イライラ・感情の爆発をしたとき、自分を責めないで!
家族の介護に向き合っていると、「もう!」「いいかげんにして!」と声を荒げてしまうこと、ありませんか?
介護が始まると長期戦になる可能性が高くなります。そして家族の体調・状態の変化によって、介護する人が自分の生活を変えざるを得ない状況に陥ります。
長期間にわたるストレスと不安の中で「家族に優しくできない」と、ご自身を責めていらっしゃる方がたくさんおられるのではないでしょうか?
でも安心してくださいね! イライラすることも、思わず怒鳴ってしまうことも、あなたがダメなわけでも、未熟だからでもありません!
イライラ、感情の爆発は悪者ではなく、「もう自分は限界にきている!」身体と心が教えてくれるサインなのです。
家族を怒鳴り、ひとりで泣き続けた6年前
「早く死んで!」自分でもびっくりするような言葉が次々と出て、自分の感情をコントロールできなくなる-その度「わたしは最低だ!」と、自分をひどく責めてしまうことを、何度も経験してきました。
介護疲れが最もひどかった6年前。当時、重度の身体障害の母、90歳の認知症の祖母、そして知的障害の弟3人を、理学療法士として病院で勤めながら、ひとりで介護をしていました。
目が覚めた瞬間から、家事と介護。食事は家族を介護しながら立ったまま。トイレも我慢して家族の介護を優先していました。
夜も、家族の変化に対応しなければならない。眠れないまま、また朝が来て、鏡を見る余裕もなく出勤。
いま振り返るとずいぶん無理を重ねた生活を続けていたと思いますが、当時は自分が無理をしているとはまったく思っていませんでした。
当時のわたしは、「家族を怒鳴ってしまうのはわたしが未熟だから」と自分を責め続け、友人にも、同僚にも、ケアマネージャーにも、誰にも相談がすることができませんでした。
恩師の言葉で救われた!
この苦しい状況が変わったのは、コーチングスクールの恩師に「イライラ、感情を爆発させる自分を変えたい!」相談したことがきっかけでした。
「爆発できてよかったね!」恩師は想像もしていなかった言葉を届けてくれました。
「想像してみて。もし、イライラを抑えこみ続けて爆発できずにいたとしたら?我慢をさらに続けていたらどうなっていたと思う?」
恩師の言葉にハッとしました。
もし、イライラを抑え込み続けていたとしたら、さらにがんばることを続けていたでしょう。
そうなれば、わたしは病に倒れるまでがんばり続けるか、あるいは限界の末に自分で自分の命を絶っていたかもしれない。そして何よりも、恐ろしいことは、家族の命を奪っていたかもしれない!
「気持ちが爆発したのはね、もうがんばれない!休みたい!心と体が教えてくれているんだよ。まずはイライラする自分によくがんばったねー!と言うこと。そしてしっかり休むこと。心と身体が教えてくれている声に耳を傾けてみて!」
恩師の言葉のおかげで、自分を責めるのを止めることができました。すると、イライラすることも、爆発する頻度も驚くほど減ったのです!
イライラ・感情爆発をしてしまったときこそ、チャンス!
イライラすることも、感情を爆発させることも、わたしたちが望んでいる状態ではありません。けれども、自分を責めても何の解決にもなりません。
まずは限界まで来ている自分の状態に気づくこと。そしてがんばっている自分を認めることが大切です。
繰り返しお伝えしますが、イライラすること、怒鳴ってしまうことは、あなたがダメなのでも、弱いからでもありません。
がんばって、がんばって、がんばりすぎている状態を、身体と心が「もう限界だよ!」「もう休もうよ!」そう教えてくれているだけなのです。
あなたが今、もし、
- 今までできてきたことが、できなくなってきた
- 介護をするのがイヤだと感じる
- 体が重だるい
- ささいなことで、家族を怒鳴ってしまう
- 突然泣けてくる
この状態を感じているとしたら、ピンチではなくチャンスのとき!
自分を責めるかわりに、「限界にきている!」「がんばってきたからだ!」と気づいて、“自分のイライラ”にOKを出してあげませんか?
次回は、実際に自分のイライラ、感情の爆発にOKを出したあとの解決法について、実際のケースを交えてお伝えします。
《執筆者:橋中今日子》 理学療法士・リハビリの専門家/心理カウンセラー
認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟の3人を介護。シングル介護歴は21年になる。
家族関係や人間関係に悩んだことから、心理学、コーチング、コミュニケーションスキルを学ぶ。
「介護者メンタルケア協会」を設立し、家族を介護している方、医療・介護の現場で働く方が「心が軽くなる」よう、心身両面からサポートする活動をしている。
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第4回 イライラ・感情爆発したときの感情のコントロール方法、具体的な対策
についてお伝えします。