気を付けたい“浴室での事故”~予防方法や溺れているのを発見した時の対処方法

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消費者庁は1月25日、冬に多発する高齢者の入浴中の事故について注意するように呼びかけました。この注意喚起は消費者庁によって毎年行われているものです。 参考:消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」(1/25)

高齢者に多い浴室の事故

2015年に家庭の浴槽で溺死した人は4,804人。そのうちの92%にあたる4,416人が65歳以上だったそうです。

また、東京都健康長寿医療センター研究所によると、溺死を含めた入浴中の事故による死亡者は、2011年の1年間で1万7000人。そのうちの1万4000人程度が高齢者と見込まれています。 参考:東京都健康長寿医療センター「冬場の住居内の温度管理と健康について

また東京都23区の統計では、入浴中の死亡事故の5割が12月から2月の間に起こっていることがわかっています。 参考:消費者庁「冬場に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! 」(2016/1/20)

事故を起こさないために気を付けたいこと

入浴中の事故で多いのは、「ヒートショック」です。

ヒートショックの対策としては、 ●脱衣所や浴室をあらかじめ暖めておく ●ヒトの生理機能が高く、外気温も比較的高い午後2時から午後4時頃の間に入浴する ●食後1時間以内、飲酒時の入浴を避ける ●家族同士で声掛け、見守りをする などがあります。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。 >>急激な血圧の変化で起こる脱衣所や浴室での「ヒートショック」の対策を

また、高血圧時や体温が37.5度以上の時の事故が多いという報告もあります。入浴前に血圧や体温を測ることで、事故が防げるかもしれません。 >>高血圧時と体温37.5度以上の時の入浴は要注意!-東京都市大学調査

消費者庁では加えて「浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう」と呼びかけています。

浴槽で溺れているのを発見した場合の対応方法

万が一、浴室で溺れてしまっている人を発見したら、どう対応したらいいのでしょうか? 消費者庁は下記の6つの手順を紹介しています。

1.浴槽の栓を抜く。大声で助けを呼び、人を集める。 2.入浴者を出せるようであれば浴槽内から救出する。直ちに救急車を要請する。 (出せないようであれば、蓋に上半身を乗せるなど沈まないようにする。) 3.浴槽から出せた場合は、肩を叩きながら声を掛け、反応があるか確認する。 4.反応がない場合は呼吸を確認する。 5.呼吸がない場合には胸骨圧迫を開始する。 6.人工呼吸ができるようであれば、胸骨圧迫 30 回、人工呼吸2回を繰り返す。 できなければ胸骨圧迫のみ続ける。 引用元:消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」(1/25)

また、各消防署などで受けられる、救命講習の受講を呼びかけています。

自宅での入浴が不安な場合の対策

ひとり暮らしの高齢者など、なかなか介護者の目が届かない場合には、どんな対策をとったらいいのでしょうか。

浴槽用手すりを付ける

お風呂に入る時や出る時に身体を支えられる浴槽用手すりのとりつけは、介護保険を利用した住宅改修の対象工事です。 >>介護保険が使える住宅改修(リフォーム) 特徴と活用方法

また、工事が必要ない浴槽のフチに取り付けるタイプや、強い吸盤で取り付けるものなどがあります。

また、手すりやお風呂のフチにつかまりながらゆっくりと立ち上がる習慣をつけると、事故の予防につながるでしょう。 >>介護用品としての浴槽用手すりについて

デイサービスや訪問入浴サービスを利用する

自宅での入浴の際に見守りをする人がいない場合、デイサービスや訪問入浴サービスを利用するという方法もあります。 >>通所介護(デイサービス)とは 特徴と探し方

公衆浴場の利用も人の目があるので安心ですが、湯冷めのことなどを考えると、冬の利用は難しいかもしれません。