「火の管理が不安」-認知症になったら料理を辞めさせるべき?

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認知症で火や食材の管理が不安なことから、「料理を辞めてほしい」と思っている家族もいることでしょう。安心介護の投稿の中には、「火事が不安なのでガスを止めてしまった」という声も多く投稿されています。

それでは高齢者の女性にとって、「料理」とはどんな存在なのでしょうか?

そのことがよくわかる調査結果を、株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメントが発表しているので紹介します。

7割以上が「料理を作るのが楽しみのひとつ」

まず、「料理を作るのは楽しみのひとつかどうか」を各年代の女性に聞いたところ、「非常にそう思う」、「まあそう思う」と答えた70代は7割を超えました。

高齢者と料理:画像1

50代前半では48%、50代後半・60代前半では59%と比べると、70代以上の女性に料理好きが多いことがよくわかります。

また、「自分の作った料理を食べさせるのが好きかどうか」を聞いたところ、年齢が高くなるほど「非常にそう思う」、「まあそう思う」と答える人が増えました。

50代前半では31%だったのが、70代後半では60%となっています。

料理を辞めさせるデメリット

80代以上の調査結果がないのは残念ですが、高齢の方にとって「料理」は大切な楽しみとなっているかもしれません。

料理を辞めさせると、自信を失うなどの理由で認知症が悪化したり、ADL(日常生活を営む上で不可欠な基本動作)が低下したりする可能性があります。

火の管理が不安なときの対処法3つ

それでは認知症になり、火の取り扱いが不安になってきたらどう対応したらいいのでしょうか?

安心介護内に投稿されている専門家の声をまとめます。

ヘルパーさんと一緒に料理をする

ご本人さんに調理をしたいと言う気持ちがあり、出来る能力があるのであるなら、ヘルパーさんと一緒に調理して頂いてはどうでしょうか。 (専門家の回答) 介護のQ&A「認知症の母 介護疲れ」

 

「必要ない」と言われてもヘルパーさんを定期的に依頼されることです。 ヘルパーさんは介護サービス(仕事)として生活援助をしてくださいますので、拒否されてもうまく入り込んでくださいます。少し時間はかかると思いますが、そこは担当のケアマネさんがフォローされます。あなたは「私がなかなか行けないし、お母さんは何でも出来るからその方に色々教えてあげてね」くらいの声かけでよろしいかと思います。 お母様もきっと以前より不安なことがあると感じておられると思います、そこでうまくヘルパーさんが「安心させてくれる」ということになれば成功です。 (専門家○あーちゃんさんの回答) 介護のQ&A「ヘルパーさん導入成功例を教えてください」

IHセンサー付きのコンロに変える

台所はIHに変えるなど、火を使わない方法もどうでしょうか。 高齢者の為に、IHに変える家はありますよ。 (専門家の回答) 介護のQ&A「認知症の母 介護疲れ」

 

利用者様の中で、同様に火の扱いをさせたくないとIHクッキングヒーターに 変更した方が居ました。 価格はそれなりに張りますが、家が焼けてしまうよりはということです。 IHですと切り忘れ防止、空焚き防止、チャイルドロック機能と安全性に優れています。 (専門家リアンさんの回答) 介護のQ&A「ガス(火)を使って欲しくないのですが。」

 

市町村の福祉制度に電磁調理器の給付事業がありますので、包括支援センターやケアマネに係ってもらいましょう。 (専門家しがないケアマネさんの回答) 介護のQ&A「近所の独居女性77歳の都市ガス使用について」

 

ただし、IHを嫌がる人もいます。また、IHに変えてみたけれど、「使いこなせない人が多い」と指摘する専門家もいます。その場合には、自動で火が消えるセンサー(Siセンサー)の付いたコンロを勧める声がありました。

張り紙で注意を促す

1:「火の元」「火を消す」など張り紙を台所の目立つところにはる。 →本人が注意できるようなビラを貼ることでどこまで本人ができるかを評価。 (専門家の回答) 介護のQ&A「認知症の母のお金の管理とガス使用について、アドバイスをお願いします。」

 

また、本人が納得していないのにコンロを撤去した場合、ガス会社に電話をかけて再設置をしてしまうことがあるようです。

急に料理を辞めた場合は要注意

調査結果からわかるように、高齢の女性は料理好きが多い傾向があります。

先日行ったアンケートでは、認知症だと疑うようになったきっかけについて、約4割の人が「調理など今まで普通にできていたことができなくなったから」と答えました。

>>【アンケート結果】認知症を疑ったきっかけと受診までの期間について

アルツハイマー病の方などは、それまで大好きだった料理ができなくなって辞めてしまっても、周囲には「面倒くさくなったから」などと取り繕ってしまうことがあります。

それまで料理好きだった人が急に料理を辞めてしまった場合には、認知症の症状が出ていないかどうかよく観察したほうが良さそうです。