福祉用具を利用する際の注意点【PR】

第1回と第2回では介護保険制度で定められている福祉用具について紹介させていただきました。今回は、福祉用具の利用を検討するにあたって間違えやすい2つのポイントについてご説明致します。

注意点1. 福祉用具を購入する際の注意点

介護保険を利用して借りることができるものは、介護保険を使った購入はできない

1つ目のポイントは、介護保険を使って借りることができる福祉用具でも、購入する場合には介護保険が使えないということです。初めて福祉用具の利用を検討する場合、多くの方が借りることができるものと、購入することができるものを混同しがちです。介護保険を利用して借りることができるものは、介護保険を使った購入はできません。
例えば、車いすは介護保険を利用すると自己負担は原則1割(一定の所得がある方は、所得に応じて2割または3割)で借りることができます。しかし、購入すると全額自己負担になってしまいます。介護ベッドや歩行器など、他の借りることができる福祉用具も同様です。

福祉用具を安価に購入するための制度

もちろん、車いすなどを安価に購入する制度が無いわけではありません。身体障害者手帳を持っている方などであれば、日常生活用具給付や補装具費支給制度という制度を使用して購入できるケースもあります。同制度を活用するには許可申請が必要です。介護保険が優先されるなど、制度が複雑であるため、まずはお住いの自治体や担当のケアマネジャーに相談をしてみるのが良いでしょう。

購入後も費用がかかる場合も

安価に購入できる制度があるとはいえ、福祉用具は決して安い買い物ではありません。また、購入すると点検や修理は購入者自身で行わなければなりません。
福祉用具の貸与事業者から借りた場合は、定期的に専門家の点検を受けられ、修理や交換が必要になれば、その都度しっかりと対応してもらえます。このように、アフターメンテナンスの事などを長期的に考えて、購入したほうが良いか、それとも借りたほうが良いのかを検討するのが良いでしょう。

注意点2. 介護保険が使用できる福祉用具と出来ない福祉用具がある

2つ目のポイントは、似たような福祉用具でも介護保険制度が使用できるアイテムとできないアイテムがあるという点です。間違えやすい例が、歩行器・歩行車とシルバーカー、そして歩行補助杖です。

● 歩行車・歩行器とシルバーカー

 

歩行車・歩行器とシルバーカー

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歩行車・歩行器とシルバーカーの見た目上の違い

歩行器・歩行車とシルバーカーの違いは何でしょう。歩行器・歩行車は、介護保険を使ってレンタルをすることができます。しかし、シルバーカーは介護保険の対象外です。この差は形の違いにあります。
介護保険の適用となる歩行器・歩行車は、「移動の時に体重を支えることができるもの。車輪があるものだと身体の前と左右を囲むものがあり、車輪がないものは、四つの脚があり、腕を使って移動させることが可能なもの」と定められています。簡単に言うと、押し手のハンドルがコの字型になっており、利用者の身体を囲むようになっているもので、4つ以上の車輪が付いているものは「歩行車」に分類されます。それ以外の仕様で車輪が付いている、上記左のイラストのようなものは、シルバーカーと分類されます。

歩行車・歩行器とシルバーカーの使用目的の違い

形の違う歩行車・歩行器とシルバーカーですが、使う目的も違います。歩行車・歩行器は身体の回りをハンドルで囲んでいるので、奥まで身体を入れることができ、しっかりと体重をかけることができますが、シルバーカーは支える力がそれほど強くありません。
一方で、モノをも持ち運ぶ機能としては、シルバーカーが勝っています。比較的歩行が安定している方で、長時間の移動や買い物のために使用する場合は、シルバーカーの方が良いかもしれません。ご利用する本人の身体状況や体力、使用用途を考慮した上で、どちらの利用が適しているのかを、ケアマネジャーや福祉用具の専門家、リハビリの専門家などに相談しながら検討しましょう。

歩行補助杖

歩行補助杖

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歩行補助杖の種類

介護保険で決められている「歩行補助杖」は脚が3~4つある多点杖や松葉杖、ロフストランドクラッチといった特殊な杖を指しています。よく見かける「T字杖」は介護保険の対象とならないので留意して下さい。

歩行補助杖を選ぶ際の注意点

日常的に使用する杖は、色やデザインにもこだわって、お洒落に使用したいところですが、杖によって持ち手の形や大きさ、太さ、重さが変わるため、使いやすいものを選ぶのが良いでしょう。杖の高さや重さが利用者本人に合っていないと、転倒に繋がってしまうこともあります。従って、きちんと福祉用具の専門家、リハビリの専門家に選んでもらうことをオススメします。介護保険の対象外であるT字杖についても、同様に専門家に相談して見るのが良いでしょう。

今回のポイントまとめ

介護保険制度の詳細を知る必要はありません。分からなければ、ケアマネジャーや福祉用具の専門家に聞けば良いのです。丁寧に説明してくれる福祉用具の専門家をお近くで探し、色々と相談しましょう。今回ご紹介をした間違えやすいポイントを知っていれば、福祉用具の専門家への相談もしやすくなるでしょう。利用者の身を守るためにも、ぜひ覚えていて下さい。第1回と第2回では、福祉用具にかかわる介護保険制度について説明を行いました。次回より具体的な商品の選び方についてご紹介をさせていただきます。

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今回のポイント

  • 介護保険でレンタルできるアイテムでも、購入する際に介護保険は適用されません
  • ● 利用目的や形状が似たアイテムでも、介護保険が適用されるものと、適用されないものがあります
  • ●分からないことは、福祉用具の専門家やケアマネジャーに遠慮なく聞きましょう。

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監修者:山岸駿介
監修者:山岸駿介

理学療法士。臨床経験は7年。
急性期から慢性期、スポーツ分野など幅広い分野を経験。医療・介護・スポーツなど幅広い分野のリハビリに携わり、老若男女に正しい運動で、健康的な生活を送るサポートしている。
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福祉用具のラインナップ

  • 歩行補助杖

    心身ともに積極性が生まれ、歩く機能の維持につながります。

  • 認知症徘徊感知機器

    徘徊の最初の兆候をとらえ、事前に防ぐことができます。

  • 床ずれ防止用具

    床ずれはご利用者さまにとってとてもつらいもの。防止用具で予防しましょう。

  • 歩行器・歩行車

    歩行訓練や室内での歩みをサポートします。

  • 入浴補助用具

    安心してお風呂を楽しむために。

  • 車いす

    移動するだけでなく、正しい姿勢を保って座れる「いす」の役割も。

  • ポータブルトイレ

    ご高齢者の体にやさしい機能が付いたものもあります。

  • 居室用の手すり

    立ったときの姿勢がふらついて安定しないとき、大きな助けとなります。

  • 特殊寝台

    ご利用者さまの自立のお手伝いをし、ご家族の負担も軽くしてくれます。