認知症の方の約半数にあたると言われているのが アルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症では、発症してから ゆっくりと症状が進行していきますが、 早い段階で特定できれば、それだけ早くから治療が始められます。
アルツハイマー型認知症はどのような段階を経て症状が進み、 段階ごとにどんなサポートが必要なのでしょうか。
今回はひとつの目安として、 ニューヨーク大学のBarry Reisberg氏が提唱している 「アルツハイマーの7つのステージ」を紹介したいと思います。
ステージ1:専門の検査を受けない限り気づかない段階
この段階では、PETスキャンなどの専門の検査を受けない限り、 本人でさえもアルツハイマー病に気付くことはまずありません。
しかし、そんな段階から脳の変化は始まっているのです。
ステージ2:本人はおかしいと気づき始める
認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」から、 軽度の認知症へと移り変わっていく時期です。
言葉を忘れたり、物をどこに置いたかを忘れたり といった変化が出てきます。
本人は変化に気付き始めますが、 周囲の人は気づかないかもしれません。
本人が症状を隠すために“取り繕う”ことがあり、 余計に周囲の人が気づかなくなる場合もあります。
>>参考記事:初期アルツハイマー病に見られる認知症の症状を”取り繕う”ことについて
この段階では仕事や生活などに影響が出ることはありません。
ステージ3:周囲も変化に気付き始める
このような症状が出てくるため、周囲も変化に気付き始めます。
・たった今起こった事を忘れる ・同じ質問を繰り返す ・計画や整理整頓をするのが難しくなる ・新しく知り合った人の名前を覚えられない
変化に気付き始めても、 それがアルツハイマー病によるものなのか、 それとも通常の老齢化によるものなのか、 判断が付きにくいかもしれません。
そんなときにはこちらの記事を参考にしてみてください。
>> 若年性アルツハイマー/若年性認知症とは 10の初期症状
この段階で必要なこと
・料金などの支払いを滞らせないための管理や手続き ・予定通りに通院などのスケジュールをこなすためのサポート ・ストレスを軽減させるため、必要に応じて仕事を辞める
ステージ4:初期症状の進行
ステージ3の症状がより強く出るようになります。 加えて、こんな症状も出始めます。
・自分のことを忘れる ・現在の月や季節を忘れる ・調理やメニューを選ぶのが難しくなる ・正しい金額を支払うのが難しくなる(常に1万円札で支払うので、財布が小銭だらけになるなど)
この段階で必要なこと
・家事のサポート ・いつも使う商店などに話をして、支払いの件を理解してもらう ・運転を控えさせる
ステージ5:軽度から中等度へ
ステージ4までは「軽度」なアルツハイマー病でしたが、 この段階から下記のような症状が増え、 「中等度」なアルツハイマー病へと進行します。
・現在地が分からない ・時間がわからない ・住所や電話番号などがわからない ・季節に合わせた服装ができなくなる
この段階で必要なこと
・食事や着替えなど日常生活の介助 ・個人情報や必要に応じてGPSを持たせる ・想像力を働かせるような話をしたり、作業をしたりする
ステージ6:失認や妄想
この段階では、こんな症状が出てきます。
・家族がわからない。またはほかの人と勘違いする ・仕事を辞めているのに仕事に行こうとするなど、妄想が出る ・トイレの介助が必要になる ・コミュニケーションが困難になる
この段階で必要なこと
・音楽を一緒に聴いたり、古い写真を見て思い出話をする ・施設に預けるなど、介護専門家の手を借りる
ステージ7:寝たきりになる
アルツハイマー病の進行によって、大脳皮質の機能が大きく失われ、 歩くことや座ることが困難になり、寝たきりになります。
さらに進行すると、嚥下機能や呼吸、 心拍を司る部分の機能まで失われます。
そのことから「アルツハイマー病は命を奪う病気」 だと訴えている団体もあるほどです。
>>参考記事:アメリカでは死因第3位?-軽視される「アルツハイマー病による死」
この段階で必要なこと
・本人が主張できないため、慎重な体調や栄養の管理
もちろん進行の仕方やスピードには個人差があります。 あくまでも今後を考えるための目安にしてもらえればと思います。
>>参考(外部サイト):What Are the 7 Stages of Alzheimer’s Disease?
アルツハイマー病に関する安心介護の基礎知識
安心介護では、アルツハイマー病に関して以下のような関連記事を公開しています。