「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の実態とは 家で施設のような介護看護が受けられる?

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の実態とは 家で施設のような介護看護が受けられる?

「住み慣れた家で暮らしたい」 「ペットと一緒に暮らしたい」 「特養の入居待ち」 ……などの理由で、自宅で介護や看護を受けたいと希望されている方はたくさんいます。

そんな方のために2012年4月に創設されたのが、月額指定で日中・夜間を通じた訪問介護看護をしてくれる「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」です。 >>参考:「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」

このサービスは、介護士や看護師の方が1日の中で、日中夜間問わず、必要に応じ複数回、定期的に訪問し、食事の介助や排せつの介助、入浴のお世話などをしてくれる「訪問介護」、体温や脈拍の測定や、健康チェック、経管栄養やバルーンカテーテルの交換などの医療ケアである「訪問看護」を自宅で受けることができます。 夜中に1人でトイレに行くのが不安な方は、夜中の訪問をお願いすることも可能ですし、定期的に医療ケアの必要な方であれば、日中夜間問わず、看護師のケアを受けることも可能です。 また、定期巡回だけではなく、トイレが間に合わなかった時や、深夜に急な体調不調があったときなどにも連絡をすれば随時訪問をしてもらえます。

定期巡回型のサービスについて、このように紹介されている方もいます。

定期巡回型のサービスや小規模多機能型のサービスの利用する事で、 在宅で生活しながら施設に近いサービスを受けられるのではないかと思います。 (専門家monmonpapaさんの回答) 引用元 介護のQ&A 「在宅介護に限界を感じます。何かいい方法を教えて下さい。」

 

一人暮らしをされているお年寄りだけではなく、老老介護の方、介護に限界を感じている方、ダブルケアに直面している方など、いろいろな方が利用されているサービスです。

ここまで聞くとぜひ利用したい!と思えるサービスですが、今回は定期巡回型のサービスの“リアル”について介護専門家の声を中心に紹介したいと思います。

実態1: サービスを受けられる自治体が限られている

2012年からはじまった定期巡回型サービスは年々利用者も参入する事業者も増えてきました。 しかしそれでも、定期巡回型サービスを受けられる地域が限られているのが現状です。

老健局振興課では、2015年6月末時点での定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所数を自治体ごとに発表しています。

ここに記載されていない地域でも、事業所を公募中の自治体もあります。お住まいの地域でサービスが利用できるかどうかは、一度ケアマネジャーに相談してみてください。

まずはケアマネ担当がいるのであれば相談してみてください。 地域に無い場合でも情報を持っていると思います。 もし、担当ケアマネが新人でわからないようであれば、 地域包括支援センターに問い合わせるといいですよ。 (専門家zakimimiさんの回答) 引用元 介護のQ&A 「24時間循環型訪問介護?」

実態2:1回の訪問時間が短い

定期巡回型サービスでは、早朝の訪問で洗面、歯磨き、着替え、水分補給など、次の訪問で朝食の介助、トイレ介助など、その時に必要な支援だけを行います。

1回ごとの時間の目安はこのようになっています。

例えば、日中独居高齢者の場合などは、 1)おむつ交換 5~6回/日 前後(各20分程度or未満) 2)食事介助 3回/日(各45分程度) 3)「入浴介助or清拭」として2回/週、(60分程度) 4)その他、随時訪問(対応)⇒TV電話等で依頼することが可能(通話料は負担) (専門家しーぴんさんの回答) 引用元 介護のQ&A 

人によって食べるのが遅かったり、おむつ交換に手間取ったりすることもあると、サービス内容の見直しや調整をお願いされることもあるようです。

訪問プランはケアマネジャーが作成するケアプランに従って、定期巡回型サービスの「計画作成責任者」が具体的に計画されます。 サービスの調整などについては、

契約書や重要事項説明書には、時間についての記載はしておらず、「介護(対応)内容」等についてのみの記載が殆どです。 よって、希望するサービスの内容をケアマネジャーを介して調整してもらうことも可能ですが、「定期巡回サービスの計画作成責任者」へ直接 要望したほうが、時間的にも有効です。 (専門家しーぴんさんの回答) 引用元 介護のQ&A 「定期巡回随時対応訪問看護介護」

とのことです。

「1回の時間を長くしてもらう」のが難しいのには、こんな背景があるようです。

多くの利用者様に利用して頂きますが、関わる人は限られています。報酬も一定ですので、現状としては限界があります。必ずしも制限がありませんが、現実問題としては提供のサービスには限界があり、満足できるほどの時間にならない場合が多いです。 (専門家ikuru0805さんの回答) 引用元 介護のQ&A 「定期巡回随時対応訪問看護介護」

実態3:緊急対応を断られることもある

緊急対応や随時対応で受けられるサービスは、 ・排せつ、食事、整容などの介護 ・看護 ・生活援助 などです。

緊急時にはコールセンターに連絡をしてもらい、専門スタッフが出動するかどうかを判断します。この判断基準は事業所などによりまちまちです。 例えば「テレビのリモコンを取ってほしい」など、自力でできることでも駆けつけて手伝ってしまうと、機能を減退させ、介護度を進行させてしまうことがあります。 この点については、利用する方に理解していただく必要があります。

また、このサービスを利用する際には料金体系にも注意が必要です。 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の利用料は、1か月の利用回数に原則制限はなく、訪問介護や訪問看護のように、月何回と利用を明記されることはありませんが、その代わりに、1回利用するたびに何円といった料金体系ではなく、要介護度別に月額料金が設定されてしまいます。すでに、別の介護サービスを利用されている場合、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の利用料金が加算されることによって、介護費用の月額負担が大きくなることもあるので、利用する際には、ケアマネジャーに前もって料金シミュレーションをしてもらった方が良いでしょう。