若年性アルツハイマーの妻を介護する40代男性 本音のコラムが話題に

Romantic relationship concept as two hearts made of torn crumpled paper on weathered wood as a symbol for romance attachment and exchange of feelings and emotions of love.

40代前半でありながら、若年性アルツハイマー病になった妻を介護している男性がいます。彼が「若年性アルツハイマー病になった配偶者を介護するには」というタイトルで書いた、赤裸々なコラムが話題になっています。

夫の名前を思い出すのは3回に1回

現在彼は、妻であるメアリーさんの入浴や歯磨き、オムツ交換、食事の介助などを行っています。

時々メアリーさんに、夫である自分の名前がわかるかどうかを聞いてみるそうです。正しい名前が出てくるのは3回に1回だけ。そのほかは全く違う名前や言葉が返ってくるといいます。

数年前にはホラー映画を一緒に見ていたところ、突然メアリーさんがナイフをつかみ、自分の足を刺そうとしたことがあるそうです。止めることができましたが、しばらくの間、男性は震えていたそうです。

そんな介護経験から男性は、「若年性アルツハイマー病になった配偶者を介護するには」というタイトルのコラムを発表しました。その中には、介護を通して気づいた5つのことが書かれています。

以下がその要約です。

相手の考えていることを感じ取るのが大切

食事中にテーブルの上をキョロキョロし始めたら、塩を渡してあげる―アルツハイマー病患者がおびえたり不安を感じたりしないように、何を望んでいるのかを気づくことが大切です。

相手に注意を向け、辛抱強く接し、時間をかければできるようになります。

時間やお金の助けが必要

時間とお金は切り離すことのできない重要な問題です。アルツハイマー病の人は徘徊をする傾向もあり、目が離せません。睡眠時間がばらばらなため、夜になっても気が抜けません。

時間を確保するためには、家族だけではなく、デイケアやヘルパーの助けが必要です。そのためには費用が掛かるので、必要な申請を済ませて補助を受けましょう。

自分を大切に

妻の介護を始めた1年目には、自分の食事がちゃんととれずに、体重が5~7キロぐらい減りました。筋肉が減り、腰痛に悩まされ、妻が転んだときにも立ち上がらせるのに苦労するようになりました。

そこで食事に気を付け、ジムに通うようにしたのです。これは精神的にもいい結果を生みました。ときにはヘルパーに介護を任せ、友人と出かけることもあります。

孤独と向き合う必要がある

愛する人がアルツハイマー病になると、それまでの夫婦関係を継続するのは難しくなります。

パット・ロバートソン牧師(アメリカのテレビで活躍しているキリスト教伝道師)が、「配偶者がアルツハイマー病になったら、不倫よりも離婚を選べ」と発言して批判を浴びたことがあります。

しかし、配偶者がアルツハイマー病になった人なら、「自分はしないけど、たとえ他人が離婚したとしても批判はしない」と答えるかもしれません。

アルツハイマー病が発症した後は、かつて愛した人とは違う人と人生を共にすることになります。失った相手、二度と戻ってこない相手を悲しまずにはいられません。

物事の見方が変わる

それまで時間を費やしていたことへの見方が変わります。これはプラスだとは言いませんが、悪いことではありません。私の場合は、庭の手入れが行き届かなくなり、ガレージはほったらかしです。

あまり大切ではなかったことが人生から消えていきます。でもそれは構いません。

2日で100件を超えるコメントが寄せられた

このコラムは4月18日に投稿されると、2日間で2万回以上の人が閲覧し、100を超えるコメントが投稿されました。

コメントには「読んでいて胸が痛んだ」、「経験を分かち合ってくれてありがとう」といった内容のもののほか、自分が若年性アルツハイマー病を発症したらどうしたいかという内容も多くあります。

アルツハイマー病が発症した後のことについて、自分や配偶者のために若いうちから考えておく必要があること、そして自分の経験を発信する意義があることを改めて考えさせられるコラムです。

介護者の数だけ、違う経験や考えがあるはずです。ぜひみなさんの経験を発信し、安心介護内でも分かち合っていただければうれしいです。