自宅での看取りをかなえる“在宅医療”地域差が大きい実情が明らかに

pixta_17132148_S

国が推進しているものに“在宅医療”があります。通院が困難な方の自宅に、医師や看護師などが訪問し、医療サービスを提供するものです。

現状では、症状の軽い患者本人が「自宅で過ごしたい」との希望があるものの、ひとり暮らしなどの理由で在宅での治療体制が整わず、入院を選ぶケースもあるといいます。

また、介護家族にとっては自宅での看取りを考えたときに、在宅医療は欠かせない存在です。

患者の「自宅で過ごしたい」や、家族の「自宅で過ごさせたい」という願いをサポートする在宅医療。同時に在宅医療は入院医療よりも費用が抑えられるため、国は、医療費削減のために在宅医療を推進しています。

国にとっても希望する個人にとっても魅力的な在宅医療ですが、思うように推進されていない実情があるようです。

在宅医療会議が開催された

7月6日には「第1回在宅医療会議」が開かれ、看護師、医師、介護、薬剤師などの医療関係者団体、関係事業団体、研究機関、行政などの代表者により、在宅医療が選ばれる環境づくりや啓発方法について議論されました。

会議資料によると、在宅医療が患者のQOL(生活の質)の向上につながるという効果を具体的に示せていないことや、医療者側に固定観念や不信感があることが、在宅医療が推進されていない理由としてあるようです。

自宅での看取りに地域差

この会議にあわせて公表された資料「在宅医療にかかる地域別データ集」では、自治体によって自宅での看取りにばらつきがある現状が明らかになりました。

2014年の人口動態統計のデータを基に、全国1741自治体の自宅での看取りの割合を集計した結果は以下の通りです。

亡くなる場所の全国平均

自宅12.8% 病院75.2% その他(老人ホームなど)

人口20万人以上の都市

第1位:神奈川県横須賀市 22.9% 第2位:東京都葛飾区 21.7% 第3位:千葉県市川市 21.5% 最下位:鹿児島県鹿児島市 8.0%

最下位と第1位の差は約3倍

人口5万人以上20万人未満の中規模自治体

第1位:兵庫県豊岡市 25.6% 第2位:東京都中央区 21.5% 第3位:千葉県浦安市 20.5% 最下位:愛知県蒲郡市 5.5%

最下位と第1位の差は約5倍

自治体によってこれほどの差があるのは驚きですね。

会議資料によると、「在宅医療は、各地域で先駆的な医師などが牽引してきたため、サービス提供者によって様々な考え方や手法が存在している」という現状もあるようです。在宅医療の地域差が、自宅での看取りの差にも関係しているのかもしれません。

どこに住んでいても自宅での看取りが安心してできるようになり、なおかつ介護家族が介護離職をしなくても済むような在宅医療の環境づくりが実現されるといいですね。

(参考) >>(外部サイト)中日新聞「在宅死割合、地域で大差 14年集計、訪問診療態勢が影響か」(7/7)(掲載終了)

>>(外部サイト)日テレNews24「在宅医療推進のカギは?その現状と課題」(7/15)

>>(外部サイト)ビジネスジャーナル「「家で死ねる」自治体ランキング!「死に場所」を決定付ける意外な要因はこれだった!」(7/19)