55歳以上の進行性うつ病に要注意!認知症の前駆症状の可能性も

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うつ病と認知症との関係について研究が進められてきました。重度のうつ病が認知症のリスクを高めることを指摘した論文もあります。

うつ病は認知症の危険因子なのでしょうか。うつ病の症状と認知症との関係について、10年間の追跡調査を行った研究で、ある傾向が明らかになりました。

うつ病の症状がある55歳以上のデータを分析

研究で分析されたのは、オランダのロッテルダムに住む3,325人です。全員が55歳以上で、うつ症状があるものの、研究開始当初は認知症症状が見られませんでした。

1993年から2004年にかけてデータが収集された後、10年間に渡る追跡調査が行われています。

進行によって5つのグループに分類

患者をうつ病の自己評価尺度(CES-D)のスコアによって、5つのグループに分類しました。スコアが高いほど、高いうつ状態だということです。

A 低いスコアを維持したグループ(73%) B 始めはやや高めのスコアだったが、うつ病が寛解したグループ(11%) C はじめは低かったものの上昇。しかし、うつ病が寛解したグループ(5%) D はじめは低く、徐々に上昇したグループ(8%) E やや高めのスコアを維持したグループ(3%)

特に発症率の高いグループが

最終的に認知症を発症したのは434人でした。

うつ病の進行が見られたDグループでの発症率が高く、他のグループが約10%だったのに対して、約22%となりました。

うつ病の進行によって、認知症のリスクが変わることがわかりました。「進行性のうつ病に関しては、うつ症状は認知症の前駆症状と言えるかもしれない」と論文では解説されています。

この論文は4月30日、英学術誌「Lancet Psychiatry」上で発表されました。