コンサートで認知症当事者とその介護者の両方をケア。Bシャープ・プログラムとは?

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アメリカのコロラド州フォート・コリンズが実施している、Bシャープ・プログラム。認知症の方の認知機能改善と、介護者の孤独感の解消を目指したプログラムです。

その内容や参加者の変化についてまとめたプレスリリースを、コロラド州立大学が公表しているので紹介します。

Bシャープ・プログラムとは

2015年にスタートしたBシャープ・プログラムは、認知症当事者とその介護者の方に交響楽団のコンサート会場に訪れてもらい、音楽が認知機能や介護者との関係性に与える影響などを調査する取り組みです。

コンサートは年間を通して5回開催され、30人ほどの参加者にはシーズンチケットが贈られました。

また、地域の方々と共に時間を楽しみ、介護者の方が被介護者や同じ境遇の人々との絆を感じられるように、音楽を楽しんだ後にはレセプションが用意されているのも特徴です。

▼調査内容

認知症の方:コンサートの前後に認知機能と気分を評価 介護者の方:事前の調査などに加えて、コンサートの後のインタビューなどを通じて、社会的つながりを評価

プログラム参加後の変化

認知機能に良い変化

プログラムの参加後、注意力や実行力、気分など他の活動を一緒にした場合よりも、被介護者に良い変化が見られたと感じた介護者が多かったそうです。

この結果についてコロラド州立大学のプレスリリースは、「コンサートを聴くことと記憶力の関係を完全に理解するためには、今後も研究を重ねる必要があります」としたうえで、「前段階としては希望の持てる結果となりました」とまとめています。

介護者との関係も良好に

記憶を失うにつれて、他人とかかわりを持つ能力やコミュニケーション能力も失われます。Bシャープ・プログラムの参加を通して、介護者は被介護者との絆を感じるようになったそうです。

コンサートに向かうためにおしゃれをして、幅広くコミュニティの人々とかかわるプログラムが、大切な楽しみとなった参加者も少なくはありません。

介護者の孤立感を薄める

認知症の診断は当人だけではなく、介護者にとっても友人や同僚、ほかの家族などの周囲の関係を変えてしまいます。その結果、介護者が感じてしまうのが“孤立感”です。

コンサートの後に用意されたレセプションで、参加者はほかの介護者と知り合いになることができ、情報や経験を共有したり、孤立感を薄めたり、新しい友人や支援を得られるようになります。

地域でこういった取り組みが行われていると実感できることも、孤立感の解消につながりそうですね。