トヨタ自動車福祉車両インタビュー ウェルチェア開発者インタビュー[PR]

インタビュー企画第3弾は、トヨタ自動車(株)の中で車いすの商品開発に携わった吉田 徹様にお話をお聞かせ頂きました。

吉田 徹

吉田 徹 トヨタ自動車株式会社 CV Company CV製品企画 ZU 主幹

―何故、自動車メーカーであるトヨタ自動車(株)が車いす(以下、ウェルチェア)の開発をしようと思ったのですか?

吉田(敬称略) 日本は超高齢社会を迎え、高齢者の方が自立した生活を送るためには、移動時の円滑化の促進が必要です。トヨタ自動車として福祉車両の使い易さ、乗り心地の向上を追求して開発してきましたが、車いすの高齢者がより快適に移動していただくためには「新しい車いすの開発」が必要と考えました。

―トヨタ自動車(株)の車いす『ウェルチェア』のコンセプトは何ですか?

吉田 車に車いすのまま乗車される方の“3大苦痛”の改善です。 “3大苦痛”とは、車の走行中の「上体の大きな揺れ」、「お尻の前すべり」と「不自然な目線高さ」です。 車いすの高齢者は体幹の弱った方も多く、車が交差点で止まるたびに、上体が前後に大きく揺られてしまいます。また車いすの座面はほぼ水平のため、お尻が前にずれやすく、常に肘掛を掴み、体を支えなければなりません。車いすの座面が高いため、目線位置は他の乗員より上になり、違和感を感じます。 この“3大苦痛”の改善のため、ウェルチェアは従来の車いすにない、シート全体を回転させながら重心を下げる「チルトダウン」機構を採用しました。背もたれと座面が傾き下がるので、背中と骨盤をしっかりサポートし、上体揺れの低減、お尻の前すべりの防止、また目線の高さも低くなり、他の乗員と同じ風景を楽しむことが出来る様になるのです。

―ウェルチェアを開発する中で、苦労したことはなんですか?

吉田 自動車メーカーが、「なぜ車いすを開発するのか?」・・・、社内合意を取る事が大変でした。 まず手作りでチルトダウンする車いすを作り、実際に乗っていただく事で、車いすの方の苦痛とチルトダウンの効果を体感していただき、開発スタートに漕ぎ着けました。

―自動車メーカーだからこそ「こだわっている」ポイントはありますでしょうか?

吉田 自動車に車いすを乗せた際の固定のし易さと、介護する方がシートベルトを簡単に掛けられる様に、フレーム形状を工夫しました。 従来の車いすでは固定用フックをどこに掛けるか迷ってしまいますが、ウェルチェアはフックを掛けるための専用プレートを設定しました。またシートベルトはフレームやタイヤリムをくぐらせる必要がなく、素早く確実に装着する事が出来ます。

―車いすの方やこれから車いすの利用を検討されるお客様に一言お願い致します。

吉田 車いすをご利用の高齢者の方が、外出機会が増える事で、充実した生活を送っていただきたいと思い開発しました。特に在宅介護の場合、家に引きこもりがちになり易く、寝たきりになるケースもあります。買い物や外出を楽しむ事で、社会との絆が深まる事を願っています。 またウェルチェアは福祉車両専用の車いすとしてだけではなく、日常生活でも是非ご使用していただきたいと思います。ちょっと疲れたときは「チルトダウン」させ、リラックスしていただく事も可能です。 介護保険も適用されますので、一部の福祉用具貸与事業所にてレンタルしていただくことも可能です。 ハートフルプラザでは試乗・体験していただくことができますので、是非お問い合わせください。

ウェルチェアに関する動画も公開中です。是非ご覧下さい。

▼ウェルチェアとは https://www.youtube.com/watch?v=I3WpllzbY7M

▼ウェルチェア試乗レポート https://www.youtube.com/watch?v=rcAXau41h6c