認知症を疑似体験できる「認知症バーチャルツアー」

認知症バーチャルツアー:アイキャッチ

「認知症の人がいる世界」は、私たちがいる世界とは全く違う場所なのかもしれません。海外には、「認知症の人がいる世界」へのツアーを提供しているNPO法人があります。

認知症バーチャルツアー

米ジョージア州にあるNPO法人「セカンド・ウィンド・ドリームズ」では、認知症の人が見たり聞いたりしている世界を体験できる“認知症バーチャルツアー”を提供しています。

認知症バーチャルツアーでは、最新式の装備を使用するわけではありません。

「認知症の人がいる世界」を再現するために必要なのは、こんなものです。

視界:ゴーグルをつけて狭く 聴覚:ヘッドフォンを付けて聞こえる音を制限 触角:靴には重りを入れて歩きづらく 物に触れた感覚をわかりづらくするため、手には手袋をはめる

装備をした状態で「タオルをたたむ」、「セーターを見つけて着る」、「薬を探す」など、やるべきことを告げられます。制限時間は5分間です。

いずれも認知症の方が日常的にやりそうなことばかりです。

▼認知症バーチャルツアーを取り上げた動画

混乱するツアー参加者

認知症バーチャルツアーに参加者したのは、妻がアルツハイマー病だという男性、施設に入った母親の認知症が悪化しているという女性、父親の記憶障害が進行しているという女性、そして認知症だった母親と同じ症状が現れだしたというレポーターです。

いずれも介護のプロではなく、専門知識がないまま愛する人の変化を見てきた人々です。

ツアー中の参加者たちは簡単な指示をうまくこなせず、混乱したりイライラを募らせたりしていました。

「今までの経験とは全く違った」

ツアー終了後の参加者は、「こんなにも辛いなんて思わなかった、言われたことを3つも覚えていられないの」、「今までの経験とは全く違った」と感想を口にしました。

レポーターの女性は最後に、「人々は認知症を理解しておらず、誤解している。認知症バーチャルツアーが、認知症の人々との溝を埋めてくれる」とコメントしていました。

この認知症バーチャルツアーは、介護家族が認知症を理解するために利用されているほか、介護職員への従業員教育の一環としてや、消防士や警察官などが認知症への理解を深めるためなど、さまざまな目的で利用されています。

(参考) >>(外部サイト)The Roanoke Times「Virtual tour provides a glimpse inside dementia」(4/5)

(アイキャッチ画像出典元:SECOND WIND DREAMS®公式サイトのスクリーンショット)