高齢化が進むにつれ、在宅で介護を受ける方も増えています。特別養護老人ホームは待機者が多く、他の施設では入居金が払えず、在宅で介護をするほかないという方も少なくありません。
家族介護の問題が可視化されるようになり、その問題も深刻化しています。その一つが虐待です。
そこで今回は「虐待してしまったかもしれない」と思った時の対処法についてお伝えしたいと思います。
虐待とは、暴力だけではない
虐待とは、手をあげる暴力だけだと思われがちですが、それ以外にも虐待とされることが大きく分けて5つあります。
虐待の種類
・身体的虐待 ・心理的虐待 ・性的虐待 ・経済的虐待 ・介護・世話の放棄・放任
また、家族介護において虐待は問題として上がりにくいことや、公になりにくいことから、次第にエスカレートしてしまい、高齢者本人、介護者ともに心身に大きな負担となっていきます。
虐待をしてしまった、と思ったら
積み重なる疲れ、被介護者からの暴力、暴言。他の家族からの言葉など、日々の小さなストレスから、被介護者に向けて暴力、暴言などをぶつけてしまうことがあった場合、放っておくと取り返しのつかない結果になってしまうこともあります。
もしそのようなことがあった場合、まずは誰に相談しますか?
一番に相談してほしいのは「ケアマネジャー」です。ケアマネジャーは、ショートステイ利用や施設入所についての情報を持っています。
虐待、またはそれに準ずる行為が起こってしまった場合、被介護者だけでなく介護者側の負担軽減についても考える必要があります。それを《レスパイト・ケア》といいます。
状況に応じて、ショートステイ利用の紹介や施設入所申し込みの手続き、訪問介護の増改など、何かしらの手続きを行ってくれるでしょう。
まずは一度相談してみてはいかがでしょうか。
つらいのは、あなただけじゃない。
家族の介護に関するストレスや愚痴はなかなか吐き出しづらく、ため込んでしまう介護者も多いと思います。 ため込んでしまった結果、介護者側も疲弊してしまい心身ともにバランスを崩してしまう方もたくさんみてきました。ストレスから、大声を出してしまったり威圧的な態度をとってしまい自己嫌悪に陥る方も少なくはありません。
そんなときは、お住まいの地域、または近隣地域で「介護者家族会」というものが開かれていたり、地域包括支援センターで介護者サポートをしていたりと、ピアサポート、専門家サポートという形で、介護者をサポートしてくれるところが、実はいくつもあるんです。ぜひ活用してみてくださいね。
《執筆者:佐藤悠祐》 介護福祉士/NPO法人Startline.net代表 性同一性障害当事者
介護福祉士になるつもりはなかった高校生時代から一転、専門学校へ進学し、介護福祉士の資格を取得。その仕事の魅力にはまってしまい現在に至る。
自身がLGBT当事者であることを生かし、「NPO法人Startline.net」を設立。多様性のある福祉サービスの実現を理念に掲げ、講演やイベントを通しLGBTを含むマイノリティに対する理解を広める活動を行っている。
虐待の予防や対策に関する記事
また、安心介護内では虐待の予防や対策に関する記事を公開しています。あわせてご確認ください。
【イライラ怒鳴ってしまうときの対策(全4回)】
>>第4回:イライラ・感情爆発したときの感情のコントロール方法