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【現役介護士コラム】ささいな事でもケアスタッフに伝えることが大切

公開日: : 最終更新日:2018/12/06 介護疲れ・介護負担

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施設に面会に来てくださったご家族から、様々なご意見をいただく機会も多くあります。それは、ケアの方針や環境整備についてなど、ご利用者様に関することがほとんどなのですが、時折「これを言ったら申し訳ないと思って、言えなかったんです」とおっしゃる方がいます。

そこで、ケアスタッフの目線から、ご家族と介護職員のコミュニケーションについて書いてみたいと思います。

申し訳ないと思ってしまうのが家族心理

私も祖母が施設に入所しているので、たまに顔を見に行くのですが、家族心理として「ケアしてもらっているのに、こんなこと言ったら悪いかな」と思うこともあります。

それはきっと、私だけでなく多くのご家族がそう思っているのだと感じています。ですが、介護職員として考えると、それが入居者本人のためになるなら、申し訳ないことなんてありません。もしかしたら、ご家族が気付いたことは、職員が気づいていないことかもしれません。

私たちは、ご家族含めてのチームケアだと思っていますので、ぜひ話を聞かせていただきたいと思っています。

一定期間ごとに開かれる「ケアプラン会議」

また、特別養護老人ホームに入所されている方は、一定の期間ごとに「ケアプラン会議(施設によって名称が違います)」というものが開かれています。これは、ご利用者様の生活やケアに関するとても重要な会議です。

おおまかな内容としては、
・普段の生活の様子
・それまでのケアプランに対する評価と見直し
・今後のケアの方針の決定 です。

この会議で重要なのは、本人とご家族の意向です。

「こんな生活を送りたい(送ってほしい)」という想いに対して、職員としてどのように応えられるか、どのようなケアが必要かをお話しさせていただきます。

その際、直接ケアに関することではなくても、居室環境や日々の生活について気になっていることがあればぜひ教えていただきたいです。

小さなことでも、私たちには貴重

職員にとって、ご家族からご利用者様のお話を聞くことはとても貴重なものです。

「昔〇〇が好きだった」「こんな仕事をしていた」「家ではよくお酒を飲んでいた」など、それまでの生活やご本人の性格、ご家族との思い出を教えていただくことで、ケアの視点が増えていきます。

私が今までお話を聞けて良かったと思った一つの例として、入浴のケアに抵抗される方のお話をします。

その方は、入浴が嫌いなわけでも、職員に対して抵抗しているわけでもないご様子でした。なぜ入浴の時になかなか脱衣所から浴室へ行かれないのかなと、職員も手を変え品を変えケアさせていただきましたが、3ヵ月間、改善の糸口は見えないままでした。

そんなとき、面会に来た娘様が、おしぼりをたたんでいるお父様を見て「家族の中で、洗濯だけは父の役割だったんです。母はもともと腰が痛くて、洗濯が負担になっていたのと、いつも最後にお風呂に入ってたから。」というお話を聞かせていただきました。

それから、その方をお風呂にお誘いするときは「〇〇さん、洗濯物手伝っていただけませんか?」「せっかくなので、それも洗濯して一緒にお風呂入っていきませんか?」とお声掛けしました。

すると、今までの3ヵ月間が嘘のように「洗濯物はこれで最後か」「父ちゃん風呂入るから」とすんなり入浴していただくことができました。
このように、ふとしたことがその後のケアを大きく変えることもあるんです。

皆さんにとって居心地のいい場所であってほしい

ご家族の方からお気遣いいただくことは本当にありがたいことだと思っています。ねぎらいの言葉をかけていただけると、介護の仕事をやっていてよかったと思う職員も多いと思います。

ですが、気を使うだけの関係ではなく、ご利用者様、ご家族にとって、居心地のいい場所であってほしいなと思います。

あるご家族から言われたことは「もうお母さんの家売っちゃったので、私には実家がないんです。だからここに来るのが楽しみなんですよ。」と。確かに、ご利用者様にとって長く住んだご自宅がなくなるだけでなくご家族にとっても大切な場所がひとつ無くなってしまうというのはとても寂しいことだと思います。

だからこそ、皆さんからのご意見、ご要望にできるだけこたえたいと思いますし、居心地のいい空間を作りたいと思っています。それにはまず、お話しするのが一番です。どんな些細なことでもぜひお聞かせいただければと思います。

《執筆者:佐藤悠祐》
介護福祉士/NPO法人Startline.net代表
性同一性障害当事者

介護福祉士になるつもりはなかった高校生時代から一転、専門学校へ進学し、介護福祉士の資格を取得。その仕事の魅力にはまってしまい現在に至る。

自身がLGBT当事者であることを生かし、「NPO法人Startline.net」を設立。多様性のある福祉サービスの実現を理念に掲げ、講演やイベントを通しLGBTを含むマイノリティに対する理解を広める活動を行っている。