日本ライフ協会が存続の危機に 高齢者から集めた預託金を不正に流用

日本ライフ協会が存続の危機に 高齢者から集めた預託金を不正に流用

身寄りのない方や家族に負担をかけたくない高齢者と契約し、支援を提供していた「公益財団法人日本ライフ協会」が、高齢者の預託金のうち約2億7400万円を不正に流用し、補てんできずにいることがわかりました。

毎日新聞は、1月19日付の記事で、同団体を「存続の危機に陥っている」と報じています。

日本ライフ協会では契約を結んだ本人に対し、身元保証や買い物の付き添い、将来の葬儀手配の約束などの支援を行ってきました。 高齢者に同様のサービスを提供し、預託金を預かっている団体は多く存在していますが、大手である「公益財団法人日本ライフ協会」による不祥事に注目が集まっています。

日本ライフ協会が行った3つの不正

日本ライフ協会が行った不正には、3つあります。

不正1:二者契約を勝手に行う

公益認定法では、日本ライフ協会と高齢者が契約を結ぶには、弁護士や司法書士などの共助事務所を含む“三者契約”でなくてはいけないと定めています。

この三者契約が行われると、高齢者が預けたお金は共助事務所が管理するので、公益財団法人である日本ライフ協会は、資金を流用できません。

しかし、日本ライフ協会は共助事務所を含まない“二者契約”を不正に行い、約1600人から約9億円を集めていました。

不正2:預託金を職員の賞与などに不正流用

集めた約9億円の中から、2億7412万円2941円を引き出し、職員の賞与や事務所開設費などに使用されていました。

同団体の浜田元代表理事は、不正流用した理由を「2013年4月に27人採用し、賞与の支払いができなかったから」と説明しています。

その後に職員たちが営業実績を上げることで、損失は補てんできると考えていたことを、毎日新聞に語っています。

拡大路線を狙って失敗したのが、不正流用と損失のきっかけだったようです。

(参考) >>(外部サイト)日本ライフ協会 高齢者預託金2.7億円を流用(掲載終了)

>>(外部サイト)預託金流用 業態拡大、規制なく 日本ライフ協会代表理事・浜田健士氏、一問一答(掲載終了)

不正3:関連法人に不正に貸付

また、2億7000万円とは別に、1億7000万円が不正に「NPO法人日本ライフ協会」へ長期貸付された事実も明らかになりました。

NPO法人日本ライフ協会は、三重県で福祉施設を運営しており、公益財団法人と同じく浜田氏が理事を務めていた団体です。 この1億7000万円は地方銀行に公益財団法人の定期預金として預けられていますが、これを担保としてNPO法人日本ライフ協会に融資されています。 このため、NPOが銀行に負債を返済しなければ、公益財団法人は使えません。

浜田元代表理事は1月19日に辞職。

公益財団法人日本ライフ協会は調査委員会を設置して調査に当たり、浜田元代表理事の刑事告発も検討しています。

>>参考(外部サイト):毎日新聞 代表理事、議事録偽造か 1.7億円担保承認 監事「覚えてない」

「職員一丸で改革を実施」

一連の問題発覚を受けて、公益財団法人日本ライフ協会は二者契約を結んだ方へも支援がされることを明言し、預託金管理の適正化を図っていることを発表しました。

また、理事全員と監事が引責辞任をしており、現在では新しく選任された理事のもと、活動の継続を表明していました。 しかし、その後日本ライフ協会はスポンサー辞退のため民事再生手続きを断念し、破産手続きに移行。事業は、3月31日に終了しています。

(参考) >>(外部サイト)東京商工リサーチ 公益財団法人日本ライフ協会~集めた預託金の2億7412万円を流用、民事再生から破産に移行していた~

国による対策が望まれる

身寄りのない方や家族に迷惑をかけたくない方を対象とした、みまもりや身元保証サービスを行っている団体は、高齢化社会を受けて急速に増えているそうです。

ただし、国では事業を把握し切れていないほか、監督官庁がないのが実状です。

高齢者の「自立して生きたい」、「安心して生活したい」、「葬儀の心配をしたくない」といった思いを実現させるために、国による対策が望まれるところです。