相談件数が増えてる“成年後見人”認知症との深い関係

相談件数が増えてる“成年後見人”認知症との深い関係

認知症で判断能力が不十分な方は、契約などが出来ない

認知症の症状があることで金銭管理などの正常な判断能力が不十分な高齢者は、単独で有効な法律行為(契約等)がとても困難です。 ですが、昨今、そのような認知症の独居老人またはそれに近しい高齢者世帯等を狙った詐欺事件が多発しているというのが実情です。

認知症の方が契約してしまいトラブルになったケース

これまでは、数十万円単位の高額な寝具販売等の悪徳訪問販売がその代表格ではあったのですが、昨今はその規模や被害額が増し、大きな社会問題になっています。

リフォームを繰り返し総額5,000万円を契約

とある高齢姉妹が、僅か約3年の内に総計で5,000万円以上のリフォームを繰り返し、結局、その費用が支払えずにリフォームを行った自宅が競売にかけられてしまった。尚、本人等は契約の内容を全く把握できていないばかりか、自宅が競売にかけられたことすら理解できていなかった。

自宅の架空工事で1,500万円を契約

高齢者の女性が薦められるままに契約を締結し、自宅の架空工事による詐欺に遭い、約1,500万円をだまし取られていた。

住宅リフォームと寝具販売で1,300万円

認知症の母親と精神障害のある娘の親子が5年間に約 1,300万円の住宅リフォーム、寝具販売の契約を結ばされていた。

無駄なリフォームに1,000万円

70歳の独り暮らし女性が1,000万円を超える高額な契約を結ばされ、天井裏や床下に換気扇7台と攪拌機76台を取り付けられていたことがわかった。

成年後見人制度がトラブルを未然に防ぐ

こうした、認知症高齢者を狙った悪質な詐欺商法などの事態を未然に防ぐ有用な方法の一つが後見制度であり、その業務を行うのが成年後見人なのです。

財産の全てを管理する

成年後見人は、被後見人(認知症等により後見制度を受ける側の者)の財産管理、保存、処分。金融機関との取引。遺産相続などの協議や手続きから、年金のなどの定期的な収入。ローンの返済から、税金、家賃の支払いまで「財産」にかかわるすべてを管理します。そのため、元よりこうした、認知症高齢者を狙った詐欺商法などの事態を未然に防ぐことが可能なのです。

契約を代わりに取り消す事ができる

また、仮に後見人の知らないところで被後見人がそうした詐欺契約を行ってしまったところで、成年後見人はその契約を代わりに取消すことができるのです。 仮に契約自体が無効であっても、実際に代金の支払いを行ってしまうと、その回収が困難になってしまうことはありますが、財産自体を後見人が管理しているのでその心配も極端に少ないと言えます。

日用品の購入は取消権の対象外

尚、日用品の購入など日常生活に関する行為は、被後見人が単独で有効に行うことができ、基本的に後見人が行う取消権の対象にはなりません。

以上のように、後見制度には予防的な意味合いでの活用方法もあります。 まだまだ自宅不動産の売却や、相続手続、施設入居手続等、必要に迫られた際にやむなく利用されている制度という側面がありますが、何もそれだけではないのです。

被介護者の抱える問題を全て解決できるわけではないが、重要な制度

時代は超高齢化社会へと突入しております。

高齢者人口と若年層とのアンバンラス、専門職としての介護者の不足等、認知症患者の世話をする人材は慢性的に不足しております。 介護施設一つをとっても、まだまだその数は不足しており、また年金額の減少等により介護施設を使用したくてもできない事例も多々あるでしょう。 その結果、独居老人の「孤独死」や「孤立死」、高齢者同士で介護を行う「老老介護」、またそれを狙う悪質な詐欺・・・

後見人はご家族や専門職の介護者とは異なり、介護や身の回りの世話ができるわけではありません(親族後見人を除く。)。 しかしながら、ご家族や専門職の介護者にはできない法律面での貢献が可能なのです。そして、それは介護を行うご家族の負担を軽減することにも繋がっていくのです。

今すぐに後見制度を使用する必要がないと思ってらっしゃる方におきましても、予防的な意味合いでの活用をご検討いただいてみてはどうでしょうか。

成年後見になるための資格

最後に後見人に就任できる資格についての話をさせていただきます。

弁護士や司法書士でなくてもなる事が可能

後見人は何も弁護士や司法書士等だけではなく、希望を出せばご家族の方が就任することも可能です。 ただし、管理する財産が大きい場合(概ね2,000万円以上)や、その他、複雑な事情(訴訟を起こされている等)が存在する場合は、事案に応じて管轄する裁判所が就任の是非を判断することとなります(希望を出してもご家族が後見人に就任できない場合があります。)。

そのため、事案に応じるだけで、何かこれといった『資格』が必要なわけではないのです。 反面、次の者は元より後見人になることができません。 いずれも、単独で法律行為ができない者、または財産管理に不向きな者等であるため、当然と言えば当然なのでしょう。

成年後見人になることができない者

  1. 未成年者
  2. 家庭裁判所で解任された法定代理人、保佐人、補助人
  3. 破産者
  4. 本人に対して訴訟をしている人、その配偶者、その直系血族
  5. 行方の知れない者

 

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