ヘルパー、介護職に感じること~介護される立場から①

ご家族や施設を利用されている高齢者の方を「介護する立場」からの意見やアドバイスはよく目にしますが、「介護される立場」の方は実際どのように感じられているのでしょうか? 今回はパーキンソン病で訪問介護を利用されているカズ様に、介護を受ける立場からのご意見をいただいたので、2回に分けてご紹介します。


今貴方の両親が介護を必要な状態になったらどうしますか。施設へ入居させて全て面倒みてもらいますか?それとも自宅で面倒を見ながら仕事、生活面をこなせる自信はありますか?

介護は赤ちゃんのように日毎の成長が目に見えるものではなく、亡くなるまで苦労の連続が続いていきます。

そんな難しい介護を仕事とし、毎日苦難や喜びを体験しているヘルパーや介護職の現状について利用者の側からの視点で解説します。

介護の現状

現在介護を受けている人は全国で390万人超で、これからもますます増加傾向にあります。2050年には働き手(15~64歳)1.7人が高齢者1人を面倒みるくらいの高齢化社会になります。それに伴い介護の需要は右肩上がりでのびてきます。

一方それをサポートする人材はというと、需要からするとかなり不足しており、離職率も高いため働く環境は決してよくはありません。原因としてはきつい、汚ない、自由が少ない等で、特に待遇面では同様な職種の医療・福祉にくらべても格差はかなりあると言われています。このように仕事の内容にくらべて評価が低いので常に人手が足りない状態です。

介護のこれからの展望

介護する側の人手不足に加え、私のような重度障害者を介護するヘルパーはそれなりの専門知識も必要になってきています。私の場合も当初はヘルパー資格取得後半年の担当が派遣されていましたが、パーキンソン病に対する症状に対して知識も経験もなかったので、お互いに大変な毎日を過ごした経験もあります。

パーキンソン病独特な症状で左半身が麻痺して自由がきかず、更に痙攣も伴い、そのため自宅のフロアや浴室で転倒するときがあり、まだ経験が浅いヘルパーさんだと対処ができず応援を呼んだこともあります。

これからは高齢者の増加に伴い、パーキンソン病や認知症などの利用者が増えてくることは避けられないことかと思います。国も「参入促進」など3本の柱を打ち出し人材の確保、育成に取り組んできていますが質を伴った介護職の育成には、かなりの時間を要する為有余な時間はあまりないと思います。

ヘルパーに期待すること

心配り

私が思うヘルパー像は「利用者への思いやりと心遣い」が基本ではないかと思います。

私の身近なところで、利用者に対しての扱いがあまりにも横暴な光景や、携帯電話を片手に話しながら車イスを押していく姿など、何度となく目にすることがありました。

反対に感心した場面も最近体験し「心配り」に癒されました。

いつも派遣してくる事業所で新しい担当者が派遣されて来たときのことです。食事の用意で蕎麦を調理してもらいました。いつものヘルパーさんは蕎麦を普通の調理のしかたで出してくれていましたが、その新しい担当者は、蕎麦を湯で洗い下ごしらえして調理してくれました。本人に聞くと「衛生面や美味しさを考えてやってみました」といい、又水道水も生水は避けていつも湯冷ましを冷やして提供してくれています。日常の些細なことでもこのように心配りをしてくれる事は、なかなか気づかないことでもあります。

その他にも、いつもサービスに来たときは必ず笑顔で「今日の調子はどうですか」と声かけしてから、サービスにはいります。一人住まいの私はヘルパーが唯一の話し相手になるため、いつも体調等細かなところへの「心の介護」ができる介護職こそが、利用者が安心して任される介護のプロだと思います。

利用者の不安の解消

利用者は常に将来・生活・病気・症状などについて「不安」という2文字が頭から離れません。

介護ヘルパーとはその不安を解消してくれる人材であり、毎日家族以上に利用者の体調や症状を把握して心配りをくれるような位置付けではないでしょうか。

私も一時は色々な不安材料が重なり毎日寝れない日々が続き、自殺願望まで追い込まれたときに、毎日サービスに来ているヘルパーはそのような変化さえ気づかず、ただ規定通りの掃除や食事の用意などで終わって、結局私は入院処置をとることとなってしまいました。

介護する側は利用者に対して「今何をしてあげたらよいか」「どんな状態なのか」等を常に把握して、心の介護を行うことも大きな職務ではないでしょうか。

在宅介護の問題点

最初の項目でも延べましたが今全国で介護を受けている人は300万人以上います。多くの人は施設への入居を希望していますが、入れない、施設の空きがないという問題点があり、多くの人が在宅介護のお世話になっています。中でも一番多い形態が介護保険のサービスを受けつつ家族が介護をしている人で、独居高齢者、高齢者だけの所帯などでは、介護保険のみのサービスで在宅介護を受けている人もいます。

しかし現状は、介護サービスが必要になった時でも現在の介護保険を利用するための手続きやシステムが複雑すぎて、介護保険自体の適切な使い方を知らない人がいることが問題ではないでしょうか。

私の場合も様々な問題があり、介護認定やその他の認定を取得するまで2年かかりました。その間は在宅介護も含め福祉サービスというものを受けることはできません。

現状では施設入居を希望しても定員等で入居ができなく、在宅介護への依存度が高くても、それを利用できないような状態があることに大きな問題があるのではないでしょうか。

介護認定迄の経緯

まず第一に自分の情報不足がありました。

症状がでて最初の診断は「パーキンソン症候群」で、この診断では難病指定の認可はとれないため、介護保険時も使うことができず、また当時はまだ50歳代で介護保険適用年齢になっていませんでした。

それでも日に日に進行する症状との格闘でした。

当時はワンルームで共同浴場のアパート暮らしで、一人で起きることもできず、風呂にも入れず友人に助けてもらってました。福祉用具も買えないのでつえも100キンで買い何とか生活していたとき、友人が役所に行き状況を説明してくれた結果、65歳以下でも「自立支援法」(障害者支援法)という制度があることを調べてくれて、申請手続きをして認可を受けることができました。

以降現在までこの制度を活用して、今は介護保険と両方を認可され色々なサービスを受けています。

現在認可申請で苦慮されているかたへ

私の経験上、介護を受けるような人が身近にできた時は以下のポイントに注意してください。

①いち早く地域包括センターか役所の福祉へ行きケアマネージャーを紹介してもらってください。今の介護保険制度はケアマネージャーに始まりケアマネージャーで終ると言っても過言ではありません。65歳以下で障害を持っておられる方であれば、障害者支援法の認可のある事業所を見つけて、申請の相談をするようにしてください。

②難病指定に適合するか担当医に相談をしてください。難病指定に該当する場合は役所の難病指定の窓口で申請をして、認可されると指定された病気に関しての医療費は国が負担してくれ、訪問看護や訪問リハビリのサービスを受けることもできます。私も現在受けています。 介護保険のシステムはプロの介護職が聞いても難しく、素人の我々では理解するには困難な為、いいケアマネージャーに出会い適切に対応してもらう事がサービスを受ける重要な点だとおもいます。

>>地域包括支援センターとは >>ケアマネジャー(介護支援専門員)とは

▼次回記事はこちら 要介護状態であっても生活の中に楽しみを~介護される立場から②


※ご注意 当記事は、訪問介護をご利用中の方が被介護者の立場からのご意見をまとめたものであり、個人的な見解や意見が含まれています。 そのため、当記事を参考に介護保険サービス等をご利用の際は、最寄の地域包括支援センターまたは市区町村の窓口などに問い合わせの上、最新の情報を入手しご利用ください。 免責の詳細については▼当サイト利用規約をご確認ください。