要介護認定の更新審査の簡素化で介護者の負担はどう変わる?

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厚生労働省は1月19日、都道府県や指定都市などの担当者を対象に「全国厚生労働関係部局長会議」を開催しました。

あわせて公開された介護保険制度の見直しについての資料から、「要介護認定の更新」に当たる部分をまとめたいと思います。

要介護認定更新の流れ

要介護認定の更新は、有効期間満了日の60日前から、更新申請の受付が開始されます。ケアマネジャーが代行することがほとんどです。

要介護認定の更新申請がされると、市町村職員などによる「認定調査」が行われ、主治医が作成した「主治医意見書」とともに、コンピューターによる一次判定が行われます。

その後、専門家による介護認定審査会で「一次判定の修正または確定」と「二次判定」がされます。

この介護認定審査会は年間平均207回開催され、出席のためにする時間外勤務は平均約2時間/週とのことです。今後、高齢化が進むにつれて開催回数やそれにかかる時間が増えていくことが見込まれます。

こういった要介護認定にかかる事務負担を軽くするために、手続きの簡素化が目指されています。

更新期間を最長36ヵ月へ

現在、要介護度の更新認定の有効期間は原則12ヵ月、状態が安定している場合には最長24ヵ月です。

この有効期間を、最長36ヵ月に延長する案が上がっています。 >>要介護度更新認定の有効期間が最長3年へ

二次判定の手続きを簡素化

同時に検討されているのは、状態が安定している人の二次判定の簡素化です。

2013年1月に、新規、区分変更、更新の要介護認定を受けた人を100とした場合、一次判定と二次判定が変わらなかった人は83.3、変わった人は16.7でした。

その次の更新の際に一次判定で要介護度が変更されなかったのは45.5。そのうちの約96%が二次判定でも変更なしと判定されました。

[caption id="attachment_8624" align="alignnone" width="716"](画像出典元:厚生労働省) (画像出典元:厚生労働省)[/caption]

こういった事実から、「状態安定者について二次判定の手続きを簡素化することを可能とする」としています。

どういう状態になっている人を「状態安定者」とするのかについては、これから研究を踏まえて設定されることになります。

介護者の負担はどう変わる?

要介護認定の更新期間が延長されると、それだけ訪問調査の立ち合いといった利用者の手間も省けると言えるでしょう。

もちろん、状態が急に変化した場合には、有効期間内でも要介護認定を再度受けられるのは今後も変わりません。ケアマネジャーに普段の状態を伝えるなど、細かく連携をとり、要介護認定の更新を行いましょう。

また、申請から結果を受理するまでに平均で36.5日間かかっている認定調査手続きについては、 ・主治医意見書を依頼してから入手するまでに平均15.6日かかっている ・市町村事務局による一次判定資料の作成や送付が必要 ・介護認定審査会による資料の事前確認が必要 などの理由から、それほど短縮は見込めないでしょう。

※こちらの記事は2017年1月時点の情報です。2018年4月の介護保険改定については、最新の情報をご確認ください。