2015年4月から取り組みがスタートしている、在宅医療・介護連携推進事業。高齢者やその家族が安心して在宅での生活を続けていくには、欠かせない事業です。一方で4割のケアマネジャーが「推進されていない」と感じていることや、市区町村によって実情がさまざまであることは以前も紹介しました。 >>在宅医療・介護の連携について、ケアマネジャーの本音とは?
課題ともなっている医療と介護関係者の情報共有のため、日本医師会は「かかりつけ連携手帳」を作成し、2015年10月に公表。2016年12月27日にフリー素材としてWEB上で公開しました。
かかりつけ連携手帳とは
1人の高齢者に関わる職種は、かかりつけの医師や看護師、介護関係者、薬剤師、作業療法士、歯科医師など多岐にわたっており、それぞれが利用者に関する情報を持っています。その情報をアナログ的に共有するのが「かかりつけ連携手帳」です。
もともとは三師会(日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会)が提唱したものですが、地域包括に欠かせない看護師や介護スタッフとの情報共有も想定されています。
診断結果などの医療情報は、通常本人の承諾がなければ第三者に開示できませんが、かかりつけ連携手帳は、お薬手帳のように要介護者本人が持ち歩き、医師などに提示する手帳です。
かかりつけ連携手帳に記載されるもの
かかりつけ連携手帳に書き込まれるのは、下記のような項目です。
・氏名や生年月日、自宅住所、血液型などの基本情報 ・要介護度やその有効期限などの介護保険情報 ・緊急連絡先 ・かかりつけの医療機関や介護事業所の情報 ・病歴や飲んでいる薬、アレルギー歴などの情報 ・基本動作や家事、外出、趣味、仕事などの活動状況 ・予防接種の記録 ・歯の状態 など
また、自由に書き込んだり、検査結果などを張り付けたりできる自由記載ページがあります。
将来的にはICT化へ
この手帳は将来のICT(情報通信技術)化を見据えて構成や項目が作られているそうです。
多くの地域で進められている、在宅医療・介護連携のためのICT化ですが、目標の2025年までにすべての地域で用いることは難しいと考えられています。
現状でも十分に連携が取れるように作成されたのが、「かかりつけ連携手帳」です。これにより専門職と利用者との間のコミュニケーションが向上するのではないかと期待されています。
また、一緒に暮らしていない家族が健康状態や介護サービスの利用状況を把握するツールとしても役立ちそうですね。