介護による殺人や自殺を防ぐ 悲劇を繰り返さないためには

介護による殺人や自殺を防ぐ 悲劇を繰り返さないためには

ひとりで介護を抱え込み、どうすることもできないと感じることがあります。 仕事との両立が出来ずに退職した結果、貧困と孤独にさいなまれることもあります。 追い詰められて、介護殺人や介護自殺などが起こっているのも事実です。

そんな胸が痛くなるニュースの中でも、特に有名なのが、2006年2月に京都府で起きた認知症母殺人事件です。 1月5日付の毎日新聞の記事によると、逮捕されて有罪判決を受けていた長男が、2014年の8月に遺体で見つかったそうです。 琵琶湖に飛び込んで自ら命を絶ったのだと言われています。

(参考文献)毎日新聞 認知症の母殺害、再起誓ったが 8年の孤独、抱え自殺(掲載終了)

京都府認知症母殺人事件とは

この事件は2006年2月1日、認知症の母親(86歳)を介護していた長男(当時54歳)が、京都市伏見区の桂川の遊歩道で母親の首を絞めて殺害したものです。 その直後に自らも命を絶とうとしたものの、未遂に終わりました。 長男が心中をほのめかすと母親は、「わしの子や。わしがやったる」と言ったそうです。

心中を考えるまで母子が追いつめられたのは、介護離職が生んだ経済的な困窮が原因でした。

事件後に長男が語った、「母の命を奪ったが、もう一度母の子に生まれたい」という言葉からも親子の絆の強さが垣間見られます。

母親の症状

母親には以下のような認知症の周辺症状が出ていたそうです。

・徘徊 ・昼夜逆転 ・異食

その他にも「キツネがいる」と天井を叩くことがあったようなので、幻覚もしくは妄想と言った症状が出ていたのかもしれません。

介護離職から生活苦に

デイケアの利用料や家賃が払えなくなるほど、長男の生活は困窮したそうです。

生活保護の受給を相談したものの、まだ働けることを理由に断られたとも報じられています。

(参考文献)サンスポ2006年7月22日付 「認知症の母殺害、54歳男に猶予刑…温情判決に法廷は涙あふれる」(掲載終了)

相談窓口はひとつじゃない

安心介護にも、「お金がない」、「介護のために働けないけど生活が苦しい」といった相談が投稿されています。

生活保護を受けるために専門家からこんなアドバイスが投稿されていたことがあります。

お母様を施設にお預けになり、その施設にお母様の住所を移されてお母様のみ生活保護を受けることはできないでしょうか。 (専門家とすかーなっちさんの回答) (引用元)介護のQ&A:「介護のために働けません」

 

沢山の人の中には、今のあなたのような方もいます。 細かい状況が良く分からないのではっきりしたことは言えないのですが、とにかく困った時に相談出来る処をいくつか作っておくといいと思います。 そして一度今のご自分の大変な状況を誰かに相談してみるといいと思います。 どうして良いか分からなければ、病院にいる相談員さんでもいいし、市役所などにある地域包括支援センターに電話で相談できそうなところを紹介してもらう。 一人ですべてやることなどできませんよ。 もう相談しているのであれば何の役にも立たないと思いますが、何しろいくつでも納得がいくまでだめでもともとだ!位の気持ちでどうか頑張ってほしいと思います。 (専門家アメリさんの回答) (引用元)介護のQ&A:「お金のない介護で私は死ぬしかないのか。」

 

世帯分離して生活保護の申請はできないのですか? (中略) それに今入院中の病院にも医療相談室があると思います。 そこにはソーシャルワーカーという職種の方がいると 思いますので、その方にも相談してみてください。(中略) まずは生活が成り立つ方法を、ソーシャルワーカーか 市町村の生活保護課に相談してください。 あとは町内会に民生委員がいますので、その方でも 相談にはのってくれますよ。 (専門家レイヤさんの回答) (引用元)介護のQ&A:「お金のない介護で私は死ぬしかないのか。」

 

認知症母殺人事件を起こした長男は、「人に迷惑をかけたくない」と考え、あまり周囲の人に相談をしなかったそうです。

もし極端な考えしか浮かばないほど追い詰められてしまったと感じたら、上記の相談先のほか、ケアマネジャーや認知症家族会などに話を聞いてもらいましょう。それだけで気持ちが落ち着くかもしれません。

もちろん安心介護でも、そんな悩みや気持ちを打ち明けてください。

「ひとりじゃない」ときっと思えますよ。