地域の介護支援の現状を知ってほしい!孫娘が投稿した老夫婦の写真が行政を動かした

満足のいく介護支援を受けられない理由には、様々なものがあります。経済的な理由や人手の問題、介護制度そのものに変わらなくてはいけない点があることもあるでしょう。

カナダでは、そんな介護支援の不足や不備が生んだ悲劇を訴えたフェイスブックの投稿が注目を集め、行政を動かす事態になりました。

8ヵ月間離れ離れの老夫婦

画像出典元:ASHLEY KAILA B/Facebook

向かい合って涙を流しているのは、62年もの時をともに過ごしてきた夫婦です。

この写真を投稿した孫娘のアシュリーさんによると、祖母はすでに高齢者介護施設に入居しており、祖父は同じ施設に入居するのを中間施設で待っていました。

離れ離れになって8ヵ月。こんなに長く待たされるとは本人も家族も思ってはいなかったそうです。孫娘のアシュリーさんは、自身のフェイスブックにこの写真を投稿しました。

「金銭的にも、身体的にも、精神的にもボロボロになった」と、コメントしています。

制度の現状を知ってもらいたい

アシュリーさんは当初の想定よりも待たされている理由を「未処理と遅れのせい」と説明しています。

もともとアシュリーさんの住んでいるブリティッシュコロンビア州では、経済的に制限のある人が入れる施設が不足していました。さらに8ヵ月もの間、状況を行政に問い合わせても何の返答も得られなかったそうです。

写真を投稿して現状を知ってもらうことで、地域が抱える問題を訴える目的があったといいます。

8ヵ月間、2日ごとにこうして家族に連れられて対面していたふたりですが、この写真が撮られた日は、特につらい出来事が起こった日でもありました。

祖父のガンが発覚

写真が撮られた8月23日、祖父にリンパ腫の診断が下されました。

また、離れている期間に祖父の認知症は悪化し続けており、アシュリーさんは「残された時間は限られている」と感じたそうです。それはきっと当人たちも同じ気持ちだったことでしょう。

そしてフェイスブックに「彼らは最後の時間を一緒に過ごすべきなの」と、投稿したのです。

するとその投稿は、1万件以上もシェアされ、多くのメディアで「悲しい写真」として取り上げられました。

とうとう一緒に暮らせるようになった夫婦

投稿から数日後、やっと行政から連絡を受けたアシュリーさん。行政はこの投稿をきっかけに、被介護者やその家族との関わり方を見直すことにしたことを説明してくれたそうです。

そして9月22日、ふたりはとうとう同じ施設に入居できるようになりました。

画像出典元:ASHLEY KAILA B/Facebook

「ふたたび同じ屋根の下で、ふたりは暮らせることになりました」と報告をしたアシュリーさん。「ブリティッシュコロンビア州にはほかにも離れ離れになっている夫婦がたくさんいます。私たち家族はこれからも、そんな人々のために立ち上がろうと思っています」とのメッセージを送っています。

(アイキャッチ画像出典元: ASHLEY KAILA B/Facebook)