富山型デイサービスとは、支援が必要な人を誰でも受け入れている小規模施設です。高齢者だけではなく、子どもや赤ちゃんも、障害のある人もない人も一緒に過ごしています。
富山発でありながら、県内だけではなく県外にも広がりを見せている富山型デイサービス。今回はその詳細を紹介します。
富山型デイサービスの成り立ち
1993年に富山県内初の民間デイサービス事業所「このゆびとーまれ」とともに誕生した富山型デイサービス。3人の看護師によってはじめられた福祉サービスです。家庭的な雰囲気にこだわり、ケアを必要とする人たちの在宅での生活を支えるサービスを提供したいという思いから生まれました。
「高齢者のみ」、「未就学児のみ」「障がい者のみ」などの対象を作らず、誰でも受け入れることが目的の事業所ですが、この方針のために国や県からの補助金が受けられませんでした。スタート時は経営も苦しかったそうですが、看護師や介護職経験者に取り組みが広まるにつれて、行政も動き、現在は補助金の対象となっています。
1993年には1つしかなかった富山型デイサービスの施設も、2014年には100を超えました。
富山型デイサービスの特徴とメリット・デメリット
富山型デイサービスは、そのほとんどが民家を改装した小規模の施設です。「もう一つの家」をコンセプトに、家庭的な雰囲気の中で、利用者が思い思いの日常を過ごしています。施設によってはデイサービスだけではなく、ショートステイを受けているところもあります。
メリット
・住み慣れた地域でデイサービスを受けられる ・小規模の施設なので、利用者に目が行き届きやすく、お互いに仲良くなりやすい ・相談したいことのある地域住民がやってくる福祉拠点となる ・空き家、空き地対策としても有効
デメリット
・対象が絞られていないので、障害特性に応じた処置に不安が残る
幼老統合ケアとの違い
海外の介護施設の中には、高齢者が入居している施設などに保育施設が併設されており、お年寄りが子どもとふれあうことのできる「幼老統合ケア」を提供しているところがあります。 >>幼老統合ケアとは 子どもとお年寄りがともに成長
高齢者は子どもの面倒を見ることで生きがいを感じ、認知症症状が改善される例もあるそうです。
富山型デイサービスは支援が必要な人を誰でも受け入れている点や在宅での生活を支えるためのデイサービスである点が、幼老統合ケアとは異なっています。
富山型デイサービスで高齢者にみられる変化
高齢者にとっては、子どもや障がい者と一緒に過ごす中で、自分の役割を見つけて意欲が高まるといったメリットがあります。
富山県のホームページには、徘徊を繰り返していた高齢の方が、毎日来る赤ちゃんを見ているうちに次第に落ち着くようになり、会話も自然にできるようになったという例が紹介されています。
また、「このゆびとーまれ」の代表・惣万佳代子さんは、机の角に子どもが頭をぶつけないようにと、角を手で覆う仕草こそ「本当のリハビリ」だとコメントしています。
(参考・外部) 富山県「富山型デイサービスについて」 うちら富山型デイサービスやちゃ! 生駒市市民福祉委員会「委員会調査報告書」