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負担増、ケアプランに自己負担導入など―介護保険の「利用者負担のあり方」の検討が続く

公開日: : 最終更新日:2018/12/12 介護のお金, 介護の費用, 介護保険

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8月19日、社会保障審議会の介護保険部会の会合が開かれました。話し合われた内容は、介護保険の「利用者負担の現状とあり方」について。

介護保険制度を持続させるために、利用者負担の割合や高額介護サービス費の限度額の引き上げ、ケアプランへの自己負担導入、補足給付の見直しなどが検討されています。

▼社会保障審議会とは
社会保障審議会は厚生労働省に設置されている審議会です。現在は2018年度の介護保険制度改正に向けて、制度見直しを議論しています。

2割負担の施行状況

2014年の介護保険改正により、昨年8月から一定所得以上(年金収入のみで280万円など)の人の介護保険の利用者負担が、1割から2割へ引き上げられました。

2割に引き上げられたのは、全体の約20%になるだろうといわれていましたが、今年2月の時点で実際に2割負担となったのは、在宅サービス利用者のうちの9.7%、特別養護老人ホーム入所者のうちの4.1%、介護老人保健施設入所者のうちの6.2%とのことです。

また、高額介護サービス費などがあるため、利用者の実質的な負担率は全体で7.7%。2割の人に限定した試算でも12.6%と推計されています。

「年齢に応じた負担率」「一部3割負担」の意見も

医療保険制度では、負担割合は以下のように設定されています。

70歳未満:3割
70歳以上の現役並み所得者:3割
70~74歳:段階的に1割から2割に引き上げ
75歳以上:1割

介護保険部会でも所得の多い人により負担を求めることや、医療と介護で整合性を持たせることを支持する意見も多く出ています。

※こちらの記事は2016年8月時点の情報です。医療保険料の軽減率は2017年4月より変更されています。詳細は厚生労働省のホームページをご確認ください

高額介護サービス費の上限額引き上げも検討

また、高額介護サービス費の自己負担上限は、昨年8月から以下のようになっています。

(画像出展元:厚生労働省)

(画像出展元:厚生労働省)

介護保険で自己負担額の上限が4万4400円となっているのは、現役並み所得者がいる世帯のみとなっていますが、医療保険では市区町村民税を課税されている一般世帯も同じ金額です。

介護保険の高額介護サービス費の上限額を医療保険と合わせるべきかどうかについては、検討がされていますが委員の意見も分かれているようです。

※こちらの記事は2016年8月時点の情報です。世帯内のどなたかが市区町村民税を課税されている世帯の上限額は2017年8月より引き上げられています。
>>高額介護サービス費制度とは

ケアプランに自己負担導入検討を求める声

以前から検討されていた、ケアプランの自己負担導入案。2018年の改正に向けて再び審議を求める声が、上智大学や慶応大学の教授、そして日本経団連の代表者などから上がりました。

要介護の認定を受けた後は、ケアマネジャーの作成したケアプランに従って介護保険サービスを利用します。

ケアプランは居宅介護支援(ケアマネジメント)の入り口と言われており、費用はすべて介護保険で賄われ、自己負担は一切かかりません。費用は一人当たり平均で、1万3800円/月かかっているといわれています。

介護保険の入り口に自己負担を導入することで、利用を避ける人が出て重度化する可能性があることや、それによって介護離職が増えること、「負担しているのだから言うとおりにケアプランを作ってほしい」という利用者や家族の声が増えることが懸念されています。

>>ケアプランに自己負担導入案-日本介護支援専門員協会「断固反対」

ケアプランの自己負担導入については意見が出ているものの、介護保険部会で話し合うかどうかについては、まだ検討段階だということです。

※こちらの記事は2016年8月時点の情報です。2018年4月の介護保険改定ではケアプランの自己負担導入は見送られました

補足給付厳格化の影響

介護保険制度が開始された当初、特養、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、ショートステイに限り、居住費と食費が給付に含まれていました。

2005年の改正で補足給付は原則対象外に。ただし、住民税非課税世帯である入所者については、世帯の課税状況や本人の年金収入と所得に応じて、居住費・食費の補助を行うことになりました。

さらに2014年の法改正では、以下のように見直されています。

・単身1000万円超、夫婦世帯2000万円超の預貯金がある場合は対象外
・世帯分離していても、配偶者が課税されている場合は、補足給付の対象外
・補足給付の支給段階の判定に当たり、非課税年金(遺族年金・障害年金)も含める

昨年8月に見直しは実施され、補足給付の認定件数は減少しました。
負担軽減の対象となる所得段階別にみると
第1段階(生活保護受給者など):-3%
第2段階(住民税非課税世帯かつ課税年金収入額+合計所得金額が80万円以下):-19%
第3段階(第2段階以外の住民税非課税世帯):-21%
と、所得段階が高くなるごとに減少しており、公平性を保つ狙いはある程度達成できているといえそうです。

ただし、今年の4月に「認知症の人と家族の会」が厚生労働省に提出した要望書では、利用料の2割への引き上げや補足給付の厳格化の影響で、毎月の介護費用が 5~10万円も増加し、施設を退所せざるを得なくなった人がいることなどが訴えられています。

>>認知症の人と家族の会、昨年の介護保険制度改定の一部撤回を求めて要望書を提出

2018年の改正に向けて、意見は年内に取りまとめられます。

(参考・外部サイト)
厚生労働省「第61回社会保障審議会介護保険部会資料
東京新聞「介護2割負担、対象拡大も 厚労省検討着手、委員から懸念」(8/20)
JOINT「介護の利用料、さらなる引き上げに賛否両論 年齢で差をつける案も 介護保険部会」(8/22)
メディ・ウォッチ「所得の高い高齢者、介護保険の利用者負担を2割よりも高く設定すべきか―介護保険部会(1)」(8/19)