【イライラ怒鳴ってしまうときの対策 4(全4回)】イライラ・感情爆発したときの感情のコントロール方法

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第1回では、イライラ・感情爆発することは悪いことではなく、チャンスであること。第2回ではイライラ・感情爆発をする原因について、第3回ではイライラ・感情爆発をしないための、日々のセルフチェックについてお伝えしました。

最終回の今回は、イライラ・感情爆発したときの感情のコントロール方法についてお伝えします。

イライラ・感情爆発のとき、体は戦闘状態!

疲れやストレスがたまり、闘争・逃走反応によって恐怖と怒りの感情に支配されているとき、わたしたちの体は気持ちの高まりに対応するため、血圧や心拍数が上昇し、呼吸のリズムも大きく乱れ、体は“戦闘状態”に陥っています。

不安、恐怖を感じたことで、脳が“緊急状態”と判断し、交換神経が優位に働き、血管を収縮、心拍数を増加させるなどの変化が起きています。

体が“戦闘状態”に陥っている状態から、平常・平穏な状態に戻すために一番簡単な方法は“呼吸を整えること”です。

呼吸を整えるとどうして、心が落ち着くの?

闘争・逃走反応が出ているときは、恐怖や不安な状況から自分を守るための対応として、血圧や心拍数が増加し、呼吸も速くなっています。このとき、血圧や心拍数を調整している自律神経は、交換神経が優位に働いています。

闘争・逃走反応に支配されている状態から抜け出すためには、交換神経が優位に働いている状態から、副交換神経の働きを促し、自立神経のバランス調整が必要となります。

しかし、心臓や内臓を調整する自律神経は、不随意による自動調整、つまり自分の意思では調整できません。

しかし、呼吸を通じて、交換神経と副交換神経の適度なバランスの調整を促すことができます。

呼吸を意識することで、速くなっている呼吸リズムを自分の呼吸リズムへと戻すことができます。

さらに、呼吸をすることで動く横隔膜には、血圧や心拍数を落ち着かせる副交換神経がたくさん分布しているため、一定のリズムの呼吸を繰り返すことで、横隔膜に分布している副交換神経が刺激され、交換神経が優位な状態から抜け出し、適切な自律神経のバランス調整効果が得られます。

知っておくと、心が楽になる2種類の“呼吸法”

知っておくと心が楽になる2種類の呼吸方法を紹介します。

鼻呼吸

5秒〜7秒かけて鼻から息を吐き、2秒息を止め、5秒から7秒かけて鼻から息を吸い、2秒息を止めてから鼻から息吐く。これを5〜10回繰り返します。

秒数を意識することよりも、鼻腔を通る空気の流れを意識することで、より早く気持ちを落ちつかせる効果が得られます。

鼻—口呼吸

10秒かけて口から息を吐き、2秒息を止め、5秒かけて鼻から息を吸い、2秒息を止めて、10秒口から息を吐く。これを5〜10回繰り返します。息を吸うことよりも、息を吐くことに意識することで、一定のリズムを作り出すことができます。

日常生活の中で、呼吸法を取り入れる

日常生活のこんなときに、呼吸法を取り入れてみてください。

イライラしたとき、感情が爆発しそうなとき:鼻呼吸を3〜5回

秒数を気にせずに、ただ、鼻腔を通る空気の流れを意識するだけでも、心が落ち着いていきます。

眠る前:鼻呼吸を5〜10回

質の良い睡眠時間は、ストレス解消のために大切な時間です。寝つきが悪いときは、交感神経が優位に働き、浅い呼吸になっている可能性があります。入眠前に呼吸を整えることで、副交感神経が優位となり、リラックス効果が得られることで、スムーズな入眠、質の良い睡眠につながります。

朝起きたとき:鼻—口呼吸を3〜5回

目覚めたときに、すぐに動き出すのではなく、呼吸通じて自分の体への意識を向けてみましょう。自律神経の調整バランスが働きかけることで、すっきりとした目覚めを促します。

呼吸は誰にでもでき、そして時間をかけずにできる、メンタルケアの方法のひとつです。

ぜひ、日常の中で取り入れてみてくださいね!

《執筆者:橋中今日子》 理学療法士・リハビリの専門家/心理カウンセラー

認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟の3人を介護。シングル介護歴は21年になる。

家族関係や人間関係に悩んだことから、心理学、コーチング、コミュニケーションスキルを学ぶ。

「介護者メンタルケア協会」を設立し、家族を介護している方、医療・介護の現場で働く方が「心が軽くなる」よう、心身両面からサポートする活動をしている。

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【イライラ怒鳴ってしまうときの対策(全4回)】

>>第1回:イライラ怒鳴ってしまうときこそ、チャンス!?

>>第2回:イライラ、感情が爆発する原因

>>第3回: 自分に必要なケアがわかる5つの質問