高齢者の運転を考える:運転卒業式や介護家族のためのマニュアルについて

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最近報道で目にすることが増えてきた、認知症と思われる高齢者の運転ミスによる交通事故の数々。来年3月から改正道路交通法が施行されることもあり、改めて免許証の返納について考えている介護家族の方も多いのではないでしょうか。

今回は介護家族が知っておきたい、高齢者の運転について、そして運転を卒業させる方法についてまとめたいと思います。

沖縄県浦添市で「運転卒業式」

11月29日、沖縄県浦添市では免許証を返納した高齢者たちの「運転卒業式」が行われたそうです。出席者には高齢者本人だけではなく、その家族も出席したと琉球朝日放送は伝えています。 >>(外部)琉球朝日放送「高齢者の交通事故防止へ 安全運転卒業式」(11/30)

自主返納のきっかけとしては、家族から説得された方もいれば、実際に事故を起こしたからという方もいました。

沖縄県では免許証を自主返納した高齢者に対して、バスやタクシーの運賃を割り引くといった特典がありますが、自主返納した高齢者たちは移動の際に家族の手を借りることが多いそうです。

琉球朝日放送では、「運転免許を返納した後の日々の生活をどうサポートしていくか。家族みんなで話し合うことが、高齢者の交通事故を防ぐ第一歩といえそうです」とまとめています。

高齢者にとっては車の運転が生きがいなことも

厚生労働省の研究班が2007年に行った調査によると、75歳以上の4人に1人が、車の運転を「生きがい」「楽しみ」「自立の象徴」と考えていることが明らかになっています。64歳以下では17%でした。 >>(外部)中日新聞「認知症 運転“卒業”促すには」(2010/3/4)

Twitterで話題の「運転卒業式」

高齢者の事故の報道が増えてきた中、Twitterでは実際に行われた運転卒業式についての投稿が話題になりました。

その一部を紹介します。

・認知症を発症していたものの、家族や医師が説得しても運転をやめなかった男性。車のバッテリーに細工をしてエンジンをかからない状態に。妻から「修理が終わるまで使って」と手渡されたタクシーチケットを利用しているうちに、運転より楽だと気付いて免許を返納

・認知症のおじいちゃんが運転を卒業する際に、孫から感謝状と記念品を贈呈。その時に記念写真を撮影して、飾ることに。おじいちゃんが「俺の車どうした?」と聞くたびにその写真を指差して納得してもらっている

・かわいがっている孫に運転卒業証書を書いてもらい、玄関に飾っておく。家を出るたびにその証書を見て、運転を卒業したことを思い出すそう

・運転卒業式を盛大にして周囲に知らせておくと、「運転しているのを見たら止めてください」とアピールできる

また運転卒業式を何年も前から取り入れているという方から、「祖父母ともに気持ちよく運転を卒業してくれた」との声も投稿されていました。

介護家族のための支援マニュアルも

認知症高齢者の運転について、介護家族はどう考え、どう行動するべきかのマニュアルを国立長寿医療センターが制作。PDFにてダウンロードすることができます(印刷物の配布は行っていません)。 >>(外部)認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル

マニュアルでは認知症の種類ごとの特徴や対応方法、自主返納方法などについてわかりやすく解説されています。

ぜひ参考にしてみてください。