孤独のうちに施設で最期を迎えた「風変りな老人」が残したという一編の詩

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老人ホームで孤独に最期を迎えた男性が残したという一編の詩が、今年の初めに海外メディアを少しだけ賑わせました。

訪れる家族もなく、老人ホームの職員たちもあまり深く関わろうとはしなかった老人。価値のある遺品などはありませんでしたが、彼が人生を振り返ったその詩、老いについて本人が表したその詩は、確実に人々の心に残りました。

その詩がこちらです。

「風変りな老人」

皆さんには何が見えていますか? いったい何が? あなたは何を考えていますか、私を見ているそのときに? 風変りな老人…そんなに賢くもない どんな性格なのかもわからない、遠くをただ見つめている 食事をこぼしたのは誰かと聞いても、何も答えない

あなたが大きな声を出すと、私は同じ目に合えばいいと思うんだ

あなたが何をしても、気づいた様子もない いつも靴か靴下を片方なくしている? あなたがやりたいようにやらせる相手 抵抗することもあるけどね お風呂や食事に見合うほどの1日だった?

あなたはこう思っているんだろう? あなたにはこう見えているんだろう?

目を開けてみてみるんだ。あなたは私のことなんて見てはいない。

私のことを話そうと思う。こうしてじっと座っているうちにね あなたの命令通りに動いているうちに あなたの思う通りに食事をしているうちに

私が10歳の子どもだったとき、父と母、 きょうだいたちと一緒だった 愛し合っていたよ

私が16歳だったとき、足に翼が生えていた きっとすぐに愛する人と会えるものだと思っていた

新郎になった20歳のとき、心は飛び跳ねていた 守ると決めた結婚式の誓いを覚えながら

25歳のとき、子どもたちが生まれた 道しるべと安全で幸せな家が必要だった

30歳のとき、子どもたちは急激に成長していったよ 共に過ごす運命にあった 永遠に続くはずの絆だった

40歳のとき、息子が成長して旅立った でも妻が側にいたから、悲しくなんてなかった

50歳のとき、孫が足にまとわりついてきたっけね 子育てについてはよく知っているよ 妻も私も

世界は暗闇に覆われた 妻はもういないんだ 先のことを考えると恐怖で震えた

子どもたちはみんな子育てをしていた そして私はかつて知っていた愛について考えた

今や私は老人だ そして自然は残酷だ 年を取るってことはバカみたいにみえるものだ

ぼろぼろになり、優雅さや力強さが失われた肉体 単なる石でしかない かつてはそこに心を持っていたものだけど

古ぼけた残骸の中には、まだ若い人間が宿っているんだ

そして再び、ぼろぼろになった心が一杯になる 喜びを覚えている 痛みを覚えている そして人生を繰り返し愛しみ、生きるんだ

早すぎるほどに過ぎ去った年月を考える そしてすべてははかないって事実を受け入れる

じゃあ目を開けてごらん 開けてよく見るんだ 風変りな年寄りをじゃない よく見るんだ…私を!!

真偽は不明

老人ホームで亡くなった104歳の男性、Mak Filiser氏の遺品整理をしていた職員が、この詩を見つけたそうです。

そして内容に感銘を受け、コピーをして職員全員に配り、やがて世界に知れ渡るようになった……と言われています。

ただし、海外のメディアなどでこの詩とともに紹介されている老人はMak Filiser氏本人ではなく、この話が実話かどうかははっきりしません。

もし実話ではないとしたら、誰がどんな気持ちで、何を伝えたくて、この詩を書いたのでしょうか? それを考えてみると、やはり少し悲しい気持ちになる気がします。

皆さんはこの詩から、何を感じたでしょうか?