【アンケート結果】1割以上が経験している“介護離職”-その経緯と今後について

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身近な人の介護をきっかけに仕事を辞めざるをえなくなる「介護離職」。年間約10万人が介護離職しているとも言われています。

収入が減ってしまうのはもちろん、社会とのつながりが減ってしまうため、経済面や精神面で苦痛を感じている方が多くいます。また、経験や知識が豊富な従業員が離職してしまうのは、企業にとっても大きな損失です。

安心介護内でも多く目にする、介護離職への後悔の声。今回はサイトを利用しているユーザーを対象に『介護と仕事の両立』についてのアンケートを行い、142名から回答を得ました。

介護離職の経験者のそれまでの経緯や、今後の仕事への思いについて伺っています。

介護離職経験者は1割以上

まず、「あなたは介護と仕事を両立させていますか?」と聞いたところ、約半数にあたる69人が「両立させている」と回答しました。

「介護と仕事を両立させていたが介護離職をした」は、15人。全体の1割強となっています。

アンケート「介護離職」:画像1

また、「その他」と回答した人の中にも「介護離職して6年経って週2日のパート」、「介護スタート時に介護離職」など、介護離職を過去に経験した人が6人いたため、介護離職経験者は全体の15%にのぼっています。

介護離職経験者の性別を見てみると、14人が女性で男性は1人のみという結果でした。回答者の全員が親(または義親)を介護していると回答しています。

介護離職時の状況について

介護と仕事を両立させていた期間について質問すると、結果はこのようになりました。

半年未満:1人(7%)
半年以上1年未満:3人(20%)
1年以上3年未満 :6人(39%)
3年以上5年未満 :1人(7%)
5年以上10年未満:4人(27%)

半年から3年未満で介護離職をしている人が、全体の6割近くに上りました。また、10年以上と回答した人は誰もいませんでした。

介護離職時の被介護者の介護度は、以下の通りです。

アンケート「介護離職」:画像2

要介護2」が5人で最も多く、「要介護5」の3人が続いています。「要介護認定を受ける前」と回答した2人については、介護と仕事を両立させていた時期は「半年以上1年未満」、「1年以上3年未満」となっています。

離職のきっかけは「時間的・体力的限界」

続いて離職のきっかけについて聞くと、時間のみに限界を感じた人はいませんでした。約半数が「時間的にも体力的にも限界を感じた」と回答しています。

アンケート「介護離職」:画像3

また、「その他」と回答した人からは「要介護者との時間を多く取りたかった」、「母の朝、昼の食事の用意をして、仕事に行っていたが、仕事から夕方4時頃帰ってきて、母が朝も昼も食べていなかった」という、被介護者への気遣いが理由として挙げられていました。

半数以上が離職前に勤務先に「相談せず」

「離職の前に勤務先に相談をしましたか?」という質問には、約半数が「相談していない」と回答しています。

アンケート「介護離職」:画像4

「勤務時間短縮の相談をした」と「勤務日数を減らす相談をした」の両方を選んだ人は3人(20%)おり、そのうちのひとりはあわせて介護休業の相談もしていました。

また、「勤務地変更」や「介護休業以外の長期休業」については、相談した人はいませんでした。

会社側の理解について

「介護に関する会社側の理解は十分だったと思いますか?」という質問には、「十分だった」が7人、「不十分だった」が8人と意見が割れる結果となりました。

それぞれに理由を書いてもらったところ、仕事と介護の両立には職場の理解が欠かせないことを、改めて感じる結果となりました。

「十分だった」理由

・退職願いを話したら、職場は勤務形態を提示してくれましたが、私が働く気力がありませんでした。
・日数を減らす提案をしてくれた。
・状況をわかった上で応対もしてもらったが、代わりがいない職場だったため、離職することにした
・医療機関に勤めていたため、状況の変化に良く対応してもらえた
・上司が社会保険労務士だったから
・十分でも不十分でもない。ある程度の配慮はあったと思う
・不十分とする理由がない

「不十分だった」理由

・勤務日数減、勤務時間短縮もしていただきましたが、職場の体制や上司が変わり、勤務日数を週5日にするよう言われました
・親の介護で休みたい、というと、子供じゃないんだから付き添いなんて要らないと言われた。まだ60歳なのに介護?休みたい言い訳じゃないのか?という、疑いの目を向けられる。
・離職を決断した時、「年休とっていいと言いましたよね。」と上司に言われました。確かに声掛けはありましたが、年休を使うと同僚の仕事が増え、介護している人が周りにいなかったので、冷たい視線や陰口を感じました。また、休んだ分の仕事は休日出勤してこなす毎日でへとへとなのに、被介護者からは文句を言われ続け、心身ともに疲れ果ててしまったので
・一人勤務で交代制だったから、無理だと思い特別相談はしなかったです。
・パワハラがひどかった
・若い人が中心の職業なので介護のための長期休業などの観点がない
・当時は介護休業の制度がなかった
・介護休業は取得させていただきました
・気持ち的には理解があったかもしれない

介護離職を経験しても、仕事を「したい」

最後に今後の仕事について聞くと、「仕事をしたいとは思っていない」と答えた人はいませんでした。

約7割が「介護が終われば仕事を探したいと思っている」(7人)、「すぐに仕事をしたいと思っている/仕事を探している」(3人)と回答しています。

アンケート「介護離職」:画像5

「その他」の回答を見てみると、在宅ワークを含めてすでに仕事を始めている人が3人いました。残りの2人は「今は仕事のことは考えていない」、「年齢からもう不可能かと思う」と答えています。

介護離職をした人でも、大部分が将来的もしくはすぐに仕事をしたいと考えていることがわかりました。改めて介護と仕事を両立できる仕組みができることを、望まずにはいられません。