介護保険料は40 歳無職でも払わないといけませんか?

 40歳になると支払う義務が生じる介護保険料。ですが、無職の方にとってこの出費は痛手となるものではないでしょうか。40歳を迎えるにあたり、無職でも介護保険料は払う必要があるのか、もし払えないとどうなってしまうのかなど、介護保険料支払いについて気になる点をまとめました。介護保険料の支払いが難しいと考えている方は特に必見です。

介護保険

介護保険料は40 歳無職でも払わないといけません

結論から言わせていただくと、介護保険料の支払いは国民の義務にもなるため支払わないという選択肢はありません。

そのため、職の有無に関係なく介護保険料の支払いはしなくてはなりません。介護保険料は医療保険料と一緒に徴収されるため、健康保険証を持っていれば介護保険料は徴収されます。

日本は国民皆保険ですので、無職であっても健康保険証を持っていないという方は少なく、したがって介護保険料の支払いも避けては通れないといえます。

また、ここで注意したいのがいつから無職になったかというところです。介護保険料は前年度の収入を参考に計算されます。例えば1年以上無職の方であれば、前年度の収入がゼロの場合、介護保険料は安く済む傾向にあります。

ですが、前年度まで収入があり、今年度より無職となった場合には前年度の収入から徴収する介護保険料が算出されるため、保険料は高くなる傾向があります。

40歳無職で介護保険料を支払わなくてもよい抜け道がある?

前述したように介護保険料は、無職であろうと有職であろうと支払わなければなりません。しかし、地域にもよりますが介護保険料を支払わなくてもよい場合があります。

それは、生活保護を受給している場合です。生活保護を受給している場合でももちろん介護保険を支払う義務はありますが、自己負担部分にあたる介護費の1割分が生活保護の介護扶助からの給付となるため、実質自分自身の懐から支払うお金は0円ということになるのです。

介護扶助は被保険者の申請し認められれば原則開始されます。また、介護扶助は現物給付の方向になりますので、介護保険料のためにお金が給付されるということはありません。 また、アルバイトなどで多少の収入があるため生活保護を受けていないという方でも、その所得が少なく、保険料を納めると生活保護基準に該当してしまう場合は、保険料の段階の引き下げをして保険料を減額することもできます。

こんな場合も減免対象

例えば、職の有無にかかわらず風水害・火災等の災害により、住宅・家財等に著しい損害を受け、保険料を納められなくなった場合にも減免の対象になります。例えば、2016年の熊本地震や2019年の台風第19号でも被災した被保険者は保険料の減免措置が取られています。

一人暮らしでなければ家族が負担

例えば、実家で同居している父親が会社勤めをしており、本人が40歳を迎えて父親の扶養に入っている場合には父親の給料から本人の介護保険料が天引きされます。

無職や障がい者なども介護保険料の徴収対象

介護保険料は無職の方だけでなく、障がい者の方であっても支払わなければなりません。障がい者手帳の有無などにかかわらず支払う義務は同じです。そもそも、障がい者である場合は介護保険の各種サービスや障がい者を対象とした福祉サービス(障害者総合支援法)を原則、優先されます。介護保険サービスを優先的に利用できるからこそ、介護保険料を支払うことが義務となるのです。ちなみに、自分は介護保険のサービスを利用する気はないということであっても支払いの義務においては変わりません。

介護保険料を滞納すると

介護保険料を支払うことができず、介護保険料を滞納するとどういったことが起こるのでしょうか。

介護保険料を滞納すると、行政から郵便、電話、訪問などで催促が来ます。 保険料には、条例で定められた各納期限があるため、納期までに納付されていないことが確認されると督促状が送付されます。

督促状が送付されても介護保険料が納付されない場合、延滞金が発生します。延滞金とは督促状の指定期限の翌日から納付日までの日数に、条例で定められた率をかけて算出した金額になり、これは、市の条例によっても定められています。 延滞金が発生しても介護保険料を納付しなかった場合、国税徴収法141条によって財産の調査が行われます。

調査をした結果、預貯金・給与・生命保険等の保険料に充当することが可能な財産が見つかった場合は、法律に基づく滞納処分としてこれらを警告なく差押えられ、この財産が介護保険料の支払いに充てられることになります。

また、介護保険料を滞納したままで介護保険サービスを利用しようとすると、介護保険サービスが制限されます。制限の内容は滞納した期間によって異なります。

1年以上滞納した場合、通常は1割負担となる介護保険のサービス料をいったん全額自己負担し、申請後に介護保険給付が支払われます。

1年6ヶ月以上滞納した場合は利用者が介護保険のサービス料を全額自己負担します。その後、保険料をすべて払いきるまでは一部または全額が指し止めになったり未納の保険料と相殺されたりします。

2年以上滞納している場合には介護保険を利用する際、未納期間に応じて自己負担が3割(一定以上の所得のある方が滞納した場合、自己負担が4割)に引き上げられたり、高額介護サービス費の支給が受けられなくなります。

介護保険料を支払いできる期間は2年となります。後から介護保険を受けるため遡って支払いをしようとしても2年を過ぎると支払いできなくなります。介護保険料を滞納することは、自分が介護サービスを利用する際にも多大な影響を及ぼすことを頭に入れておきましょう。

介護保険料の納め方・徴収方法

保険料は6月から翌年3月まで、毎月(年10回)に分けて納め、その支払額は年間保険料額÷10回となります。保険料は40歳となった月から支払いが開始となります。

前述したように介護保険料は医療保険料と合わせて納付することが原則です。徴取の方法は口座振替か納付書での納付になりますが多くの自治体が口座振替での納付を基本としています。

保険料の算定基礎となる所得金額は、毎年1月1日現在の住所地で把握されますので、途中で転居をした場合でも転居前の所在地での支払い状況を確認し、保険料が再度計算されて納付額が決定、通知され、納付をする必要があります。

介護保険料を納付できない場合

ここまで介護保険料の納付についての一般的な情報を書いてきました。ここまで読まれた方の中には「いろいろ書いてはあるが、無職だから結局のところ納付ができない」と思う方もいるかもしれません。介護保険料を納付できないという場合にはどうすればよいでしょうか。 介護保険料が納付できない場合、以下の2つの方法をとることをおすすめします。

減免措置を受ける

減免措置とは通常払うべき保険料より額を減らして納付することができる措置のことを言います。

保険料額を算定する際、法令により定められた所得基準を下回った場合には、医療分、支援分及び介護分のそれぞれにつき、被保険者均等割額の7割、5割もしくは2割を減額します。特に失職又は事業の失敗等により所得が著しく減少した場合においては所得金額の減少率により所得割額が減額されます。

また、前年度まで働いていて現在無職である場合には前述したように介護保険料が高くつく傾向にあります。もしも、会社を辞めた理由が会社の倒産や解雇など自発的な理由でない場合には雇用保険の「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」に該当するため国民健康保険料が軽減され、併せて介護保険料も軽減されます。

介護保険料の支払いが難しいという場合にはまず、行政機関(介護保険を担当している窓口)に相談してこの減免措置を視野に入れるとよいでしょう。

生活保護を受ける

生活保護を受けると、前述したように介護扶助が受けられ、介護保険料の支払いはこの介護扶助によって賄われます。生活保護は、やや後ろ向きのイメージもあることから申請することに抵抗を持つ方も多く見受けられますが、生活保護を受けることで介護保険料の支払いを自らする必要がなくなり、なおかつ、介護が必要になった時も制限を受けることなく介護を受けることができます。減免措置を受けても支払いが難しいという方は生活保護の申請を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

介護保険料は40歳になった時点で原則として支払う義務が発生します。ですが、無職である場合支払えと言われても支払うことができないこともあります。そういった場合は行政に相談すれば、対策をしてくれます。未納が続くということが1番本人にとっても不利に働きますので、介護保険料が支払えないとわかった段階で早めに行政機関(介護保険を担当している窓口)へ相談して対処するようにしましょう。 介護保険料を支払う対象となった時点でも無職である場合、その支払いについては本人だけでなく家族も気になるところでしょう。今回は独居の場合だけでなく家族と同居している場合についてもご紹介しています。この記事を読んで参考になった方はぜひ該当する方へシェアをしていただき拡散していただければ嬉しいです。

※この記事は2019年11月10月時点の情報を元に作成しています。

介護保険を滞納したら? 2年以上の滞納にはご注意を! | 介護の無料相談&ハウツー「安心介護」

監修者:陽田 裕也
陽田 裕也 (ひだ ゆうや)

2001年、介護福祉士養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得し特別養護老人ホームにて介護職員として勤務する。
その後、介護支援専門員や社会福祉士も取得し、介護以外でも高齢者支援に携わる。現在はソーシャルワーカーとして、 特別養護老人ホームで勤務しており、高齢者虐待や身体拘束、成年後見制度などの権利擁護について力を入れて取り組んでいる。