要介護認定の訪問調査について知っておきたいこと 取り繕い対策や主治医との連携など

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新規で要介護認定を受ける際にも、更新の際にも行われる「訪問調査」。要介護度の判定のため、市区町村の担当職員などが本人の自宅などを訪れる調査です。

安心介護内の投稿でも、訪問調査を前に不安を感じている方からの声が投稿されています。

今回は専門家のアドバイスを中心に、訪問調査で後悔しないコツをまとめます。

訪問調査で後悔しないコツ

家族が立ち会う

ご家族様の立会いは任意ですが、介護者の事情や意向を 伺うことがありますので、なるべく立会いをして頂けたらと思います。 (専門家 踊る豚さんの回答) 引用元:介護のQ&A「介護認定訪問調査の項目や調査での注意点」

もし本人が取り乱したりすることがあっても、そのままの姿を見てもらう機会だと思うといいでしょう。

本人が怒ったり暴れたりする方がかえって『介護が大変』と認識してくれるため、しめたものという考え方です。 (専門家ひなさんの回答) 引用元:介護のQ&A「認定をうける時の注意点は、ありますか?」

また、家族だけではなく、ケアマネが立ち会うことも可能です。

メモを用意しておく

あらかじめ普段の様子を、メモに箇条書きにしておきましょう。

▼書いておきたい項目

「麻痺や拘縮」、「寝返り・起き上がり・歩行・立位」、「入浴・排泄・食事」、「衣服の着脱」、「金銭管理」、「視力・聴力」、「認知症・問題行動・徘徊などの行動」、「14日以内に受けた点滴などの医療」「買い物・簡単な調理・薬の管理、服薬状況など」「住所や名前・生年月日・今の季節」などについて細かく尋ねたり、実際に行っていただいたりします。 ・それぞれの項目でご本人がされること・ご家族が介助されている内容をメモしておきましょう ・糖尿病や脳梗塞の既往・怪我などもあればメモしておきましょう。発症した時期・入院などがあれば期間など。 ・お父様が困っていることをメモしておきましょう。 ・ご家族が困っていることもメモしておきましょう。(ご家族の介護負担など) ・お父様の目の前で調査員に伝えにくい(頑固で困っている)こともメモしておきましょう。 「今と昔の話が混同してきたり、糖尿病、脳梗塞の薬も飲まなくなり、食べまくり、飲みまくり、寝てばかりの生活です。」も伝えてくださいね。 (専門家 noriko さんの回答) 引用元:介護のQ&A「認定をうける時の注意点は、ありますか?」

▼頻度と手間を書いておくこと

私も認定調査を行うことがあるのですが、「頻度」と「手間」という面で調査をしますので、「週に何回くらい○○な状況があり、その後、掃除したり、探したりする手間がかかっている」というように書いてあげると分かりやすいかもしれません。 (専門家 sora さんの回答) 書き方は箇条書きで、頻度を加えてください。(月に何回、もしくは週に何回、毎日など) (ケアマネドットコム専門家 fukushisyakaiさんの回答) 引用元:介護のQ&A「介護認定更新の際の訪問調査について」

▼直近の出来事を中心に

認定調査は直近の状況から判断されますので、家庭内での現状と、最近の一番大きな出来事を話すことが重要です。 また、デイサービスに行って改善されたことよりも、デイサービスに行かなければどんなにみんなが困るか、ということを訴えられた方がいいと思われます。 (専門家ケアマネドットコム専門家 千世さんの回答) 引用元:介護のQ&A「介護認定更新の際の訪問調査について」

▼連絡先を書き加える

最後に必要であれば電話にて問い合わせができるように連絡先・連絡可能時間帯を書き加えておくと認定調査員がさらに聞き取りたい事を電話にて聞き取ることもありますよ (ケアマネドットコム専門家 nakatomoさんの回答) 引用元:介護のQ&A「介護認定更新の際の訪問調査について」

また、症状や行動についてだけではなく、住環境などの生活環境についても困っていることを書いておきましょう。

調査員が帰る前に時間をもらう

本人が普段と違う振る舞いをしていても、本人の前でそれを指摘しない方がいいと専門家はアドバイスしています。

取り繕うことがあらかじめ予測できているのであれば、訪問前もしくは直後に「調査後に話したいことがある」と伝えておいてもいいでしょう。

また、調査員には守秘義務があるので、安心して正直に話してほしいとの声もありました。

訪問調査の時に 帰る時に玄関まで送っていくふりをして実態を話してください。 (専門家ケアマネドットコム専門家こぶたちゃんさん) 認定調査員から訪問日の約束の連絡はありましたか。 調査時に本当のことを本人の前では話せないため、帰宅時にメモを渡すと伝えておくといいでしょう。 (ケアマネドットコム専門家 fukushisyakaiさんの回答) 『認知症』のお薬が処方されている・日常的に目が離せないなど状態(困っている)を話すときは本人がいない場所で、調査員に伝えましょう。調査員の訪問直後に、本人のいないところでお話ししたい旨を伝えるとよいと思います。 (専門家 りんごケアマネ さんの回答) 引用元:介護のQ&A「介護認定更新の際の訪問調査について」

主治医にも助けを借りる

訪問調査とは直接かかわりがないのですが、要介護認定を受けるにあたり、もう一つ大事なのが主治医の意見書です。

主治医の先生に前もってよくお話して認知症の現状を意見書に書いてもらうよう頼んでおくといいですよ。 (専門家doraさんの回答) 主治医の先生にも意見を伺うので、日頃の困った状態を受診時に伝えておくことも大切です。 (専門家 りんごケアマネ さんの回答) 引用元:介護のQ&A「介護認定更新の際の訪問調査について」

また、末期がんなど身体機能や生活機能が急速に悪化する可能性が高い人の場合には、主治医の意見書が大きなポイントになると指摘する専門家もいます。

厚生労働省としては末期がんの場合、上に書いたように急激に悪化することが見込めれることが多いため、調査結果で要支援の結果が出ても、認定審査委員会で要介護に変更しても差し支えないとなっています。 その場合、認定調査の項目もさりながら、一緒に医師の意見を依頼しているかと思いますが、 主事の意見書に「末期がん」に関してはその具体的な部位、また半年以内に末期がんが原因で身体機能や生活機能が急速に低下する可能性が高い旨、及びそのためにベッドや訪問看護、訪問介護などが必要だということを明記いただくことで、要支援認定の対象者様でも、要介護としやすくなります。 もちろん、調査の方にも、末期がんであり、今はできていることでも急にできなくなる可能性が高いこと。現状で困っていることをしっかりメモにして当日伝え忘れがないようにすることも大事です。 結論として、末期がんの認定では、その病状を正確かつ予後もしっかり伝える必要がありますが、これについては訪問調査の認定内容よりも、医師の意見書のほうが比重が大きいかと思います。 意見書を記載する医師にも、しっかり相談することをお勧めいたします。 (専門家たろんさんの回答) 引用元:介護のQ&A「介護認定調査員の判定について」

訪問調査にかかる時間は?

訪問調査にかかる時間について、専門家の意見をまとめると、目安として40~90分だそうです。更新の際に訪問調査を担当しているケアマネが行うことがありますが、それでも最低20~30分程度はかかるとのことです。

また、お茶菓子を出すといった気遣いは不要だとの声もありました。

介護保険を利用するのに欠かせない要介護認定の訪問調査。適切な認定を受けるためにも、事前にしっかりと準備しておきたいですね。