礎知識
安心介護では、徘徊に関して以下の記事を公開しています。