他人や他の家族にはしっかりとした対応をするのにもかかわらず、主介護者にはひどい言葉を投げかけたり、時には「物を盗んだ」などの疑いをかけたりする“認知症の初期症状”があります。
これは一番自分の面倒を見てくれている人に対して、甘えるように出る症状です。
アメリカの人気番組「What would you do?(あなたならどうする)」で、介護者である娘が、母親からひどい言葉を投げかけられているのに気づいたら、人々はどんな反応をするだろうかという実験が行われました。
その中から印象的なやり取りが、同番組の公式YouTubeチャンネルに投稿されていたのでご紹介します。
▼娘をなじる母親
画像出典元:What would you do?/YouTube
飲み物をこぼして「あんたのせいよ」と怒り、「忘れっぽいバカね」、「きょうだいは医者や弁護士になったのに……」など、娘に対してひどい言葉を投げかける母親。
▼声を上げた一人の男性
画像出典元:What would you do?/YouTube
母親の発言に「あなたは失礼ですよ」、「彼女はあなたの面倒を見ているじゃないですか」と声を上げた男性がいました。
実はこの男性は前年に母親を亡くしたばかり。「うちの母親も難しい人だった」と説明しています。
経験者の男性が残したアドバイス
この企画では、母親が認知症であるとは断言されていません。しかしこの男性が娘にしたアドバイスは、認知症の症状による暴言に悩まされている人にふさわしい内容でした。
男性はこう語ったのです。「時にはその場を立ち去った方がいい」
これは暴力や暴言への対応方法として、とても適切なものです。 >>暴力・暴言の原因と対応
また、これが番組の企画だとわかった後で、「(このような状況になったら)専門家の手を借りた方がいい」とコメントしています。司会者の男性が「ひとりでは対処できませんか?」と聞くと、「できません。助けが必要です。残念ですがね」と語りました。
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認知症の老人を利用する介護士がいたらどうする?
また、同番組では「介護士が認知症である被介護者のお金を、自分のネイル代に使おうとしていたらどうするか」という企画も行っています。
それに気づいた周囲の人々は、介護士に「警察を呼ぶよ」、「あなたの家族には年寄りも病人もいないの?」などの非難の声を上げたり、認知症の老人に気遣いの声をかけたりしていました。
声を上げた理由は「もしあれが自分の父親だったらって思ったら」、「祖母がアルツハイマーだから思い出して」と説明しています。
アメリカの番組ですし、日本ではあまり考えられない状況ですが、認知症を身近に感じている人や、気にかけてくれる人が多いことがうかがえ、勇気がもらえる内容でした。
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