7月8日、介護休業取得の要件を緩和する新基準が、有識者会議でまとめられました。介護休業の取得を促し、介護離職を減らすことが目的です
介護休業がとりやすくなるのは、介護者にとっては心強いものです。ではどの程度緩和されたのでしょうか? 詳細を解説します。
これまでの判断基準
これまでの判断基準は、「2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」とされ、下記のいずれかに該当するかどうかで判断されていました。
・歩行、排せつ、食事、入浴、着脱衣の5つの項目のうち、「全部介助が1つ以上」もしくは「一部解除が2つ以上」あり、その状態が継続すると認められること ・攻撃的行為、自傷行為、火の扱い、徘徊、不穏興奮、不潔行為、失禁の7つの項目のうち、「重度もしくは中度が1つ以上」あり、その状態が継続すると認められること
この基準は、「要介護2~3程度」相当と考えられています。
今までの基準の問題点
・わかりにくい 介護保険制度の要介護とは判断基準が違うため、専門的な知識を持たない労働者や事業主がわかりにくい
・現在の介護事情と一致していない 現行の基準は1987年当時の「特別養護老人ホームへの入所措置の基準」を参考に作られたもの。介護開始時点で8割以上が在宅介護という現在の介護事情と一致していない
新しい判断基準とは
新基準では介護休業の取得要件が緩和されただけではなく、明確でわかりやすくなりました。
▼基準1:要介護2以上
▼基準2:条件に当てはまる人 要介護1以下の人や、介護認定を受ける前に介護休業を取る人などは、下記12項目のうち、「3に当てはまるものが1つ以上」、もしくは「2に当てはまるものが2つ以上」あり、その状態が継続すると認められれば、要介護1もしくは40歳未満のための介護休業も取得可能です。
(画像出典元:厚生労働省)
介護離職を減らす目的
今回の介護休業の取得要件の緩和は、2017年1月から実地されます。
3月29日には、最長93日間の介護休業を3回まで分割で取得できるようになる“雇用保険法等改正法”が成立しています。
>>介護離職を減らせるか? ―介護休業を分割取得可能にする改正法が成立
いずれも対象を広げたり、取得しやすくすることで、年間10万人(2013年時点)ほどいるとされている介護離職者を減らすことが目的です。
また、研究会の報告書には、「当該基準は最低基準であり、各事業主においてこれより緩やかな内容の制度とすることは望ましいことについても併せて周知を行うことが求められる」と、事業主の理解が必要であることが書かれています。