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介護休業を取る意義とは―本人や家族だけではなく、同僚のためにも取得を

公開日: : 最終更新日:2017/01/26 介護の周辺サービス

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前回は2017年1月1日に改正される育児・介護休業法について解説しました。
>>介護者メンタルケア協会の橋中今日子さんが解説!「改正育児介護休業法」について

今回の制度改正に向けて、「仕事を続けてもらえる方法を探したい!」と、独自の対策に乗り出している企業、事業主も増えてきています。しかし、人手が足りない現場では、「休まれると困る!」と感じているところも少なくありません。

特に新設された時短勤務制度については、会社、事業主もこれからどのような対策をとるのか迷っているところも多いのが現状です。

迷惑だ!と言っていた同僚が応援者になった事例

Aさん(独身・女性)は、母親の介護を理由に介護休業を取る際、同僚のB
さん(30代の独身女性)に、「休まれると迷惑です!」と言われました。

Aさんの職場は、20代、30代が半数を占め、「家族を介護する」ことがピンとこない人が多くいました。実際、会社で介護休業を利用するのはAさんが初めてだったのです。ですから、初めて介護休業を利用するAさんへのサポートをどうしたらいいのか、職場も戸惑っているようでした。

同僚のBさんの言葉で、ショックを受けたAさんは、「仕事を辞めてしまった方が楽かもしれない」と思いました。

しかし、責任ある仕事を任せられており、やりがいを持っているため、「仕事を辞めたくない!」と思ったAさん。

「今は迷惑をかけるけれど、絶対に復帰してお返しができる!」と信じて、職場、上司や同僚たちに「仕事を続けたいんです。今は休んで仕事と介護の両立できる方法を探す時間をいただけませんか?」と相談し、93日の介護休業をとりました。

その後、Aさんは仕事に復帰。しかし、一度の介護休業をとっただけでは、介護の問題は解決しません。母親が転倒して骨折し、状態が悪くなることも度々起こりました。

その度に会社を休むことが多かったAさんですが、職場の応援体制が整えてられていくのを感じていると話します。

今も母親の体調の変化で休むことも頻回にありますが、その度、一番助けてくれるのは、「迷惑だ!」と言っていた同僚のBさんだそうです。

実はBさん自身も、その後に父親が倒れ、仕事と介護の両立に悩む状況になっていたのです。

誰もが介護に向き合う時代に

今、日本では団塊の世代が65歳以上になり、団塊の世代の子どもたちである働き盛りの40代、50代が介護に向き合う時代です。

そして65歳の5人にひとりが認知症になると言われている今、誰もが介護する、介護される時代に入りました。

核家族化、少子化、晩婚化、未婚化など、ライフスタイルが多様化している今、高齢者だけの世帯も増え、家族だけで“介護が必要な家族”を守ることはできません。

悲しい事件を起こさないために仕事と家庭を守る

NHKの調べによると、2週間に一度の頻度で介護殺人や心中事件が起こっています。「迷惑をかけられない」と、職場や家族に相談できないまま、一人で介護の苦しみを抱え込んだ結果です。

介護を理由に仕事を辞めた方の7割が、「仕事を辞めてからの方が、経済的にも、心身にも負担が増えたと感じる」との調査も出ています。

“仕事を辞めて介護に専念していた息子が母親を殺した”-。このような事件は後を絶ちません。

今、介護を必要とする人の生活を守ることももちろんですが、辛い、悲しい事件にならないためにも、介護する人が、仕事と家庭を守ることは社会全体の課題となっています。

介護休業制度を利用することで、職場に一時的に迷惑をかけるかもしれません。しかし、私たちがこの制度を利用することで、これから仕事と介護の両立に悩む人が助けられる制度の基盤が出来上がっていきます。

介護休業取得は自分や家族のためだけではない

苦しい時に「迷惑だ!」と言われると、とてもつらい気持ちになりますが、相手は余裕が持てない状況であること、そして介護している人の情報が足りていない可能性があります。

今、「迷惑だ!」と話す方も、今後、家族や自分の病気、ケガで仕事との両立に悩む時は必ずやってきます。
その時に、経験者だからこそ「こんな制度が使えるよ!大丈夫だよ!」と伝えることができるでしょう。

「会社を休むと迷惑をかける」「家庭のことを仕事に持ち込むのは良くない」「申し訳ない」など様々な気持ちが起こります。
しかし、介護休業をとると、自分や家族のためになるだけでなく、これから介護をする可能性がある人たちが、いざというときに助けられるようになります。

今もし、「迷惑をかけられない」と感じて介護休業法の利用を迷っている方がおられたら、一時的に同僚たちに迷惑をかけることがあっても、必ず還元できるものがあると考えて、制度の利用を積極的に検討していきましょう!

私たちが、積極的に制度を活用することで、これから困難な状況になる人を支える制度が作られていくんだと自信を持ちましょう。

《執筆者:橋中今日子》
理学療法士・リハビリの専門家/心理カウンセラー

認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟の3人を介護。シングル介護歴は21年になる。家族関係や人間関係に悩んだことから、心理学、コーチング、コミュニケーションスキルを学ぶ。

「介護者メンタルケア協会」を設立し、家族を介護している方、医療・介護の現場で働く方が「心が軽くなる」よう、心身両面からサポートする活動をしている。
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