要介護状態であっても生活の中に楽しみを~介護される立場から②

ご家族や施設を利用されている高齢者の方を「介護する立場」からの意見やアドバイスはよく目にしますが、「介護される立場」の方は実際どのように感じられているのでしょうか? 今回はパーキンソン病で訪問介護を利用されているカズ様に、介護を受ける立場からのご意見をいただいたので、2回に分けてご紹介します。


苦難との戦い

私は7年前に発症した時、生きる希望さえなくしかけ、一時はうつの状態にもなりました。 そんなとき何かに没頭できそれを達成する事で、病気や自分の心の弱さに打ち勝つことができるのではないかと思いました。 テレビショッピングの宣伝でパソコンに興味をもって「やってみようかな」と思い購入しましたが、それからが言葉にできないほどの困難と厚い壁にあたり何度諦めようかと思いました。今振り替えればよく乗り越えられたと思います。 発病した当時はほとんど左側が動かない状態で、右手だけでキーボードをタッチできる状態でしたが、右指もスムーズにタッチできなく、コンピュータの用語も一言一言が聞いたことのない言葉ばかりで、ひとつの疑問を解決するのに何日、何週間、事によっては1ヶ月もかかりました。それらを1つ1つ解決していき、約5年かかって基本的なものを取得しました。 その時に、私にはからだの不自由はあるが人には少ない「時間」というものが充分にあったため、ここまでこれたと思いました。

インターネットによる生活の大幅な変化と喜び

発病と共に介護保険在宅介護のお世話になることになり、生活の大半を介護ヘルパーに依頼して自分は殆ど何もしない状態が続き、生活の楽しみや嬉しさを味わうことはありませんでした。 5年かけある程度パソコンの技術を取得して、次にインターネットショッピングに挑戦した結果、毎日の生活が大幅に変わりました。 それまで買い物というものは100%諦めていましたが、Amazon、楽天等のサイトから欲しいものが「ベットから注文して」「ベットへ配達」してくれるので、今後は海外からの情報も集め、海外からの買い物に挑戦してみたいです。

高齢者と障害者とIT

ネットやSNSは若者達の特権ではないと思います。特に高齢者や障害者は体が不自由ということを考えると積極的にやってみることだと思います。障害者や高齢者は「ネットなんか難しすぎて」、「SNSて何」とさわることさえ恐怖感を感じる人が殆どではないでしょうか。 コンビニのレジの前で車イスの障害者の方がお金を払うときに、財布から出しづらそうにされていてその為にレジの前が列になってしまったような光景はよく目にします。そんなとき「電子マネー」や「デビットカード」を使えば自分も周りも助かるのにと思ってみています。 私も最近体調が悪く殆ど外出することが少なくなりましたが、そんな毎日にSkypeのテレビで友人との連絡をやりとりし、両手が調子悪いときなどはGoogleの音声通話でメールや連絡を行って、友人達からも色々な情報が入ってきて毎日が楽しく過ごせます。

企業の障害者や高齢者への情報の推進

ソフトバンク、ドコモ、auや楽天など大手の通信会社は、もっと積極的に欧米の企業みたいに、障害者や高齢者が快適な生活をおくれるための通信情報機器を分かりやすく紹介してほしいです。 使い方や特徴などを企業の生涯学習教室として実施して、障害者や高齢者にとっての通信機器が、介護ヘルパーに匹敵するくらい、生活のなかでの重要な位置付けになるように浸透させてもらいたいものです。

▼前回記事はこちら ヘルパー、介護職に感じること~介護される立場から①


※ご注意 当記事は、訪問介護をご利用中の方が被介護者の立場からのご意見をまとめたものであり、個人的な見解や意見が含まれています。 そのため、当記事を参考に介護保険サービス等をご利用の際は、最寄の地域包括支援センターまたは市区町村の窓口などに問い合わせの上、最新の情報を入手しご利用ください。 免責の詳細については▼当サイト利用規約をご確認ください。