ソーシャルワーカー(SW)、医療ソーシャルワーカー(MSW)とは?他職種との違いは?

ソーシャルワーカー(SW)、医療ソーシャルワーカー(MSW)とは?他職種との違いは?

ソーシャルワーカー(SW)とは?

ソーシャルワーカー(Social Worker)とは、社会福祉士や精神保健福祉士という国家資格の有資格者の総称です。

ソーシャルワーカーは名称独占の資格で、医師や看護師のように業務独占(資格を持っていない場合は業務ができない)ではありません。 そのため、ソーシャルワーカーとしての資格を有していない場合も、同じ業務を行うことができますが、社会福祉士や精神保健福祉士といったような資格者であると名乗ることはできません。 もし、それに反して名乗ってしまった場合には30万円以下の罰金が科せられることになっています。

生活上困っている人や不安を持っている人、社会的に弱い立場にいる人々に対して様々な知識や技術をもってよりよい生活ができるように援助する専門職です。

他職種との連携も多く、お互いを専門職として認め、情報交換とともに協力しながら仕事をしていきます。

ソーシャルワーカーの仕事の場

ソーシャルワーカーの仕事の場は医療、福祉機関と多岐に渡りますが、主に自治体や病院、福祉施設となります。 国家資格を有しなくても同じ業務が行えるので、資格を持っていなくてもいいように思いますが、社会福祉士や精神保健福祉士の資格の重要性が広まっており、医療福祉施設では、職員採用の条件となっていることが多いです。

ソーシャルワーカーの種類

ソーシャルワーカーは医療ソーシャルワーカー以外に福祉に関するさまざまな機関で活躍しています。

▼CSW(コミュニティ・ソーシャルワーカー)

地域において、援助を必要とする人に対して、ニーズ(課題)の発見や、相談、必要なサービス機関への連携などを行うなどの援助を行います。

地域における福祉に関する力を高め、体制作り、地域福祉の推移を図ります。

社会福祉協議会や社会福祉施設に設置されています。

▼PSW(サイキアトリック・ソーシャルワーカー)

精神保健福祉士法で位置づけられた、精神障害者に対する相談援助などの社会福祉業務に携わる資格です。精神障碍者やこころの悩みを抱えた人たちを支える専門職として生活や社会に関わる問題を解決し、社会参加できるように援助することで、その人らしい生活ができるように支援します。

福祉行政施設、司法施設、単科の精神科病院、総合病院の精神科、精神科診療所、医療機関併設のデイケアに配置されています。

▼SSW(スクールソーシャルワーカー)

社会福祉士や精神保健福祉などの資格が必要ですが、教員OBもSSWとして働いています。子供の家庭環境や学校における問題を解決するために、児童相談所や教員や家庭と連携する専門家です。教育委員会に配置されています。

医療ソーシャルワーカー(MSW)とは?

医療機関で働いているソーシャルワーカーをMSW(メディカル・ソーシャルワーカー)と呼びます。

保険医療機関において、患者や家族の抱えるニーズを見つけだし、問題の解決を図るため関係機関や医療機関と調整・連携を行うことが仕事です。

主に病院での入院相談や退院援助、療養中のニーズの発掘と解決、地域への社会復帰の促進を援助しています。 病院は身体を治療する場だけではなく、心の不安や心配を解決する場でもありため、患者がスムーズに退院し、社会復帰できるようにMSWが援助します。

MSWは通常、医療機関内の地域連携室や地域相談室と呼ばれる部署に所属し、入院されている患者の状態を把握したり、医師や看護師、リハビリと連携しながら退院に向けてのカンファレンスを開催したり、入院患者の面接を行い入退院の調整を行っています。

各専門職との連携をとり、関係機関との調整を図る大変重要な仕事です。

医療ソーシャルワーカーの仕事と役割

医療ソーシャルワーカーの具体的な仕事や役割は、厚生労働省のから下記の通り発表されています。

1.療養中の心理的・社会的問題の解決、調整援助

入退院の調整、外来患者や患者家族からの相談に応じ、問題の解決を図ります。

退院後の在宅療養生活を整備し、在宅で受けることのできるサービスの情報を提供したり、各関係機関と連携をとり支援します。

2.退院援助

医療機関の退院後の生活について共に考え、退院時に必要であれば各関係機関と連携し、退院時支援を行います。

高齢者の場合、退院時には介護保険制度を活用することが多いです。退院後に在宅での介護サービスがスムーズに受けることができるように、ケアマネジャーへつなぎ、退院後も生活が安定するように支援します。

3.社会復帰援助

退院後スムーズに社会復帰(復職や復学)できるように支援します。

4.受診・受療援助

患者、患者家族に対して受診や受療の補助を行います。生活と身体状況に合った医療について説明したり、病院や診療所へ情報提供を行います。

病院が提供している様々な支援情報を患者へ提供し、参加促進します。(リハビリテーションや、アルコール依存症の会、糖尿病指導など)

5.経済的問題の解決、調整援助

医療費や生活費について悩んでいる際に、各関係機関と連携を図りながら、福祉の支援や保険などの諸制度を活用し、不安感がなくなるように支援します。

6.地域活動

患者のニーズと合ったサービスが地域で提供されるように地域福祉のシステム作りや地域福祉の促進を図ります。

地域ケア会議に参加し、保健医療立場から地域の医療福祉やネットワーク作りを構築します。高齢者や精神障害者が地域で暮らすことができるように、地域の理解を深め協力を促します。

医療ソーシャルワーカーと他職種との違いは?

相談援助の仕事として、ケアマネ、保健師、社会福祉士、民生委員、生活相談員などありますが、医療ソーシャルワーカーとの違いはなんでしょう。

ケアマネジャー

正式名称を介護支援専門員(ケアマネジャー)といい、略してケアマネと呼ばれます。

介護保険制度下で、介護サービスが必要な要支援要介護認定を受けた方に対して、介護が必要な状態になっても地域でできるだけ自立した生活ができるように支援します。

ケアプランを作成し、介護サービス事業者との調整を行い利用者の生活を援助します。

ケアマネジャーは、地域包括支援センター、介護支援事業所、介護保険施設で勤務しています。

保健師

市町村に設置されている保険センターに常駐し、地域の方に対して保健指導や健康診断を主に行っています。

最近ではメンタルヘルスが重要視されており、企業内においても保健師を配置し、社員のメンタルヘルスを行っています。

民生委員

厚生労働大臣から委嘱され、地域において地域住民の相談に応じ援助を行います。児童委員を兼務しています。

どちらも地域住民が健康で安心して生活できるように見守り支援を行う仕事です。

仕事といっても民生委員には給料や報酬はありません。民生委員や児童委員としての仕事をするためにかかった費用が弁償費として支給されるだけです。

生活相談員

「特別養護老人ホーム」「養護老人ホーム」「肢体不自由者更生施設」「知的障害者授産施設」に配置されているソーシャルワーカーです。

利用者が生活しやすいように援助計画を立て、各関係機関と連携をとりながら利用者と家族が過ごしやすいよう援助します。

まずは医療ソーシャルワーカーに相談を

「突然ケガをしたり病気になったり、親が要介護状態になったり…とりあえず病院に来たもののこれから先どうしていいか分からない、誰に相談したらいいか分からない」という場合がありますよね。

そんなときは、医療機関の医療ソーシャルワーカーへまず相談し、必要な情報や援助を受けるようにしましょう。

医療ソーシャルワーカーは、医師や看護師との橋渡し的なポジションでいつも患者の立場になって考えてくれますので、治療法で悩み、医師や看護師に相談しにくいことも相談できますし、退院後の社会復帰についても、連携をとって支援してくれます。

医療機関で対応できない相談については、各関係機関と連絡をとり調整します。

いわゆる患者の代弁者的な立場ですので安心して相談することができます。

医療、社会福祉の最前線に位置し、事務的な仕事ばかりでなく、役職作業や事務作業、雑用に至るまでさまざまな仕事をこなします。

一人で悩まずに、専門職である医療ソーシャルワーカーへ相談することがニーズ解決の近道ですよ。