“笑いのツボ”の変化は認知症の兆し?-英調査

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イギリスのユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームが、 今まで認知症とは関係ないと考えられていた意外な変化を、 「認知症の初期症状かもしれない」とする調査結果を発表しました。

その意外なこととは何なのでしょうか?

“ユーモア”に注目

前頭葉や側頭葉が萎縮して起こる「前頭側頭型認知症」は、 自分では気づきにくいものの、若い人でも発症する認知症です。

このタイプの認知症では、記憶力の低下よりも先に、 行動や人格の変化がみられるようになります。

>>参考記事:前頭側頭型認知症(FTD)とは

初期症状の手掛かりとなる変化を探るため、 研究チームが着目したのは、 他人との関係を築くのに欠かせない“ユーモア”でした。

現在の“笑いの好み”を調査

研究チームは、進行度やタイプの違う前頭側頭型認知症患者や アルツハイマー型認知症患者48人の家族や友人に協力してもらい、 患者の笑いの好みについて調査。

『Mr.ビーン』のようなドタバタのコメディが好きか、 風刺の効いた社会派のコメディが好きか、 『モンティ・パイソン』のようなシュールなコメディが好きか を選んでもらいました。

また、認知症患者の“不適切な笑い”に気付いたことがあるかどうかや、 笑いの好みの変化を知るために、 15年前(認知症発症前)に好きだったコメディについても質問しました。

前頭側頭型認知症で笑いの好みに変化が?

その結果から前頭側頭型認知症患者は、 アルツハイマー型認知症や認知症ではない人に比べて、 笑いの好みに変化が起こることが明らかになりました。

下手な駐車や吠えている犬など、 他の人が“おもしろい”とは思わないことや、 悲しい出来事やニュースなどで笑う傾向もあったそうです。

また、認知症患者の笑いの好みにおいては、 年齢や学歴などによる大きな変化は見られませんでした。

認知症患者はドタバタコメディが好き?

前頭側頭型認知症患者やアルツハイマー型認知症患者は、 同じ世代の健常者と比べて、ドタバタコメディが 好きな傾向があることもわかりました。

友人や家族は、物忘れなどの認知症の症状が出る 平均9年ほど前から、笑いの好みの変化に気付いていたそうです。

人格や笑いの変化に要注意

この結果を受けて、調査を行ったカミーラ・クラーク氏は、 「我々の研究は、記憶力の低下だけが認知症の症状ではない と周知する必要性を明らかにした。

人格や行動の変化に気付いたら、すぐに調べたほうがいい。

そして医師も、「こういった変化が認知症によるものかもしれないと、 把握しておく必要がある」とコメントしています。

この調査結果は11月10日付のアルツハイマー病の専門学術誌 Journal of Alzheimer’s Diseaseに発表されました。

(参考:外部サイト) >>Altered Sense of Humor in Dementia

>>Changes in humour may be an early sign of dementia

認知症に関する安心介護の基礎知識

安心介護では、認知症に関して以下のような記事を公開しています。

>>認知症かどうかをチェックする6つのポイント

>>認知症が疑われるときの対処法